【詩】ただいま
ただいま
ドアをあけて「ただいま」という
私の相棒がテッテッテッとやってきて
「おかえり おかえり」と尾を振る
私の犬 胴長短足の立ち耳
幼い時はトコトコと
大きくなるとパカラッパカラッと
老いのころにはテトテトと
私がどんな一日を過ごしても等しく迎えてくれる
「ちゃんと留守番していたよ」
小さな全身で帰りを喜ぶ茶色い相棒
上司の苦い言葉も
小さな愚痴も
満員電車のすっぱい汗も
リセット
やわらかい私に戻る
クッキー一枚 満足げにペロリ
腹をなでると目を細めてた
まったく普通の犬だけど
私の笑顔の源でした
千日も前に虹の橋を渡っていったのに
今日もドアをあけたら「ただいま」といってしまう
誰もいないとわかっていても