サボタージュ・マニュアル 組織運営のヒント序論 ホワイトカラー向け(反面教師ですが何か?)
サボタージュマニュアルとは何か?
第一次大戦以降、武力同士のぶつかり合いに加えて、諜報活動や広報を使用した情報戦、プロパガンダ戦が重要となりました。
特にヒトラーによるメディアを駆使した大衆扇動が有名です。
アメリカ軍でもこのようなドイツやイギリス軍の広報戦略に習って、この種の作戦を実施することにしました。
アメリカ軍の戦略情報局がその活動の一環として作成した、一般市民向けのレジシタンス活動支援マニュアルがサボタージュ・マニュアルです。
本書には一般の人たちがちょっとした工夫でできるサボタージュ活動、つまり枢軸国側へのレジシタンス活動のやり方が書かれています。
プロのスパイ活動ももちろん実施してましたが、この市民向けの活動も重視していたようです。
その中に書いてあることは経営者や企業経営に携わる人達に大きなヒントを与えてくれる反面教師である部分がたくさんあります。
ページ数はそれほど多くないので概ね前半の解説の部分50ページまでくらいの部分を参照すれば足りるかと思います。
57ページから120ページ部分がマニュアル本文です。(グレーになってます)
16ページには
ホワイトカラーむけサボタージュ戦略について触れるところがあります。
1)形式的な手順を過度に重視せよ
2)ともかく文書で伝達して、そして文書を間違えよ
3)会議を開け
4)行動するな、徹底的に議論せよ
5)コミュニケーションを阻害せよ
6)組織内にコンフリクトをつくり出せ
7)士気をくじけ
まあ・・「これらは組織をうまくまわらなくする」ための技術です。
マニュアル本文では
11.組織や生産に対する一般的な妨害
組織と会議
管理職、スーパーバイザー
従業員
12.士気を下げ、混乱を引きおこすための一般的な工夫
などが参考になります。
どういう意味で参考になるかというと・・・
反面教師として、自社で大真面目に取り組んでいることがうまく機能しているのかを振り返るための着眼点として参考になります。
このマニュアルはスパイが扇動して工場とか会社とかの生産性を下げて、うまくまわらなくするためにどんな工夫や主張するかなどを徹底的に研究したものなんです。
事業運営のためにぜひきちんとやっていきたい、これをやれば成果が上がる、業務効率も上がって、生産性も上がるにちがいない、など不必要なことでもないので、まあ取り組むのですけど、それが過度だったら役に立つどころか円滑な活動を阻害することになる要素になってしまったりします。
でも、残念なことに、結構多くの会社で適度に取り組めていなくて、やりすぎてうまくいってないなあなんてことがあったりするんですね。
一橋大学の名誉教授である野中郁次郎さんは、日本企業の三大疾病として3つの「過剰」を挙げています。
オーバー・スペック
オーバー・プランニング
オーバー・アナリシス
という、一橋大学の名誉教授の野中郁次郎さんが日本企業の三大疾病として挙げる3つの過剰を思い出します。
えーっ!!そんな・・ことは・・あれ・・あるかも・・
誰や!!スパイ!!
そんなやつおらへんわなぁ。
これまで重ねた意思決定はお肌の角質どころか・・かかとのように柔軟性を失っているかもしれませんので、この機会に見直してみるのもいいのかもしれませんね。