#062 人材育成と企業哲学 〜 稲盛和夫の教え「企業には、損をしてでも守るべき「哲学」が必要だ」〜
稲盛和夫氏の言葉、"企業には、損をしてでも守るべき「哲学」が必要だ"は、企業の持続的な成長と人材育成に欠かせない考え方を示しています。企業哲学は企業理念とも呼ばれることがありますが、両者は微妙に異なります。企業理念は組織の目的やビジョンを示す一方で、企業哲学はその背後にある深い価値観や信条を指します。この哲学を持つことで、組織は困難な時期でも真の方向性を失わずに進むことができます。
1. 企業哲学の定義と意義
企業哲学とは、企業が持つ根本的な価値観や存在意義を示すものです。それは時代や環境が変わっても揺るがない企業の基盤となる考え方です。この哲学を共有し、理解することで、社員は日々の業務においても高いモチベーションを保ち、困難な状況でも正しい方向に進むことができます。
2. 人材育成における企業哲学の役割
人材育成は、単にスキルや知識を身につけるだけでなく、組織の文化や価値観を理解し、それを体現するプロフェッショナルを育て上げることです。企業哲学は、新入社員からベテラン社員まで、全員が共有すべき価値観や目標を明確に示します。
3. 企業の取り組み:人材育成と企業哲学の融合
(1)ホンダの「三つの喜び」
ホンダは、創業者である本田宗一郎氏が提唱した「三つの喜び」を企業哲学として掲げています。これは「お客様に製品と接する喜び」、「製品を作る喜び」、「製品を売る喜び」という三つの要素から成り立っています。ホンダの社員はこの哲学を胸に、常に最高の製品を提供することを目指します。新入社員の教育時には、「お客様の笑顔を思い浮かべて働こう」という言葉でこの哲学の重要性を伝えています。
(2)アップルの「Think Different」
アップルの哲学「Think Different」は、製品の革新性だけでなく、組織全体の取り組みや思考のスタイルを指します。このキャッチフレーズは、常に既存の枠組みや常識に縛られず、新しい視点や方法で問題に取り組むことを意味します。アップルの製品やサービスが業界のスタンダードを覆すものであったのも、この哲学が背後にあるからです。教育プログラムやミーティングでの指導時には、「常に異なる角度から考え、挑戦し続けよう」という言葉で、この哲学の深い意味を伝え、社員のモチベーションを高めています。
4. まとめ:人材育成と企業哲学の緊密な関係
人材を育成する際、技術やスキルだけでなく、組織の哲学や価値観も共有していくことが重要です。これにより、組織全体が一体となり、持続的な成長を遂げることが可能となります。稲盛和夫氏の言葉を受け止め、企業が真の価値を創造するためには、その哲学を守り、次世代のリーダーたちに伝えることが不可欠です。