労務管理、キホンのキホン②(割増賃金)
どうも、ナザレです。いつもお読みいただき、ありがとうございます!
今日は、割増賃金について書いていこうと思います。
割増賃金とは、つまり残業代のことです。
1日8時間、1週40時間を超えたら残業代を支払う必要があるのは、皆様もご存知でしょう。
その際、どういうルールで支払う必要があるのかを簡単にご紹介いたします。
1.割増率について
残業代にはいくつかの分類があり、その分類により割増率が変わります。
①時間外労働(1日8時間、1週40時間を超えたとき)
25%の割増が必要となります。
例えば、時給1000円で働く場合、時間外労働1時間につき、割増賃金を含め、1250円支払う必要があります。
②時間外労働(1か月の時間外労働が60時間を超えたとき)
50%の割増が必要です。
ただし、現状では大企業のみの適用となっており、中小企業への適用は2023年4月からとなります。
③深夜労働(22時から5時までの間に勤務させたとき)
25%の割増が必要となります。
1日8時間を超えて時間外労働をしてから、深夜時間帯にも勤務が及んだ場合、時間外労働割増25%+深夜労働割増25%=50%割増となります。
④休日労働
法定休日(週1日)に勤務させたときは、35%の割増が必要です。
法定休日と通常の土日の休日は異なります。
通常の土日の休日のうち、例えば日曜を法定休日として就業規則で定めることによって効力が発生します。
しかし、あえて定めなくても良いということにもなっています。
定めなかった場合は、1週間のうち7日連続で働いたときに、その7日目が自動的に法定休日となり、35%の割増が必要です。
つまり、日曜から土曜まで働いた際、土曜日が法定休日となるわけです。
実務的には、法定休日を定めず、かつ7連続勤務をさせないことが大事だと思います。
割増率の説明は以上となります。
2.割増賃金の算定の基礎となる賃金について
通常は、基本給や各種手当を含んだ月給を、1か月の所定労働時間で割って、1時間あたりの単価を計算します。
そのとき例外として除外できる賃金は以下の通りです。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
上記は例示ではなく、限定的に列挙されているものなのです。
これらに該当しない賃金はすべて算入しなければなりません。
また、上記のような名称を使っている手当が、全て基礎となる賃金から除外できるわけではありません。
例えば、住宅手当3万円が全員に一律に支払われるという場合は、割増賃金の基礎から除外できる手当とはなりません。ご注意ください。
3.1か月の所定労働時間について
割増賃金を計算方法としては、改めて言いますが、基本給や各種手当を含んだ月給を、1か月の所定労働時間で割って、1時間あたりの単価を計算します。
よって、1か月の所定労働時間が何時間なのかを知る必要があります。
しかし、営業日は月ごとに20日だったり21日だったりします。
毎月、所定労働時間が変わって、割増賃金の単価が変わったりすると、給与計算が複雑となってしまいます。
そうならないために、1年間の所定労働時間を平均した時間を、月平均所定労働時間として設定することも可能です。
具体的な計算方法は以下の通りとなります。
(365日ー1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間(通常8時間)÷12
4.まとめ
1~3で説明した内容をもとにして、割増賃金の計算が可能となります。
整理しますと、
割増賃金 = 割増賃金単価※ × 時間外または休日労働時間 × 割増率
※割増賃金単価 = 基本給や各種手当の合計 ÷ 月平均所定労働時間
計算してみると、わりと複雑で面倒に感じると思います。
なので、エクセルだけでやろうとせず、給与計算ソフトなどを使ってやったほうが間違いが少なく、効率よくできます。
割増賃金、つまり残業代は、労働者にとって非常に大事なものです。
ここが間違っていると、会社不信につながる恐れがあります。
可能な限り、間違いを少なくするために、必要な知識を身につけましょう。