ワーク(仕事)がレイバー(労役)になっていないか?(「好きなようにしてください」より)
どうも、ナザレです。いつもお読みいただき、ありがとうございます!
今日は、私が書籍を読んでいる中で「おっ!」と思うフレーズを紹介していこうと思います。
今回もまた一橋大学の楠木建先生の著書『好きなようにしてください』を題材にさせていただきます。
今年は働き方改革元年ということで、法改正が目白押しとなっています。
皆さんの会社でも何らかのアクションがとられていることでしょう。
これからの日本は、長時間労働からの解放を錦の御旗に掲げ、労働時間削減に舵を切っていくと思います。
「仕事」という言葉なんですが、日本語だと「仕事」という1つだけしかない気がします。
しかし、英語だと「ワーク」(work)、「レイバー」(labor)、「プレイ」(play)と3つあるようです。
楠木先生いわく、3つの言葉の定義は以下の通りです。
「ワーク」(work)
この言葉を今のような「仕事」という意味で普通に使い出したのは、それほど昔の話ではないそうです。
産業革命を経て20世紀になって定着したのが、「ワーク」の概念です。
自分が何らかのスキルを労働市場に提供して対価を得る。そこには自由意志による相互の契約があり、職業選択の自由もある。
これが「work」です。
「レイバー」(labor)
ワーク以前の仕事を意味する言葉というのは、「レイバー」(labor)でした。
すなわち、「労役」です。
レイバーというのは、極論すれば奴隷の仕事。かつてローマ帝国のガレー船の底で船を漕いでいた人の仕事です。
「プレイ」(play)
「プレイ」は、日本では「遊ぶ」という訳がすぐに思い浮かびますが、言葉の一義的には「仕事をする」という意味があるそうです。
サッカーの本田選手や将棋の羽生竜王のような人々は、仕事をしているわけですが、「ワーカー」とかー「ワークしている」という感じはしない。
言うなれば「プレイヤー」です。
余人をもって代えがたい独自の才能やセンス、能力が求められる仕事。
特定分野のスキルに収まらない仕事といってもいい。
経営者の仕事はワークよりもプレイといったほうがいい。
経営者は言葉本来の意味で「プレイング・マネージャー」です。
「プレイ」を実践できている人はごく一部の人でしょう。
しかし、「ワーク」なら、多くの人がしているはずです。
我々は「ワーク」をするために職業選択をし、自由意志で労働契約を結んで「仕事」をしています。
この「ワーク」が、最近「レイバー」になっている人が多いように思えます。
ブラック企業という言葉が定着してきましたが、ブラック企業での「仕事」はまさに「レイバー」に該当すると思います。
場合によっては、多くの企業でワーク以前のレイバーに逆戻りをしているのではないでしょうか。
レイバー的な仕事をしていると正常な感覚が失われて、それが奴隷的な働き方なのか、自由意志による仕事なのか、わからなくなってきます。
そして、無意識にそこに縛られてしまい、辞めるという選択ができなくなってしまうのです。
しかも、レイバー的な仕事を強いる企業は、労働者を辞めさせないために様々な「洗脳」を行ってきます。
「お前なんて、ここを辞めたら何もできない」「ここを辞めたら、路頭に迷うぞ」
こんな洗脳を意識的、無意識的に行っていくわけです。
こういうことを言われ続け、動けなくなっていくのです。
完全なブラック企業でなくても、長時間労働はどの企業でも行われています。
ただ、長時間労働自体が一概に悪いというわけではありません。
長く働くことはあります。
企業の様々な局面で、徹夜したり、ずっと休みが取れなくなったりすることはあるでしょう。
それは当然なのです。
企業は利益を出してナンボ。
稼がなければ企業を維持することはできません。
稼がなければ人件費だって出ないのですから。
稼ぐために長時間労働が必要になることはあります。
それは仕方ないことです。
しかし、それが「ワーク」なのか「レイバー」なのか、ここが重要なのです。
長時間労働だとしても「ワーク」であることはあります。
長時間労働でなくても「レイバー」であることもあります。
どうか皆さんには、自由意志に基づいた「ワーク」をしていただきたいと思います。つまり、自分で選択して、その結果としての「ワーク」をしてほしいのです。
無理やり、半ば強制労働のような形で「レイバー」することのないようにしていただきたいのです。
労働基準法では、当然ながら「強制労働」は禁止されています。
労働契約法でも、労働契約の原則として、
①労使対等の原則
②均衡考慮の原則
③仕事と生活の調和への配慮の原則、
④信義誠実の原則、
⑤権利濫用の禁止の原則
の5つのルールがあります。
民法では、企業へ退職の意思を伝えると、2週間が経過すれば辞めることも可能です。
「辞められない」ということはありませんので、レイバー的な仕事をしてる人がいて、早くその状況から抜け出したいと考えているならば、今すぐ全力で行動してほしいと思います。
そして、楠木先生はこうも言っています。
「ワークライフバランス」なのですが、そもそもこの言葉自体、「ワーク」がデカいツラをしているというか、僭越にすぎるという気がしています。
「ワーク」と「ライフ」は横に並ぶ関係にありません。
「ワーク・アズ・ア・パート・オブ・ライフ」というのが本当のところです。
「ワーク」は「ライフ」を構成する1つの要素にすぎません。
「ライフ」の中に「ワーク」があるのです。
「ライフ」の中の「ワーク」時間をどう分配するか。
「ライフ」と「ワーク」は分けるものだと思うと、上手く分けられなかったり、「ワーク」時間が長くなったりすると、非常に苦しく感じます。
私が重要だと考えていることは、
「ライフ」の中の「ワーク」を、自分で「デザイン」できるかどうか。
ということです。
皆さんも、「仕事」をする際は、働くことの意味、どう働くかを考えていただければと思います。
そして、「ワークライフデザイン」を意識しながら「仕事」に邁進してほしいと思います。
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