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事務指定講習社労士が絶対に間違えてはならない、手続きベスト3

 事務指定講習が終わって、満足と不安が入り混じる方が多いのが、秋から冬にかけてです。社労士は、社会保険行政と労働行政に精通した専門家なので、原則的に間違った申請を行わないことが重要です。

 しかし、一人事務所の時代は、ダブルチェックする人もいないし、業務が溜まってくると、焦りも出てくるので、つい見過ごしてしまう可能性もあります。しかしどんな事情があろうとも、間違うとダメージが大きい申請もあります。今回はそのベスト3をご紹介します。 

第3位 助成金

 助成金申請は、大きな金額がからむものですし、チェックしないで出すようなことはありませんが、事業主が嘘を言うことも想定しなければなりません。

 社労士が申請を代行するということは、書類に対してもチェックしたという前提になるので、間違った書類を提出してしまうと「虚偽申請」を疑われてしまいます。

 虚偽の疑いがあるので、更にヒアリングをされる都道府県もありますが、甘い審査で通して、後から追及される都道府県もあります。
前者だと、取り下げや不支給決定になります。不支給決定だと6カ月は助成金申請ができません。
後者だと、逮捕や書類送検になります。資格停止等の処分が発生します。

 特に助成金コンサルタントがついている場合は、コンサルが虚偽の書類を作成している場合があるので、要注意です。その場合に刑事処分を受けるのは、社労士と事業主です
これは自分で避けられるので、長く社労士がしたければ、避けるのがベストです。

キャパを無視して依頼を受け過ぎても間違う可能性が出てくるので、要注意です。不支給でもクライアントからしっかり怒られます。


第2位 給与計算

 顧問先を切られる理由として、筆頭に挙がるものが給与計算です。
受託すると月の収入もある程度見込めるので、魅力的な部分ですが、リスクが高い業務でもあります。

 保険料の間違いや遡及する訂正が発生する場合は、個人が激怒するので、対応に困窮します。その中で一番やばいのは、「過払い」です。

 企業から見たら、過払いは当然返還するべきだと思うでしょう。しかし給与明細を全然見ない従業員はかなり多く、その多くが入っている金額が当たり前だと思っているので、思ったより多くても気にしないで遣っている場合もあります。

 そうなると返還交渉をしなければなりません。
「間違った社労士が交渉しろ」となるケースもあるでしょう。
また、数カ月に渡って返還する場合は、そのチェックも非常に煩雑になります。煩雑なことをしていると、また間違ったりして。

 過払いもヤバいのですが、未払いも当然に恐ろしい。
事業主は追加で払うのを嫌うし、従業員は不満がでるし、これで退職されたら「給与計算した社労士が悪い」と言われかねません。
悪いんですけどね。

 特に慣れない間は、チェック方法が確立してなかったりするので、ミスを減らすことが非常にむつかしくなります。

 当然に残業時間が正しいことや、割増賃金単価が正しく計算されていること等、必要な要素が大量にあるのが給与計算なので、用心するに越したことはありません。


第1位 育児休業給付金

 これを見て???と首を傾げる人もいるでしょう。初回申請は離職票と似たようなものだし、2回目以降でそんなに苦労する手続きでもありません。

 なぜ1位なのか。
助成金や給与計算は、知識不足や経験不足から来るものですし、毎回が勝負なので、ある程度目を凝らして業務を行う習慣が付きます。
それに比べて育児休業給付金は、非常に簡単です。

 だからヤバイのです。育休も後半になってくると、時々出勤してくる人がいます。また、企業から連絡もなく早期に復帰していることもあります。
普通は出勤簿や賃金台帳でチェックするのですが、原則的に元々全休なので、真っ白な出勤簿と、何も払ってない給与明細を確認するのです。

賃金台帳はつけているはずなので、それを見てから申請すればいいのですが、末締めの翌月末払いのように、締め日から支払日が離れていると、賃金台帳や給与明細を見てから申請すると、給付が遅くなってクレームが来たりするので、焦って申請してしまうこともありえます。

 もし全休で給付申請して、実は1日出勤していた場合は、原則的に育児休業給付金の全額を返還する必要があります。

 全額というのは、初回から間違った月までの全額です。1歳まで休業で、最後の月の頭に1日出勤していた場合は、約10カ月分の育児休業給付金を返還する必要があります。

月収20万の従業員でも、最初の180日で80万円超えます。
結果的には、ほとんど同額が返ってくるのですが、誰がいったん建て替えるのでしょうか?返ってくるので、賠償保険は使えませんよ。

出産直後の夫婦に一旦戻せとか、社長でも言いずらいですよね。
だからヤバイのです。


専門家として間違えないのは当たり前。
そういう見方をされていることをしっかり自覚してお仕事頑張りましょう。

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