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社労士的就業規則の作り方 33

鹿児島で社労士をしています原田です。

みんな大好き就業規則。いよいよみんな大好きな懲戒のお話です。ここは就業規則の作り方コーナーなので、懲戒の妥当性とか、訴訟対策とか言い出すと、本になってしまうのでしません。
悪事がバレて懲戒されたイラストをChatGPTに描いてもらいましたが、指示した私も具体的イメージが無かったので、今回はまあまあのできです。

ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。


第12章 表彰及び制裁 第67条

懲戒の種類

(懲戒の種類)
第67条 会社は、労働者が次条のいずれかに該当する場合は、その情状に応じ、次の区分により懲戒を行う。
① けん責
始末書を提出させて将来を戒める。
② 減給
始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期における賃金総額の1割を超えることはない。
③ 出勤停止
始末書を提出させるほか、 〇日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない。
④ 懲戒解雇
予告期間を設けることなく即時に解雇する。この場合において、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当(平均賃金の30日分)を支給しない。

モデル就業規則 令和5年7月版 厚生労働省労働基準局監督課

 いよいよ懲戒に入りました。モデルでは4種類の懲戒内容が示されていますが、もっと細かく定める場合も多いです。

よくあるもののひとつは、
訓告、訓戒、戒告、けん責から2種類ぐらいを選ぶ場合です。
厳密な意味として、どれが具体的に何で、どちらが重いと断言できるわけではありませんが、軽い処分として厳重に注意する意味合いになります。

個人的には、訓告や訓戒とけん責を使って、片方は口頭注意、片方は始末書提出と分けてます。口頭注意は注意した方が記録を取り、始末書は相手に書かせるので、記録が残ります。

始末書提出を命令して、本人が始末書を書かないことはよくあります。そういう場合はどうするかとかは、「就業規則の作り方」とは関係ないので、ここでは書きません(ケチ)。

また、降格処分や諭旨解雇も入れ込む場合があります。
役職が定められていて、一定額以上の役職手当や、賃金上昇しやすい賃金テーブルが定められていない場合は、「降格処分」にあまり意味が無いので、小規模事業所の場合は定めない場合もあるでしょう。

諭旨解雇は、多くの場合が結果的に自己都合退職扱いなので、懲戒処分の分類として入れる必要が無いと言われる方もいます。個人的にはどちらでもいいと思いますが、念のため入れてあることが多いです。

ということで、本文に入ります。

①けん責
この場合は、始末書を取る処分になっています。始末書ではなく顛末書を取るようにしている場合もあります。
ざっくりとしたイメージとして、「ごめんなさい」があるのが始末書で、無いのが顛末書と説明しています。

② 減給
法定の範囲内での減給ですが、永遠に減給したままではなく、期間を定めて減給する事案が多いので、期間満了後は元の給料に戻ることになります。

③ 出勤停止
出勤停止中は賃金を払わないので、生活に大きな影響を与える処分になります。現実的には数日、最長でも数週が限度でしょう。長期になれば著しい生活上の問題に発展するので、妥当性を欠く処分とみなされる可能性が高くなります。

④ 懲戒解雇
いわゆるクビですが、解雇無効とか地位確認請求とかの裁判案件にも発展しそうな物騒な話が出てくるので、あくまで慎重にやりましょう。

懲戒は企業が従業員に与える「罰」なので、その本来の目的は反省や再発防止やルール遵守等のために行っているはずですが、単に怒りの留飲を下げる目的になると、過剰な処分になってしまう傾向があります。

過剰になると、「不当」とみなされることもあるので注意しましょう。


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