3月6日はサブロクの日、36協定と時間外労働の上限規制のポイント
本記事は、ポッドキャストの書き起こしです。
金山)今日は3月6日なわけですが、何の日だかわかりますか??
安達)今日はですね、スポーツ新聞の日です👌
金山)おぉ、仕入れてきましたね・・・!笑 ちなみに弟の日でもあるらしいですよ。姉妹型・兄弟型を研究していた漫画家の方が決めたらしいです。3月6日が弟の日、6月6日が兄の日、9月6日が妹の日、12月6日が姉の日らしいです。
安達)えー、何でだろう。
金山)まあそれはそれとして・・・
本題に入ると、今日は、36協定の日なんです。正確には、36(さぶろく)の日。記念日として制定されています。記念日登録された経緯はあとで話すとして、まず、36協定とは何かという話をしたいなと。
安達)はい。
36協定とは何か
金山)前提として、労働基準法上、会社は、1日8時間、週40時間までしか労働者を働かせることができません。
また、1週間に1日は休日としなければなりません。
これを超えて働かせると「違法」であり、罰則の対象になります。ちなみにどれくらいだかわかりますか❓
安達)罰金30万円❓
金山)惜しい、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。惜しくはないか・・・
安達)懲役があるんですね。
金山)はい、そこまで軽くはない罰則があります。
ただ、例外的に、36協定というものを会社と労働者、厳密には労働者の代表、との間で締結すれば、1日8時間、週40時間を超えて働かせることが、違法ではなくなりますということなんです。
安達)「違法ではなくなる」とは❓
金山)違法でなくなる、というのはどういうことかと言うと、36協定自体を結ぶこと自体は、あくまでも超えたとしても違法とはしないよ、というだけであって、じゃあ、36協定を結んだから残業してね、という強制的な効果というか、残業を命じる効果はないんです。なのでこれを「免罰効果」、罰を免除する効果、と言います。
実際に会社が残業を命じたいと思ったら、労働契約や就業規則なりに根拠を定めた上で、それに則って命じる必要があります。
安達)届け出ると違法じゃなくなるというのが謎です。。届け出れば何時間残業してもいい、ではなくて・・・❓
金山)何時間残業してもいい、ってところは、今まではそういう面もあったんですが、これも後で触れますが、時間外労働に上限ができました、というのがあって。
ただ、「届け出れば違法ではないよ」の例として、制限時速40kmの道があったとして、車が50km/hで走ってしまうとする。40km超えているからスピード違反で違法なんですけど、「50km/hまでは走ることがある」という届出を出しておくと、50km/hで走っても違法ではないという。🚗
・・・余計混乱させた気がするけど。
スピード違反の例を出したのは、規制があっても物理的には走れてしまうじゃないですか。それが時間外労働と似ていて。なのであらかじめ時間外労働が発生することがあるので届け出ておきます、というのが36協定のイメージです。
安達)届け出てない状態で残業させているともれなく違法ですか❓
金山)もれなく違法です。ただ、それですぐに罰則かというとそうではなくて、労働基準監督署などの指導が入って、是正、改善することになるとは思いますが。
安達)なるほどー。
36(さぶろく)の日
金山)ちょっと戻って、36の日の話をしたいなと。
この36協定の日というのは、記念日登録されてからまだ2回目です。今日は2周年の日なんですね。去年はじめて、36の日ということで記念日に制定されました。日本労働組合総連合会というところが記念日として登録しました。
ちなみにプレスリリースの際には、キンタローさんとますだおかだの岡田圭右さんが出演してPRしていました。
安達)何で記念日登録したんですか❓
金山)ポイントはそこです!
さっき上限の話をしましたが、時間外労働については、働き方改革の一環で、大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、上限規制というものが法律になりました、という変化があったんですね。
今までも「基準」という形で目安はあったんですが、あくまでも大臣の「告示」という形で、法的拘束力はなかった。それが、働き方改革で、罰則付きで法律となりました。なので、それを機に、36協定についても周知が必要だろうということで、去年記念日登録されたという動きがあった。
ちなみに罰則はさっきと同じ、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
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時間外労働の上限規制**
金山)じゃあ、時間外労働の上限ってどれくらいなのか、という話に移るんですが、原則、月45時間、年360時間です。これは以前からそうです。
今回変わったのが、36協定の「特別条項」といって、臨時的な特別の事情がある場合に月45時間、年360時間、を超えてしまうよ、という時の話。そういうことが見越される場合には、労働者との合意の元で、年6回までは、それを超える時間外労働時間を決めることができていました。
この年6回には、法改正前は上限がなくて、実質、残業月200時間なども、協定の事項として定めること自体はできていた。
今回、この時間外労働の上限規制が法律になったのに伴って、特別条項にも上限ができたんです。蓋が開いていたのにキャップがついたイメージです。
安達)うん。
金山)この特別条項にルールが3つあって。
1つめが、年720時間以内。これは時間外労働だけで。原則の2倍は超えちゃだめですよと。
2つめが、時間外労働と休日労働あわせて、1ヶ月で100時間未満。
3つめが、2〜6ヶ月の平均で、時間外労働と休日が平均80時間以内。だから、例えば、1月に90時間、2月に80時間、の残業が発生しているとすると。2つめの単月100時間未満はクリアしているけれど、3つめの複数月平均を超えてしまう。だから繁忙期を見越した、計画的な働き方が必要になってくるかなと。
この改正が、さっき言ったように、大企業は2019年4月1日から、中小企業は2020年4月1日からです。
安達)これからってこと❓
金山)これからですね。36協定の書式も変わっているので、これ以降新たに結ぶ場合は注意が必要です。
安達)残業月45時間でも結構ですよね。
金山)うん、それが原則・・・原則というと当たり前みたいに聞こえてしまうけどそうではなくて、原則はこれを超えたらだめだよ、という。ただ特別な事情がある場合は、年6回は超えてしまうけど、その場合であっても3つのルールは超えちゃだめだよと。
安達)うん。36協定っていう言葉はよく聞いてたんですけど、中身は知らなかったので、こういうことだったんですね。
金山)なんで名前だけこんなに浸透してるんですかね❓
安達)言葉だけはよく聞きますけどね。
参考:厚生労働省パンフレット「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」(https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf)がわかりやすいです。
36協定を結ぶ際の注意点
金山)ちなみに協定を結ぶ時に注意する点ですが、協定を結ぶ相手は労働者の代表です。
具体的には、従業員の過半数を組織する労働組合があればその労働組合、ない場合は従業員の過半数から選ばれた労働者の代表です。
すべての労働者の中から選ばれる必要があるので、会社側で勝手にこの人、と決めてはいけません。その場合、協定が無効になってしまいます。
挙手とか投票とかメールの持ち回り決議だとか、何でもいいですが、労働者代表の選び方は厳しく見られるようになっているので、客観的に残しておきましょう。
あと、管理監督者は労働者にあたらないので労働者には含めないですし、そういう人が代表になったらだめです。
あと、36協定って一回結んで届け出ていればOKというのではなくて、有効期間があります。
1日、1日以上1年未満の任意の期間、例えば1ヶ月、1年、それぞれで上限を決めるんですね。例えば1日5時間、1ヶ月30時間、1年360時間、などで決めるので、協定の有効期間としては最短でも1年間。
上限はないですが、定期的に見直すために、有効期間は1年とするのが望ましい、とされています。だから大体の会社では1年単位のものを結んで届け出ていると思います。
だから、前回届け出てから期間が切れていないか、チェックしておくと良いと思います。
安達)勉強になりました。
金山)ちなみに、今日は世界一周記念日でもあるらしいですね。日本航空の「世界一周西回り路線」が運行開始したことにちなんで、ということで。夢がありますね。
安達)36協定と全然違いますね。
金山)たしかに。盛り沢山な日ですね。・・・ということで、ありがとうございました。
安達)ありがとうございました。
参考:36協定の作成にあたって
厚生労働省が運営する『スタートアップ労働条件』というサイトで、36協定作成支援ツールが公開されています。指示に従って入力していくと、書式に反映されるようになっています。わかりやすいので、一度目を通してみるのも良いかもしれません。
社会保険労務士事務所ヨルベ
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