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ネット銀行と社会保険料の納付に関する話

社労士のかなやまです。

スタートアップにとって銀行口座選びは初期の重要検討事項だと思いますが、今日は社会保険料の支払いの観点から、特にネット銀行を使っている場合のあれこれについて話したいなと思います。よろしくお願いします。

(この記事は、3月16日に配信したポッドキャストの文字起こしを元に作成しています)

社会保険料の支払いタイミングは意外とタイト?

まず、社会保険料の支払い時期、納付のタイミングなんですけども、毎月、月末にやってきます。

流れとしては、毎月の給与額に対する社会保険料額が年金事務所で翌月の半ば頃までに確定されて、その確定した金額がその月の20日頃、会社に3枚綴りの紙の納付書で郵送されてきます。それを基に、納付書を受け取った月の末日までに記載されている金額を納めるということになっています。

この納付書というのが、正確には納入告知書って言うんですけれども、届け出ている会社の住所に送られてきます。なので、20日頃に送られてきて、その月の月末までに納付する必要があるので、その間、約10日。

例えば、メンバーが少なくて社長があれもこれも手続きをやっています、というような場合だと、毎月発生するタスクとしては割とタイトだなと。銀行の窓口で納付しようとすると、営業時間は平日の9時から3時とか。そういう形だと結構大変だったりします。

さらに、オフィスに常駐していればいいんですが、社会保険の手続きの際に届け出ている登記上の住所とは、普段活動している拠点が別だったりするような場合は、なおさら、受け取るタイミングが厳しくなる。

社会保険に関しては、送付先を分けるというのが原則できません。別送=別で送る届け出っていうのもできたりするんですけども、それはごく一部の手続きに限られていて。この毎月の納付書については、送られてくる先を変えたいと思ったら、届け出る本店の住所自体を変えるっていうような手続きになってしまう。活動拠点がコロコロ変わるような場合、いろんなところで作業していますよっていうような場合は、都度変更するのも現実的でなかったりします。

スタートアップの場合、納付手続を担当する方が、登記されている住所に毎日、毎日、出勤してるわけではなかったりするような場合とかもありますが、そうすると余計その10日間というのが、どんどん短くなってきてしまう。

口座振替とPay-easy

そういう納付のタイミング、結構タイトだよね、という問題に対して、二つほどやり方があるんですけど、一つは、口座振替。銀行口座を登録しておいて、自動引き落としっていう形で引き落としできるようにしておけば、そもそも20日の納付書を待って、それを持って窓口なりATMで納めるっていう手間がなくなるので、そこは自動化される。代わりに、この金額を引き落としましたっていう形で通知がきます。

もう一つが、Pay-easy(ペイジー)と言って、インターネットバンキングを使って、24時間納付ができます、というものです。

なので、口座振替かPay-easyのどちらかを活用するのがいいかなと思うんですけれども。特にネット銀行を使っている場合は、どちらにも対応している銀行が少なかったりするので、少し気にとめておいて欲しい、というのが、今回の趣旨になります。

Pay-easyに対応しているネット銀行は三つ【※20221223追記】

まず、Pay-easyっていうのは何かってところなんですけれども、金融機関とか郵便局の窓口なりで、納付書を出して支払っていたものを、Pay-easyっていうマークがついている各種料金については、パソコンとかスマートフォンなどでも簡単に納付できますよ、と。納付書に記載されている、例えば、11桁なりの番号を入力することで、インターネット上で24時間365日簡単に納めることができます。窓口に行かずにいつでも手続きができるので、Pay-easyだと納付作業自体の手間が抑えられて、かなり楽だと思います。

ただ、ネット銀行だと、このPay-easyに対応しているのが二つ三つしかないです。対応しているのは、ジャパンネット銀行PayPay銀行と楽天銀行の二つ+GMOあおぞら銀行の、合計三つ

【※2023/1/16からGMOあおぞら銀行が追加されて三つになりました。https://gmo-aozora.com/news/2022/20221213-01.html

口座振替に対応しているネット銀行は一つ

Pay-easyの話はいったんこの辺にして、次に口座振替、自動引き落としの話なんですけれども、ネット銀行の場合は、対応しているのは唯一、イオン銀行のみになっています。

ただ、そもそもイオン銀行は、ネット銀行ではあるんですけど、ネット専業って言えるのかっていうような問題もある。というのは、イオンの店舗にイオン銀行の実店舗。ATMもあったりするので、そういう関係もあって唯一、ネット銀行の中で口座振替に対応しているのかな、とも思います。

社会保険料の口座振替に対応するためには日本銀行の歳入代理店と言って、手続きを代理します、という形で窓口に登録される必要があるので。そういう観点から、恐らくほとんどのネット銀行が、今のところ口座振替に対応していないんだろうな、と思います。

Twitterアンケートとったら、意外な結果だったんだなとわかりました。

どのネット銀行がいいのかについて

社会保険料の口座振替ができるっていうのは、毎月発生するタスクを自動化できるっていう大きいメリットではある。ネット銀行の中だと唯一対応しているイオン銀行をおすすめするのがいいのかな、とも思うんですが、一方で、イオン銀行は逆にPay-easyに対応していないってところもあるので、そう考えると、Pay-easyが使えるジャパンネット銀行PayPay銀行とか楽天銀行などがやっぱりいいのかな、とも思ったりしますね。

そもそも立ち上げ期においては、審査の問題などもあるので、必ずしもこの銀行で法人口座開設できます、っていうようなものでもなかったりするんですけども、社会保険料の支払いっていう観点から言うと、今のような話を少し頭に置いておくといいかな、と思ったりしています。

メガバンクの口座だと、特にこういった問題は発生しません。ただ、実店舗があるような銀行の場合はネットバンキングの利用料が別途かかる場合がほとんどで、あとは、そもそも法人口座自体の維持費がかかったりとか、振込手数料もネット銀行に比べて高かったりするので、その辺の兼ね合いで、その観点からネット銀行を活用するスタートアップが多いのかなと思っています。審査が緩やかだったりするっていう問題もありますけども。

それから、ゆうちょ銀行はPay-easyにも口座振替にも対応しているんですが、預け入れの上限額っていうのが1,300万円とかなので、その辺りがどうかな、というところもありますね。審査は、メガバンクとかよりは緩やかっていう風に聞いたことがあります。

なので、まとめると、社会保険料の納付に関して、Pay-easyだとか口座振替っていうのが便利なんだけど、ネット銀行の場合は対応していないところもあるよっていうのが、今回言いたかったところになります。

今のところ、ジャパンネット銀行PayPay銀行が良さそう、という結論です。このTweetのスレッドで貴重なご意見いただいてますので是非。

社会保険料の他にも考えるポイント(資本金とか)

立ち上げ期って、いろんなことを考える必要があると思うんですけども、どこの銀行で法人口座を作るかっていうのは重要項目の一つだと思うので、立ち上げの際にどういう観点で選んだか、今から立ち上げようとしている場合はどこを選ぼうかっていうのは、もっと情報共有できるといいな、と思っています。

あと、法人口座を作る際に事業の内容がどんなです、とか、ホームページを見せて説明したり。それからオフィスとか電話。固定のオフィスとか、固定電話あるかどうかとか、いろいろ見られます。また、資本金の大きさっていうのも結構、重要だったりしていて。明確な基準があるわけではないですけれども、少なくとも100万円未満だと少ないと判断されることが多い印象を受けています。(※あくまで印象です。融資検討時や許認可取得検討時には、各専門家のご意見を聞いた上でご検討ください。)

資本金に関しては例えば、職業紹介だと500万円が資本金の要件になるんですけれども、期の途中で満たしていない場合は、満たせるような形で翌期を待つか、翌期に満たすか、あるいは期の途中で満たしたい場合は、増資した上で、公認会計士なり監査法人の中間決算をはさんで、っていう形になったりします。

あと、そもそも許認可が必要な事業、専業で会社を新しく立ち上げますよっていうような場合だと、その許認可の所得自体が口座開設の要件にされたりとかもあるので、その辺りは、事業を立ち上げる際だとか会社作る際に、あらかじめいろいろ見ておく必要があるかな、と思っています。

少し、最後、余談でしたが、スタートアップの社会保険料支払い。特にネット銀行を使っているところが多いので、その辺り結構。あちらが立てばこちらも立たず、っていうようなところあったりするので、今回話してみました。参考になればいいなと思います。





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金山杏佑子 / 社労士
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