スパゲッティーマン：パスタの未来を守れ！

あらすじ

イタリアのパスタ工場で生まれたアル・デンテは、スーパーヒーローを夢見るスパゲッティ。ある日、放射能を帯びたトマトソースを浴びたことで、驚異的な能力を得て**「スパゲッティーマン」**として覚醒する。

世界のパスタをベチャベチャにすることを企む邪悪な料理研究家パスタゴブリンが現れ、彼の**「デロンデロンレーザー」が脅威となる。スパゲッティーマンは、伝説のパスタ科学者モッツァレラ博士のもとで修行し、最強の技「アルデンテ・インパクト」を習得。仲間のペスト・ジェット**の助けを借り、ついにパスタゴブリンを打倒する！

だが、新たなる脅威がローマで動き出す——「クリーミー・キング」率いるカルボナーラ帝国！
スパゲッティーマンの戦いは、まだ終わらない！！

第1章：運命の一皿

スパゲッティ工場に生まれて
イタリアの郊外にある小さな町、その中心に建つのは歴史あるパスタ工場「ラ・パスタ・フェリーチェ」。この工場では、毎日何千本ものスパゲッティが生産され、世界中の食卓へと届けられていた。

　アル・デンテは、そんな工場のラインで生まれた一本のスパゲッティだった。長さは完璧、コシの強さも理想的。だが、彼には他のスパゲッティとは違う特別な夢があった。

　「ただ茹でられて、食べられるだけの人生なんて嫌だ！」

　工場の倉庫に置かれたテレビの小さな画面の中で、スーパーヒーローたちはビルからビルへと飛び移り、街を守っていた。その中でも彼の心を奪ったのは——

　スパイダーマン。

　「カッコいい…！ あんなふうに空を飛び、糸を操って悪を倒すなんて…！」

　アル・デンテは、ヒーローになることを夢見るスパゲッティだった。しかし、その夢を口にするたびに、周囲のパスタたちは笑った。

　「おいおい、スパゲッティがヒーローになれるわけないだろ？」
　「俺たちはただの食べ物だぜ？ 運ばれて、茹でられて、ソースと絡まる。それがパスタの運命さ！」
　「アル・デンテ、お前はちょっと茹で足りないんじゃないのか？」

　仲間たちは彼の夢を馬鹿にし、からかうばかりだった。

　だが、アル・デンテは諦めなかった。

　毎日、彼はこっそり倉庫の隅でスパイダーマンの映画を観て、空中を飛ぶ動きを真似し、スーパーヒーローのポーズを練習した。もし、自分も糸を出せるようになったら、もし、ビルを飛び回れるようになったら——。

　「僕はただのパスタじゃない。いつか絶対、証明してみせる！」

運命のトマトソース
ある晩、工場の中は静まり返っていた。

　みんなが箱詰めされ、出荷を待つ中、アル・デンテはこっそり倉庫を抜け出し、工場の製造ラインを見て回っていた。

　「何か特別な方法があるはずなんだ…僕がヒーローになれる方法が…！」

　しかし、その時——

　グラグラグラッ！！

　突如、工場の大型トマトソースタンクがグラつき、警報が鳴り響いた。

　「危ない！ 誰か！！」

　従業員たちが慌てて駆けつけるが、タンクの傍には誰もいなかった。原因不明の揺れが続き、ついに——

　ドボォォォン！！！

　赤く煮えたぎるトマトソースが勢いよく噴き出し、天井まで吹き上がる！

　「うわああああっ！！」

　気づいた時には遅かった。アル・デンテの体は、真っ赤な特製トマトソースの池の中に落ちていた！

　トマトの酸味とガーリックの香りが鼻をつき、熱いソースが全身にまとわりつく。
　普通のスパゲッティなら、こんな状況に陥れば茹でられ、ふにゃふにゃになってしまうだろう。

　だが、このトマトソースは普通ではなかった。

　それは**「放射能トマト」**から作られた、試作品の特別なソースだったのだ！

　アル・デンテの体が、異変を起こし始めた…！

新たな力、目覚める！
「……うっ……？」

　気がつくと、アル・デンテは工場の床に倒れていた。
　熱いソースの海に落ちたはずなのに、なぜか無事だった。

　いや、それどころか——

　「なんだ…この感覚は？」

　彼の体は、まるで別のものに生まれ変わったかのように、しなやかで、力に満ち溢れていた。

　試しに動こうとすると——

　ビュンッ！

　「うわっ！？ な、なんだこれ！？」

　彼の体の一部が、まるで糸のように伸びたのだ！
　そして、その糸が工場の天井にピタッと張り付き、アル・デンテの体が宙に浮いた！

　「まさか…！ まるで…スパイダーマンみたいだ！！」

　信じられないが、これは現実だった。
　放射能を浴びたトマトソースの影響で、彼はスーパーパワーを得たのだ！

　「スパゲッティーマン、誕生だ！！」

　彼の新たな冒険が、ここから始まる——！