2020個人的ベストミュージック20(ソング編)
最初は本文に「コロナ」という言葉は入れずに書こうかと思ったのですが、無理でした。いい曲を聴く→その曲を聴くためにライヴに行く、というここ数年のルーティンが崩されてしまったことにまだ慣れていないです。ライヴ配信はそれはそれで面白いものもあるけれど、リアルタイムに演者と同じ空間にいるライヴとはもはや競技が違う感覚。そんなこんなでライヴ業界は地獄の1年だったし、音楽業界全体でも悲しいニュースが多すぎましたが、それでもいい曲自体は今年もたくさんあったので、それをとにかくまとめていくことで、自分なりの今年の供養にできればと思います。
まずはベストソングを20曲。毎年言っていますが、順位はあくまで目安なのでご了承ください。
20、“MILABO” ずっと真夜中でいいのに。
彼ら、ヨルシカ、YOASOBIの3組を合わせて「夜行性」と呼ぶらしいのだが、夜行性のリリースの中ではこれが一番好き。私は結局ダンスミュージックが大好きなんだなと。夜と言えばミラーボール。
19、”アカシア” BUMP OF CHICKEN
ポケモン×バンプという永遠の少年たちの心に否応がなく突き刺さる組み合わせ。アラサー世代でこのどちらにも触れていない人はいないはずで、流石にエモが過ぎる。
18、“Set You Free” 電気グルーヴ
電気グルーヴが帰ってきた、という事実だけでもう最高なわけですが。<はじめから Set you Free>という歌詞に勝手にエモーショナルを感じてしまうので、来年はいつものぶっ飛んだ電気が聴きたいなという気持ちです。
17、“If もしも…” 謎ファイルとやま観光
富山のご当地アイドル。今年一のドラッグソング。ナンセンスな歌詞と形容しがたいサウンド。間違いなく問題作ですが、こういう存在が今年もアイドルソングを拡張していくのです。MVもぶっ飛んでる。
16、”原因は自分にある” 原因は自分にある
スターダスト所属男性アイドルグループの改名後のセルフタイトルデビューシングル。グループ名や曲名をはじめとする歌詞の世界観や鍵盤の音の使い方にボカロ的フレーバーを感じさせるのは、スタダの他のグループやジャニーズにもあまり無い方向性。
15、“Last Magic” Attractions
夏の熱帯夜のような、濃厚なクラブチューン。この曲がしっくりくるような空間は残念ながら2020年には存在しませんでしたが、だからこそ、脳内で踊らせるダンスミュージックは最高。
14、“最高傑作” MELLOW YELLOW
最高傑作、って言っているんだから最高傑作に決まっているでしょう、と。小西康陽節炸裂のキッチュでハイブロウなサウンド。ちなみにカップリングの宮野弦士作曲の小西リスペクトな”メインストリートは朝7時”も最高なので併せてどうぞ。
13、”ポップミュージック” Juice=Juice
イントロからサビまで、あちこちに隠された(ストレートすぎて隠れていないが)洋楽、さらにはその洋楽をオマージュされた歌謡曲のサンプリングはMVの世界観も合わさって、ダサカッコ良くて最高。ハロプロお家芸のこぶしの効いた歌唱もまた相性抜群。
12、“Time Warp” Perfume
Perfumeほどのキャリアになると、何度か原点回帰的なフェーズがやってくるのですが、何度目かのそれ、とでもいうべきTHEテクノミュージック的なサウンド。タイムワープというSFモチーフも含めて、Perfumeらしさをストレートに(そして当然現代的な進化も見せつつ)出してくるのは、古参ファンとしてはやっぱり嬉しいのです。
11、“ほろよい” kojikoji
ヒップホップのカバー動画などで話題になったシンガーソングライター。アコースティックギター中心の必要最低限なサウンド、朴訥でスイートなヴォーカルと隙間を感じさせる力の抜けた心地よさがある。
10、“Say So(Japanese Version)” Rainych
アメリカのシンガー、Doja Catの曲をジャパニーズカルチャー好きなインドネシアの歌い手が歌詞を和訳してカバー、という多様性の極みのような事象。歌詞の乗り方がめちゃくちゃ気持ちいいし、アニソンや日本のポップスからの影響を感じさせるスイートなヴォーカルがさらに心地よい。
9、”オントロジー” Rain Drops
2020年は個人的にVTuberの沼にはまった年だったのですが、VTuber関連の音楽の中で一番はまったのがこれ。ボカロとの親和性がかなり高い業界であり、本作もプロデュースに、カゲロウプロジェクトで有名なじんが携わっている。思春期の持つ焦燥感、疾走感の心地よさは、同じボカロ文脈としてのヨルシカなどとも違う方向性。
8、“午前0時のシンパシー” Negicco
ついにメンバー全員が既婚者となった、アイドルのパイオニア的存在を走り続けるNegiccoのシングル。シティポップ界のラスボス的な存在である一十三十一提供の曲は、アイドル的な「成長譚」ではなく、アダルティな世界観だが、それをいやらしさなく味付けするのは彼女たちならではの表現力。
7、“I See…” 乃木坂46
令和の時代になろうとも、私たちはSMAPの亡霊なのですが、亡霊も思わず成仏するようなスマッピー(造語)な名曲が乃木坂のカップリングにありました。イントロから爆笑するぐらいのヒッピハッピシェイクっぷり。この曲を生音のバカテクバンド演奏で聴かせてくれたらもうこの世に未練はない。
6、“ドント・ストップ・ザ・ダンス” フィロソフィーのダンス
現在の地下アイドル(という言葉ももはや死語のようでもあるが、それがあるとするなら)のエースである彼女たちのメジャーデビューシングル。楽曲提供したヒャダインお得意の、グループそのもののキャリアを楽曲に落とし込んだ文字通り名刺がわりの1曲。
5、“記憶” イヤホンズ
声優3人によるユニットの3rdアルバムに収録。演劇的な語りのようなヴォーカル、やかんや掃除機など生活音をサンプリングしたサウンド、人の生活そのものを描写する歌詞、それらが組み合わさって生まれる人生の走馬灯のような楽曲。こういう作品が音楽の可能性を拡張していく。
4、“恋、いちばんめ” ukka
イントロでわかる大好物なやつ。アイドルに甘酸っぱい恋の芽生えを歌わせるというのは、アイドルソングの王道ではあるが、その王道をしっかり突き通していて素晴らしい。2020年のアイドルクラシックの1曲。
3、“Where are you” 川島明
藤井隆プロデュースによる、お笑い芸人、麒麟川島がまさかの楽曲リリース。芸人としての彼を知っていると低音のイメージがあると思うが、そのイメージを覆す歌声を披露しているので、是非一聴して欲しい。そして改めて彼にこのような楽曲を歌わせる藤井隆の鬼才っぷりも素晴らしい。
2、“Take Me Up Higher” Mikazuki BIGWAVE
フューチャーファンクと呼ばれる80s歌謡曲をブリブリのエレクトロサウンドで味付けしたジャンル。このジャンル、クリエイターの素性がわからないことが多く、このアーティストも詳細は不明ですが、フューチャーファンクの奇妙な、でも心地よい音に、アニソン的なキャッチーフレーバーまで加わっていて、脳内ディスコは大騒ぎ。うちで踊ろう。
1、”pray” 赤い公園
<I pray for you それじゃ、またね 君の旅がどうか美しくありますように>
こんな歌詞を最期に残すなんて話が出来すぎているよ。新ヴォーカル加入後からのバンドの第二の春のような伸びやかさに惹かれ、ライヴを毎回追っていた中での津野米咲氏の訃報。そしてその1ヶ月後にリリースされた、自作自演の鎮魂歌のようなこの曲。何度も言うけれど出来すぎています。残念ながらまだ消化し切れていないのだが、少し落ち着いて聞くとシリアスながら温もりが同居するこの曲は、赤い公園というバンドのディスコグラフィーとして、新しい手触りのものになっている。バンドが今後どう進むのかはわからないけれど、今はこの曲を聴いて、次の年が訪れるのを待ちたい。
1、”pray” 赤い公園
2、“Take Me Up Higher” Mikazuki BIGWAVE
3、“Where are you” 川島明
4、“恋、いちばんめ” ukka
5、“記憶” イヤホンズ
6、“ドント・ストップ・ザ・ダンス” フィロソフィーのダンス
7、“I See…” 乃木坂46
8、“午前0時のシンパシー” Negicco
9、”オントロジー” Rain Drops
10、“Say So(Japanese Version)” Rainych
11、“ほろよい” kojikoji
12、“Time Warp” Perfume
13、”ポップミュージック” Juice=Juice
14、“最高傑作” MELLOW YELLOW
15、“Last Magic” Attractions
16、”原因は自分にある” 原因は自分にある
17、“If もしも…” 謎ファイルとやま観光
18、“Set You Free” 電気グルーヴ
19、”アカシア” BUMP OF CHICKEN
20、“MILABO” ずっと真夜中でいいのに。