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エンタメをデザインで考察する|K-POPアイドルとデザイン 結局「Y2K」って?

昨今よく聞く「Y2K」。

言葉の意味はなんとなくわかっていたり、なんとなく「Y2Kっぽいな」と感じることはあっても、いざ「Y2Kっぽいデザインにして」と言われると、何をどうすればいいのやら。

前回はSEVENTEENのベストアルバム「17 IS RIGHT HERE」から見る「K-POP」のデザイン傾向についてゆるゆると考察させていただいた、「デザインでエンタメを考察する」連載。

今回は、前回の記事で触れられなかった「K-POPとY2Kデザイン」について考えてみたいと思います。

「エンタメをデザインで考察する」連載とは…

「このアーティストのジャケットとかグッズがおしゃれ!」「このドラマの小道具気になる!」というのをチェックするのが大好きな編集部&社員が、最近気になるトピックスを皮切りに、「なんでおしゃれだなって感じたんだろう」「どうして流行っているんだろう」というところまで、ゆる〜いエンタメ×デザインについての考察をしていきたいと思います。

そもそも「Y2K」って?


そもそも、「Y2K」とはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。

Y2Kとは、Year2K(=2000)、つまり2000年前後の文化のことを指すそう。
ファッションでいうと、今年再ブームしているクロップド丈のトップスや、ルーズソックス、ミニスカートなどが挙げられます。

そんな”Y2K"という言葉、昨年の紅白歌合戦にも出場し、先日開催された東京ドームでのライブも話題となったNewJeansとともに語られているのをよく目にします。

だからこそ、これまでなんとなく「あぁ、Y2Kね」とか「Y2Kっぽいデザイン!」といっちょまえに言葉を使ってきてしまいましたが(笑)、果たしてそのデザインに特徴はあるのか、NewJeansを皮切りに考察してみたいと思います。

NewJeansにみる「Y2Kなポップ・アイコン」


まずはそんなNewJeansのクリエイティブたちを見てみましょう。

解像度粗めのカーソル&ウィンドウに、ガラケーっぽいテンキー
2ちゃんねるっぽい絵文字平成初期にプレイしたゲームで聴くような効果音、そしてチェキ…。
ところどころに登場するアイコンに思い出される”あの頃”。胸がキュンとせまくなります。

NewJeansのクリエイティブに限らず、Instagramでも「Y2K」や「00s」とGif検索するとカーソルやガラケーなどがサジェストされます。
(中にはNewJeans関連のGifも紛れていますが…)

こうしたアイコンの登場年&流行年を確認してみると、

・携帯電話
いわゆる”ガラケー”の登場→1990年代
カメラ付き携帯の登場→2000年
着うたサービス開始→2002年

・カーソル
日本に「パソコンブーム」をもたらしたWindows95発売→1995年
「白く、枠線が太めな矢印のカーソル」
が、当時のWindows社のPCの特徴です。(Apple 社の初代Mac発売は1984年。Macのカーソルは「黒い矢印」)

・チェキ
instax mini 10(初代チェキ)発売→1998年
instax mini 7 “チェキポップ”→2001年

・2ちゃんねる
「ひろゆき」を名乗るネットユーザーの個人サイトとして設立→1999年

と、見事にY2Kーー2000年前後の文化を反映しています。

そして極め付けはこちら。

我らが(?)パワーパフガールズとのコラボレーション!

連続アニメとしては1998年11月18日からカートゥーンネットワークで放送を開始し、アメリカCN最高視聴率を獲得したという伝説のアニメ。日本でも2001年から放送開始しています。(当時幼稚園〜小学校低学年だった私もしっかりハマっていました。この「ハートを何重にも重ねる」イラスト、真似して描いていたなぁ)

そんな平成ガールズにとってのヒロインたちの名前を、まさか令和で再び耳にすることになるとは思いませんでした。

Y2Kデザインの傾向を考察する


このように、「ガラケー」や「チェキ」といった、一目で「2000年代」「平成」を感じさせるアイコンをデザインにどう落とし込むか。
果たしてその表現方法に規則や傾向があるのか、複数のクリエイティブを見ていました。

…のですが。

マットな質感のグラデーション背景と思いきや、その上におもいっきりうるつやメタリックな文字が重ねられていたり、

(以下は、NewJeansのクリエイティブも多く携わっている韓国のデザイナーさんであるHooyoung Eomさんの他作品)
色や文字、形の統一感ない、コラージュっぽいイラストだったり、

(以下は、NewJeansやNAYEON(TWICE)、SEVENTEENのグラフィックデザインに携わっている韓国のデザイン・パブリッシングスタジオ、PRESSROOMの他作品)
タイトルはつやっぽい質感もありつつ、そのほかの図形はのぺっとしているし、イラストも秩序があるのかカオスなのか曖昧だったり。
でも、どれをみても「Y2K」っぽい、と感じてしまう不思議。

一見あらゆるポイントにおいて「傾向のない、無秩序さ」を感じるのですが、その無秩序感、コラージュ感、詰め込み感こそが「Y2K」を表す上で必要な表現方法であり、それが結果的に傾向と考えられるんじゃないかと思うんです。


1980年代の後半にリリースされたAdobe Illustratorも、1990年代後半〜2000年代にもなると、表現方法や効果の出し方も進歩しているはず。

また、1995年に登場したプリクラは、2000年ごろからスタンプ・落書き機能を搭載していたり、
Microsoft Officeのアシスタントとしてイルカの”カイル”がPCの画面を自由に浮遊するようになったのもOffice2000からだそうです。

カイル

つまり、
あくまで個人の考察ですが、「Y2K」と言われる2000年前後というのは、
・技術の進歩によってグラフィックデザインの幅が広がった
かつ、
・画面上への配置の自由度がより高まっていた
というタイミングであり、それを存分に生かしたクリエイティブこそが「Y2K」らしさを醸成しているのではないでしょうか。

スカパー!公式noteをY2Kにリアレンジ


これらを踏まえて、今回も「スカパー!公式note」の文字列を”っぽい”画像にしてみました。

…ちょっと詰め込みすぎた感が反省点ですが(笑)、普段だともっと無難な色の組み合わせや落ち着いたレイアウトでまとめてしまいがちなので、Y2Kデザインって自分の殻をやぶる、いい練習になりそうです。

次回のエンタメデザインゆる語りも、お楽しみに。

(文 タンタン)


前回の記事はこちら


NewJeansの出演番組はこちらから。
MVもどことない懐かしさに溢れていて素敵ですよね。

パワーパフガールズも放送中!20年以上ぶりに見てみようかな…。

そのほかK-POPの番組はこちらもチェック!


スカパー!公式サイトではおすすめの番組をご紹介しています。 ぜひご覧ください!