赤ちゃん本舗が体験!ボードゲームで気付いたCX改善のポイント
CX(顧客体験)は、日経クロストレンドの「24年上期トレンドマップ」でもマーケティング分野で選出されている注目のキーワードです。しかし、いざCX改善に取り組もうと思っても「何から手を付けていいのかわからない」という課題があります。
そこで、Sprocketではボードゲーム形式でCX改善について学べる「CXゲーム」を開発しました。
今回、ワークショップを開催し、赤ちゃん本舗さんにこのCXゲームを体験していただきました。当日の様子やプレイを通じて得られた気付きについてお届けします。
CXゲームとは
CXゲームは、すごろくのように遊べるボードゲームです。プレイヤーは、あるECサイトを訪れるユーザーになりきり、止まったマスに待ち受けるイベントを体験していきます。
イベントの内容により、気持ちを豊かにするための経験値を表す「CXポイント」が増減します。最終的にCXポイントが高かったプレイヤーが優勝です。
大切なのはゲームの勝敗ではなく、プレイやディスカッションを通じて顧客視点の気付きが得られるというところです。
1ゲームにかかる時間は約10分で、気軽にプレイできる設計になっています。CXゲームをプレイした感想を話し合うだけで、CX改善の第一歩を踏み出すことができます。
17名が4グループに分かれて参加
全国に120以上のリアル店舗を構える株式会社赤ちゃん本舗。公式のECサイトも運営しています。
赤ちゃん本舗さんでは、以前に3名の方にCXゲームを体験していただいています。その際の感想として、「自分の体験と自社の状況の両面からCXに向き合うことができ、とても良いディスカッションができた」とのお声をいただきました。
そして、規模を拡大してのワークショップ開催に至りました。
当日は、赤ちゃん本舗さんからは計17名の方にご参加いただきました。A・B・C・Dの4グループに分け、それぞれにSprocketの進行役が入ります。
CXゲームは、アナログでもデジタル(オンライン)でもプレイできるように作られています。赤ちゃん本舗の皆様には会議室に集まっていただき、アナログでプレイしていただきました。
グループごとの得られた気付き
マスには、「情報量が多すぎて目がくらんできた。8,000CX-P失う。今日は買い物をやめた。スタートに戻る」などの、リアルな買い物体験を想起させるイベントが用意されています。
マスによってはサイコロの出目によってイベント内容が変化するものもあり、各所で笑い声が響き渡り、純粋にゲームとしても盛り上がることができました。
イベント内容を自社サイトに置き換えて考えることで、「これうちのサイトもそうなっているかも!?」と、自ずとグループ内の会話も弾みます。
各グループから寄せられた気付きや感想をいくつかご紹介します。
Aグループの声
フィルタリング機能があるにもかかわらず、その存在がユーザーに伝わらず有効活用されていなかったりする問題は、購入前の納得感を損ないかねないと思いました。
口コミやレビューの有無が購買心理に大きく影響する点も再確認できました。
送料はユーザーにとって気になるポイントです。例えば、沖縄にお住まいの方は別途送料がかかることをある程度織り込み済みだと考えられますが、その情報を早い段階で明示することでストレスを減らせるでしょう。
Bグループの声
顧客に合わせたレコメンドは一見有効な施策ですが、年齢や性別から機械的に推測された情報を押し付けられると、かえって不快に感じられることがありそうです。
アパレル製品の場合、モデルやスタッフが実際に着用している写真は、サイズ感や質感を直感的に伝えることができます。スタッフの着用イメージを投稿する取り組みを強化してもいいかもしれません。
ECのフォームがわかりづらいものだと、ユーザーに大きなストレスを与えることになります。情報設計に配慮し、ユーザーフレンドリーな入力支援が不可欠ですね。
Cグループの声
グループ内の会話で、「リアルな買い物場面で購入手続きが複雑すぎて面倒になり、最終的に離脱したことがある」という経験が語られました。住所登録や入力フォームでつまずくと、たとえ商品自体に魅力があっても、ストレスが購買意欲を削いでしまいますね。
実際の体験談として、SNSで見かけたクリスマスツリーを求め、車で1時間半かけて店舗に赴いたものの在庫切れだったエピソードを話しました。それだけなら残念な話なのですが、その時は店員さんのフォローにより現品限りのツリーが手に入れられ、結果的に満足の行く買い物ができました。気分良く、おすすめされたオーナメントも追加で購入しました。品切れの落胆が一転し、「またこのお店で買いたい」というポジティブな気持ちに変化しました。
Dグループの声
今回たまたま全員素早くゴールできましたが、現場(実際のECサイト)では多くのユーザーが途中で離脱してしまうということが起きています。実店舗とは異なり、顧客がオンラインで商品を検討する過程では、ほんの小さな不満でも簡単に購買意欲が削がれ、離脱につながります。
今回のCXゲームを通じ、いくつもの試行錯誤や心理的揺れ動きが顧客の背後に存在することを再認識できました。顧客視点での改善に努め、どのような情報や要素が顧客にとってプラスになり、どのような障壁がマイナスになるのかを見極めることが、これからの顧客体験設計において重要なカギとなるでしょう。
ちょっとした体験の積み重ねが大切
ワークショップの締めくくりに、マーケティング本部の杉浦淳子さんにお話を伺いました。
CXゲームのキットは無償で配布しています。気になる方はぜひSprocketにお問い合わせください。このゲームとメンバーとのディスカッションによって、新たな気付きが得られているはずです。
執筆:スプ論編集部
参考リンク:顧客体験をゲームで学ぶ!Sprocketがオリジナルの「CXゲーム」を提供開始
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