ブルボンのお菓子をAIでキャラクターにしたら擬人化のポイントが見えてきた
株式会社ブルボンは2024年9月にチョコレート菓子の「ラングレイス」を発売しました。ロングセラー商品の「ルマンド」と同じオリジナルビスケットシリーズの新作ということもあり、SNSのX上では「家系図」が作られるなど話題になっています。
商品そのものを楽しむだけでなく、ブランドの世界観をユーザー側で作り上げて楽しむという、実に今っぽい事象です。
筆者はブルボンファンの一人ですが絵が描けません。そこで、AIを使ってブルボン商品を擬人化してみました。
ブルボンが公式に作ったキャラクターと比較することで、擬人化のポイントも見えてきました。
キャラクター設定もAIで
ラングレイスの発売時に稲塚春さんがXに投稿した架空の家系図に注目が集まりました。「王朝」を連想させるブルボンという名称と、製法やパッケージのつながり感から、「一族」を連想しやすいのがブルボンのオリジナルビスケットシリーズなのでしょう。
他にもラングレイスを擬人化したイラストの投稿が目立つなど、ユーザーが楽しみながらブランドの世界観を作り上げていっています。
独自の世界観は、ビジュアル化されることでより伝わりやすくなります。そこで、稲塚春さんの家系図を参考にさせていただき、「ルマンド」「ラングレイス」「ルーベラ」「チョコリエール」の4商品について、AIを使って擬人化イラストを生成してみることにしました。
まずは、それぞれのキャラクターの設定を用意する必要があります。それもAIを使って作ってみましょう。それぞれの商品の特徴を反映できるよう、以下のようなプロンプト(指示文)にしました。
キャラクターが属するブルボン国の特徴は、株式会社ブルボンの会社紹介に書かれていた合言葉「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに。」を使わせていただきました。使用したAIモデルはGPT-4oです。
そして、AIが出力した結果がこちら。
ルマンドのキャラクター設定
商品と企業の特徴がごっちゃになっている部分はありますが、全体的には整合性の取れた、ある程度納得感のある設定になっています。
この他、特技として「クレープ生地を使ったお菓子作りの名人であり、その技術は国中で称賛されています」なども同時に出力されましたが、4人とも特技はお菓子作りってことになっていましたので割愛します。
これから筆者がやろうしていることを先読みしたかのように、外見の特徴まで出力されました。これはイラスト生成に使えそうです。
同様に、他の3つについてもキャラクター設定を書き出しました。
ラングレイスのキャラクター設定
ルーベラのキャラクター設定
チョコリエールのキャラクター設定
同じ企業の同じシリーズの製品の特徴をインプットしているので、どうしても似たり寄ったりのところはあります。もっと個性的な設定にしたい場合は、プロンプトで方向性を明示する必要がありそうです。
見た目も個性的なブルボン家の面々
作成したキャラクター設定から、イラストを生成していきます。イラスト化に使ったAIモデルはChatGPTに搭載されているDALL-E3です。次のようなプロンプトで画像を生成しました。
詳しくは後述しますが、外見的な特徴にはパッケージのカラーをアクセントで取り入れるようにプロンプトに書き添えています。
では、結果を見ていきましょう。
高貴なるルマンド王
なんだか魔法を使ってきそうなルマンド王になりました。同様に他のキャラもイラスト化していきます。
ちょっとやんちゃなラングレイス王子
よく城を抜け出して街に遊びに行ってそうなラングレイス王子です。背景に全然関係ないチョコクッキーが描かれているのは御愛嬌。
やたらと若く見えるルーベラ王妃
見た目はかなり若そうなルーベラ王妃です。実際若いのかもしれません。髪型は螺旋状に巻いた縦ロールをイメージしていましたが、独特な巻き方で出力されました。
明るく清楚なメイドのチョコリエール
メイドのチョコリエールは、ツートンカラーのカチューシャが特徴的ですね。面倒見が良さそうなキャラクターです。
製品や企業の情報を集めてきてAIに渡しただけにしては、なかなか雰囲気ある感じで擬人化できたかと思います。
著作権的な懸念もあるため、生成AIで作ったキャラクターを企業が公式に使うのは厳しいでしょう。ですが、発想を膨らませるためのイメージ素材としては活用できるのではないでしょうか。
スプ論では以前、コンビニやバーガーチェーンもAIでキャラクター化しています。気になる方はぜひそちらの記事もチェックしてみてください。
ブルボン公式キャラクターから考える擬人化のポイント
実はブルボンでは公式に擬人化もしています。「ホワイトロリータ」発売55周年を記念してのキャンペーンに合わせて、5つの商品を擬人化しています。
今回AIで擬人化した「ルマンド」「チャコリエール」「ルーベラ」もありますが、アイドル風のデザインということもあり、まったく異なる印象のキャラクターに仕上げられています。
キャラの後ろにパッケージのイラストがあり、それぞれの衣装にはパッケージのデザイン要素が色濃く反映されていることがわかります。
商品パッケージは中身を象徴的に表したもの。擬人化した場合も、パッケージを「身に纏う」ようにすることで、よりその商品らしさが生まれるのでしょう。
パッケージは本体以上に色合いも豊かで、細かい装飾が施されています。それらのディティールをキャラクターの随所に取り入れることがポイントになりそうです。
今のところAIではそこまで細かいことをビジュアルに反映するのは難しく、手描きならではのこだわりがキャラクターのクオリティの違いに表れています。
ラングレイス実食レポート
新発売の「ラングレイス」は話題になったこともあり、売り切れている場合もあるようです。筆者はヨドバシ.comで売っているのを発見し、早速注文しました。
ラングレイス1つだけを注文したら、ジャストフィットの箱に丁寧に収められて届きました。この1つのためになんだか申し訳ない感じすらしてしまいます…。
個別梱包で11本入り。ルマンド同様に生地が幾重にも重なった繊細な作りです。ラングレイス王子にも繊細な一面があるのかもしれません。実際に商品から感じられることを擬人化したキャラクターの設定にも取り入れると、より深みが出そうですね。
ココア風味が強い「ルマンド」に対して「ラングレイス」はややビターなチョコレート味。サクサクとした軽い食感で、ついもう1本と手が伸びてしまいます。冷蔵庫で少し冷やすとチョコレートが指に付きづらくなりますし、食べやすくなりそうです。
ブルボンは創立100周年
株式会社ブルボンは2024年に創立100周年を迎えました。100周年を記念し、ある一家が宇宙に飛び出す凄まじいスケール感のスペシャルサイト&ムービーも公開中です。
アニバーサリーイヤーのブルボンからは様々な企画の発表があるでしょうが、ユーザーが主体となりみんなで楽しむ「大喜利」や「祭り」的な動きにも注目していきたいところです。
執筆・写真:市川明徳(Sprocket)
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