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GO TO MUSIC

あれから一週間が過ぎたのに
今でも余韻を引きずっている。

夢のようだったライブが
夢じゃなかったと証明するために
見たこと感じたことを
少しでもnoteに残しておこうと思う。

1月17日、前週の雪が嘘みたいによく晴れた日曜日。私は一人で大名ROOMSに向かっていた。

先月、デビュー記念日の配信ライブ中に発表された唄人羽ワンマンライブ。50名限定の有観客と配信を掛け合わせたハイブリッドライブというものらしい。ライブハウスでのライブは約一年ぶりとなる。久しぶりに更新された公式ホームページのLIVEページに歓喜し、私は迷うことなくすぐ「観客」として予約した。

しかし待ちに待ったライブの4日前。ついに福岡にも「緊急事態宣言」が出された。なんでこのタイミング、、と落胆したが、行政の指示に従って開催するという判断だったので、それなら私もしっかり対策して二人の一歩を見届けようと、参加することを決めた。

前日の夜、一緒に行く予定だった妹は泣く泣くキャンセルした。きっと悩んで悩んで出したその決断も間違いではなかったと思う。「私の分までしっかり楽しんできてね!」と見送られ、本当に私だけが来てよかったのかなと会場に着くギリギリまでそのことばかり考えていた。

会場となった大名ROOMS。唄人羽としては、お馴染みのライブハウス。私も幾度となく足を運び、ここでたくさんのライブを見てきた。

いつもなら沢山の人で溢れかえる階段はガランとしていて、受付まで続く階段の両端には番号のついたプレートが貼られていた。いわゆる「ソーシャルディスタンス」っていうやつだ。

階段をのぼりきった所でまずは検温、そして中の受付に進む。(ちなみに前の人の受付が終わるまでは中にも入れない。ここでも、しっかりソーシャルディスタンスが守られていた。)

受付スタッフの方はビニール手袋を着用していたし、慣れない入場の仕方に戸惑うスタッフさんに的確なアドバイスをされてるスタッフの方もいた。きっとガイドラインに従って当たり前にやっていたことなんだろうけど、その姿に「本気度」を感じた。

連絡先を記入する紙を受け取り会場に入る。
見慣れた会場内は、いつもより広く感じた。
みんなの楽しそうな話し声も立見客もない。
ドリンクを引き換え席に着く。
両隣はもちろん前後もいない。
壁もPAさんまでもよく見える。
なんだか不思議な感じだった。
(ドリンクは全てペットボトルか缶で、ドリンクチケットを手前に置いてある小さなカゴに入れて好きなものを取る仕様だった。)

ライブが始まるまでステージを見つめていた。
今日使われるであろうギターと、右のマイクが少し高くセッティングされてることにすらニヤニヤした。

会場内の音楽が小さくなる。
静寂にピアノの一音が響く。
一年前のZeppを思い出して胸が熱くなった。
あの日の夢の続きなのかと錯覚しそうだった。
お揃いのロンTを着た二人が出てくる。
今まで何度も経験してるはずなのに、
そんなの何回も見てきたはずなのに、
初めて見たときのように胸が高鳴った。

ずっと緊張していた。歌う前にてっちゃんが何か話してたけど、それすらもあまり覚えてないし、あれだけずっと配信ライブで毎回画面にかじりつくようにガン見していたのに、目の前にいる二人のことを全然直視できなかった。ほんとそういうとこある。笑

いつものようにカウントで一曲目の「思い出シェーカー」が始まったとき、じわーーっと何かが、ほどけるような感覚があった。

音に包まれる感じ
指から伝わる振動
目の前で歌う二人
あぁ、、ライブだ

いま、この瞬間、
同じ空間で音楽を楽しんでる。

「おかえりなさい」

楽しそうに歌う二人をみて、そう思った。
緊張がとけたのと嬉しさとで涙が溢れた。

一瞬たりとも見逃したくない。
全部記憶しておきたいと思った。
でもライブは待ってくれない。
時間も曲もどんどん進んでいく。
とにかく今を楽しむしかなかった。

「愛情ロケット」で光を浴びて歌う二人は生き生きしていた。このメンバーで初めて聴く「Flashback」がカッコよかったし、その後の「BORDER」は繊細で力強くて圧倒された。「流星ライダー」のイントロのワクワク感は今でも覚えてるし、「情熱ライン」に希望を感じた。

「ライブがないと音楽やめたくなるんですよ」

最後の曲を歌う前に、
信ちゃんがポツリと話し出した。
信ちゃんはいつも突然だ。
その言葉はいつも正直だ。
さすが博多のしんさんだ。

CDも、もちろん大事なんですけどライブで届けるっていうのに、ものすごく生きがいを感じるんですよ。だから結局ずっとやめれないんです。ただそれがなくなってしまうと別に音楽をやってる意味がなくなっちゃうわけよ。CDだけ作っときゃいいんやもん。そんなんにあんま興味がない。だからこう、、ライブが出来なくなっちゃうっていうのは、こんなにも僕にとって、哲郎にとってもそうだと思うけど、、大事だったんだなって、今回世界がこんな状況になって初めて気付きました。わかってたんだけど、改めて気付かされたというか、、こんなにも強い気持ちがあったんだなって。やっぱり、、しんどいのよ、音楽で生活していくって。でも続けるっていうのはもちろん音楽が好きなんやけど、、でもやっぱりライブで届けたときに泣いてくれたりとかさ、そういうのを生で感じて、「あ、やめるわけにはいかないな」とか、誰か一人でも救えてるんだってモチベーションを強く持てるからさ。

グッと手に力が入る。涙を堪えて目頭が熱くなった。あれだけトークで笑わせたくせに最後の最後でズルいよ、しんさん。

昔から「ライブ」に とことんこだわってきた二人。路上からスタートした二人だからこそ、その想いは強いんだろうと思う。そして生のライブを特別に思ってくれてることが何よりも嬉しかった。それは私も同じだし、きっとファンのみんなもそうだと思う。

最後は「4人」だった。20年前に出した1stアルバム「と金」の最後の曲。20年後もこの曲を生で聴けていることは本当に幸せだ。

てっちゃんの声と信ちゃんのギターとピアノとパーカッションとバイオリンとチェロ。どれ一つが欠けてもこのライブは成り立たなくて、それぞれ奏でる音は繊細で、その全てが交わると最高の世界を作り上げた。生のライブでしか伝わらない「何か」が確かにあって、それはもう格別だった。

相変わらずトークになると信ちゃんが誰よりイキイキして喋るのも、てっちゃんがタジタジになるのも、二人でゲラゲラ笑うのも、そのあと瞬速で切り替えてバラードを歌うのも、歌う曲と全然関係ない話を延々とするのも、いつも見ていたあの感じだった。

「ただいま」

やっと、やっと、ここに来れた。
たかが一年、されど一年だった。
未だに春の全国ツアーは延期のままだし、
元通りの生活になるのも先の先だと思う。

それでも、この特別な空間と
そこで大好きな人達が奏でる音楽を
この先も失くしたくないと思った。
私にそんな大きな力なんて無いのに
微力でも全力で守りたいと思った。

どんなに大変な毎日でも
どんなにへこむことがあっても
悩んだり不安で気持ちが落ちても
私にとって唄人羽の音楽とライブが
いつも一寸先の光となってくれている。
それだけのために前を向いて頑張れる。
ライブでパワーを貰えてまた日々を頑張れる。

音楽やライブにはそれだけの力があると思う。

長い長いトンネルの向こうには
きっときっといい未来

このライブが「いい未来」の一歩となりますように。愛すべき音楽がこの先も途切れることなく、たくさんの人の心に灯りますように。

この二人を好きになってよかった。
この音楽に出会えて本当によかった。
もっと新たな二人をみたいと思った。
もっと沢山の人に届いてほしいと思った。

これからの唄人羽も、全力で応援します。

「GO TO MUSIC 1」
2021.1.17 大名ROOMS

思い出シェーカー
愛情ロケット
夕暮れ坂
Flashback
BORDER
なれずに
パレード
《換気休憩》
雨上がりの空
アルコール
愛の言葉
三日月とピアス
トロフィー
流星ライダー
情熱ライン
4人
【SPアンコール】
虹空
彼女
気がつけば
(「気がつけば」のみ、二人で演奏)

配信が終わったあと、改めて出てきた二人は安堵の表情だった。「緊張した〜」と笑って話す二人に拍手すら戸惑っていたお客さんからも緊張の糸が途切れたような笑い声が聞こえた。

リラックスしたムードの中、会場限定のアンコールは3曲。この日、会場に来るまで聴いていた「虹空」が聴けて奇跡かと思ったし、バンド編成で聴く「彼女」がとてもよかった。最後の最後に二人だけで歌った「気がつけば」。この曲だけはデビュー前から一字一句歌詞もメロディーさえも変わってない。全てをぶつけるように歌う姿に、心が震えて涙が出た。

それまでの準備も当日も、きっと私が想像してる以上に大変だったと思う。そして緊急事態宣言が出された中、悩んで悩んで開催を決めてくれた唄人羽の二人、素敵な音色を添えてより最高に近付けてくれたサポートメンバーの皆さん、徹底した感染症予防対策をされてたスタッフの皆さん、大名ROOMSのスタッフの皆さん、あのライブを作り上げた全ての方々に感謝感謝です。心から行ってよかったと思えるのは、皆さんのおかげです。本当にありがとうございました。記憶に残る最高のライブでした。

唄人羽は2月にもライブが決定しています。
お時間ある方、ちょっと気になっちゃったな〜、ってか博多のしんさんって誰?と思った方は是非、ホームページやSNSを覗いてみてください。今回のライブも1月31日まではツイキャスで購入&視聴可能です。会場で観た私も羨むほどの高画質高品質な音を是非、感じてほしいです。

公式YouTubeチャンネルには今回のライブのダイジェスト動画もあるので、そちらも是非!!


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