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生き物の「名前を知る」ということ

 ゴールデンウィーク中のこと。ゴールデンカムイの無料公開キャンペーンをやっていたので読んでみたら予想以上にハマってしまい、一気に全巻読み終えてしまいました(笑)。「カムイ」とは北海道の先住民のアイヌ言葉で「神」のこと。学生時代にお世話になった先生方には北海道大学出身の方が多く北海道の自然の話をよく聞いたり、北海道の演習林に調査に行ったこともあったため、マンガの中での北海道の動物や植物の描写から当時を思い出して懐かしく感じました。そして、身の周りの自然の動物や植物の名前を知ることについての大切さに改めて気付かされました。

 このマンガは日露戦争後の北海道が舞台となっていて、主人公の相棒としてアイヌの少女が登場します。主人公はアイヌの少女と旅をしながら、北海道に生息・分布する動植物のアイヌ語の名前やアイヌがどのようにそれらの動植物を利用しているかを教わります。
 例えばキムンカムイ(山の神:ヒグマ)、コタンコロカムイ(集落を守る神:シマフクロウ)、ユク(獲物:エゾシカ)、プクサ(行者ニンニク)、プクサキナ(ニリンソウ)など。アイヌの生活に欠かせないものにはアイヌ語の名前がありますが、エゾナキウサギなど、アイヌの生活に関りが無い生き物には明確なアイヌ語の名前がありません。

 私たちは身の周りの動植物の名前をどれくらい知っているでしょうか?名前だけは知っていても同定できるものとなるとあまり多くは無いと思います。アイヌだけでなく、お年寄りの方々と話をすると焚き付けに使う木の種類や山菜として食べる植物などの種類を色々知っています。食べるため、生活のためにそれらを知らないと生きていけなかったからです。
 現代の生活では必ずしも身の回りの自然の動植物の名前を知らなくても生きていけます。ですが、人間や人工物だけで生きていくことはほぼ不可能です。どこかしらで間接的に自然とのつながりがあり、その恩恵を受けて生活しています。その自然を絶やさないためにも、まずは身の周りの生き物の名前を知り、その生き物がどのような環境に生息するかを知ることも大切なことだと思うのです。

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