理系院生(化粧品志望)就活経験談 2 ~化粧品業界~
今回は化粧品業界の基礎情報や、就活を通じて感じたことについて書いてみたいと思います。
このnoteを読むことで、化粧品業界をおおむね網羅できるようになっていますので、是非化粧品業界に興味のある方は読んでいただければと思います😊
化粧品業界とは・化粧品業界に該当する会社
その名の通り「化粧品」の企画・開発・製造・販売を行う業界です。
企画・開発・製造・販売全てを行う or 一部を行うのが化粧品メーカー
企画・開発・製造を行うのがODM(Original Design Manufacturing)
製造を行うのがOEM(Original Equipment Manufacturing)
販売を行うのが化粧品商社
製造のために原材料を提供する素材メーカー
になります。図にするとこんな感じ。
分かりやすいように企業を挙げると、以下の通りです。
化粧品メーカー:資生堂、コーセー、ロート製薬(製薬メーカーだが一事業として化粧品部門がある)、ロクシタン(国内に研究所・工場なし)
ODM:日本コルマー、ホシケミカルズ
OEM:サティス製薬、ミリオナ化粧品
化粧品商社:菊星、フィッツコーポレーション
素材メーカー:日本色材工業研究所、一丸ファルコス
... ビギナーの方は私と同じ感想ではないでしょうか。化粧品メーカー以外の会社名聞いたことない。
国内には3800社ほど化粧品関連会社があるそうですが、そのほとんどがOEMやODMなど名が知られていない会社です。販売会社は資生堂でも製造元は別の会社、ということがめちゃくちゃあります。
そしていわゆる知名度のある化粧品ブランドは、多ブランド展開している大手会社であったり、自社に研究所や工場を持たない化粧品企画販売会社であることが非常に多いです。
IPSA、NARS、専科、アクアレーベル、Avene、ローラメルシエ → 資生堂
ファシオ、アルビオン、デコルテ、雪肌精、PAUL&JOE、JILLSTUART → コーセー
KATE、SUQQU、キュレル、est、ルナソル → 花王
こんな感じで、実は大手達が知名度ブランドを牛耳っています。きびし~~😵💫
さて、そろそろ察しの良い理系就活生はプルプルと怯えているかもしれませんが、化粧品に関わる理系職に就くためには大手化粧品会社(しか研究所がない)、OEM、ODM、素材メーカーの選択肢になります。BtoCの化粧品会社なんて国内にせいぜい20社しかないという震える事実に、BtoCを志望していた私は絶句しました。
高倍率の難関業界
推して知るべしですが、化粧品業界は人気業界です。華やかな雰囲気に誰でも一度は惹かれるのではないでしょうか。
BtoCメーカーは消費者への貢献や消費者の声をダイレクトに感じることができて魅力的です。(私はその点でBtoCをメインに見ていました。)
消費者側になるのは簡単でも、生産者側に回るのはとても狭き門です。
私は縁あってBtoC化粧品メーカーの研究職になることが決まりましたが、LINEのオープンチャット(匿名で情報交換できるコミュニティ)では、選考が全く通らず他業界を受け始めているというコメントも多く見かけました。
脅すつもりは毛頭ないのですが、リスクヘッジは重要だということを頭の片隅に置いておいて下さい。
ここからは研究職の話になりますが、採用数はおおよそどこの会社も一桁です。周りの知り合い(BtoBの化学メーカーが多い)が採用数50~60人と多い中、競争率が高くてめそめそしました。めちゃめちゃ辛くて異常な精神状態でした。
安定業界
化粧品の国内市場規模は2.5兆円ほどで、この傾向は10年以上大きな増減はありません。これは化粧品が人々の生活に根差しており(化粧品は嗜好品であり必需品)、安定的な需要があるからです。
新型コロナウイルスの感染拡大によりリップの売上が大幅に下がったという事実はありますが、巣篭もり需要でスキンケア製品は着実に売上を伸ばしています。
カテゴリー別で見ると変化はあるものの、平均化すると大きく変わらないといえます。
(通販通信 https://www.tsuhannews.jp/shopblogs/detail/65436 より)
ただこの安定した市場、裏を返せば国内市場が頭打ちになっているともいえます。
成長が見込める企業の選び方①海外展開
前項で見た通り、国内市場は頭打ちになっています。日本人は世界的に見ても美容にかける一人当たりの金額が高く、いまや老若男女すべてが化粧品を使用しています。
ですので、これ以上国内市場が急激に大きくなることは考えにくいです。
よって化粧品メーカー各社は続々と海外展開を推し進めています。(韓国や中国の海外展開と比較すると遅いくらいです..)
正直、海外展開は当たり前の時代です。
「日本の素晴らしい文化を世界に!」「日本の高い技術力を世界に!」という建前もありますが、メーカーとして利益を出していかなければならない以上、人口増加しているアジア諸国へ市場を広げるのが当然の動きです。
といっても各社が得意とする方法は違うので海外展開の国も体制もそれぞれ異なります。どの国へ・なぜ・何の製品で海外展開を行っているのか、その分野・その形態で現地競合他社に勝てる見込みはあるのか、等を確認することは企業を絞っていく際に役立つのではないかと思います。
ここで言語の話をすると、資生堂は社内公用語の英語化を進めていますが、他の化粧品会社もどんどんと進めていく必要があると個人的には感じています。
だからこそ、これからの会社を作っていく就活生は(技術職でも)英語スキルが求められていると思います。就活繁忙期はそれどころじゃないので今時間に余裕がある人はやはり英語のレベルを高めておくことを強くおすすめします。
成長が見込める企業の選び方②EC化
eコマース。つまりネット通販ですね。10年前には考えられなかった(であろう)、ネットで何でも買う時代です。
しかしその中でも化粧品は、やはり実際に試してみたいという消費者が多く、EC化が他業界に比べて遅れています。それでも、どう考えても時代はリアルからネットへ流れています。コロナウイルスの世界的な大流行で外出自粛となったことがデジタル化を急速に加速させました。
化粧品業界の主要チャネルは、
①訪問販売(いまどきほとんどない)
②通信販売(EC)
③制度品流通(美容部員がいるような販売形式、百貨店など)
④一般流通(ドラッグストア、コンビニなど)
の4つに大別され、現状③④のシェアが高い企業がほとんどです。
2019年度の化粧品・医薬品市場のEC化率は、7%とまだまだ低い現状にあります。化粧品業界でデジタル化のトップを走るロレアルは、EC事業がシェアの24%を占め、今後50%を目指すと発表しています。
ネットで化粧品を購入することが当たり前の時代(初回は対面カウンセリング、次回以降ネットで購入など)になることは確実でしょう。
各社がデジタル化・EC化を進めているか、企業研究の際にはぜひともチェックしてみてください。
化粧品業界を目指す就活生へ
つらつらと書きましたが、化粧品にアツい思いがあれば絶対にどこかの会社が採用してくれるはずだと思います!🔥
私は就活がとってもとっても辛くて、「こんなにも"美"を信じていて崇めていて、私が命を燃やせる仕事は美容しかないのに... なんで選考通らないんだろう... 美容しかないのに... 」と泣いた日もありました。
みんな辛い思いをします。それでも美しさに興味がある人は、その思いを絶やさずに最後までどうか頑張りましょう。
「自分が美しくなりたい」のではなく「美しさで人や世界を変えたい」と思っている人、一緒に変えましょう!
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