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Fish, Fish, Fishes?なんてFishyな英語の複数形
英語という言語は、Morphology=形態学・語形学という観点からは大変につまらない言葉です。
活用がないからです。
日本語では、動詞には四段活用などがありますが、名詞は変化しません。
主語に応じて、名詞の形態が変わるヨーロッパの言葉には数多くあります。
英語に近いドイツ語の場合は、名詞そのものが変わらなくても、場面に応じて、冠詞のDerやDieやDasがどんどん形を変えます。複数形も変わります。でも単語そのものは形を変えない。
ロシア語は状況に応じて名詞の語尾も変化。
こういう変化の研究する言語学の分野を「モルフォロジー」といいます。
モルフで形という意味。
Metamorphosisはカフカの短編小説「変身」の訳語。「メタ Meta」は良く知られる「上の、後ろの」という意味以外に変化させるという意味があります。
Morphologyには形態学という日本語訳が一般的ですが、語形学の方がしっくりきます。とにかく言葉の形の変化に関する言語学の分野。
英語の複数形
日本語の場合は特に名詞を複数数えても変化や活用はしませんよね。
「こども」を子供たちと呼んだりしますが、本来は「子」だったのが、複数を「とも・ども」を付けて表現する世になり、こどもで複数の子だったのが今ではさらに「こども+たち」。このように言葉は時とともに用法が変化して変わりゆく。
Child-Childrenは不規則変化形ですが、こういう例外的なもの以外の場合、英語の基本的な複数形は単純です。
Sを語尾に付けるだけ。Dogs, Cats, Bats, Insects, Foxesなど。
Foxesのように、ときには-esとなったり。
子音FやFeで終わる場合は子音まで変化したりしますが、基本的にSを足せばいい。Knife-KnivesとかYourself-Yourselvesとか。
母音Oの名詞は-esに。Hero, Potato, Tomato, Volcanoなど。
他にも不規則変化はたくさんあります。
ラテン系の言葉
ラテン語起源の言葉は英語話者にもややこしい。普段は複数形で使っていて単数形が知られていない場合も。
-on →-a
An Phenomenon / Phenomena 現象
A Criterion / Criteria 項目(単数はあまり使わない)
-um →-a
A Datum /Data データ一つとデータの集合体(単数はあまり使わない)
A Curriculum / Curricula カリキュラム・複数のカリキュラム
-us →-i(アイと発音)
An Alumnus / Alumni 一人の卒業生と卒業生の集まり
A Cactus / Cacti 一つのサボテンとたくさんのサボテン
A Fungus / Fungi 菌と菌類・キノコも含む
A Nuckeus / Nuckei 原子核、複数の原子核
-is→ -es(イーズと発音)
A Crisis / Crises ある危機と数々の危機
An Analysis / Analyses ある分析と複数の分析
An Exegesis / Exegeses 注解・複数の注解
A Thesis / Theses 一つの論文と複数の論文
Ellipsis /Ellipses 省略符号(…)、普通は複数
A Diagnosis / Diagnoses 診断・複数の診断
An Oasis / Oases オアシス(発音がカタカナと全然違いますよ)
-x→ -ces(シースと発音)
An Appendix / Appendices 巻末付録
An Apex / Apexes 頂点・数学などで複数の頂点
A Parenthesis / Parentheses 括弧、Bracketでもいいですが、こちらが本式、でも舌を嚙むので言いにくいかも(笑)
Index / Indices 索引インデックス。Indexesも許容されています。Indicesは母音も変化するのでスペルが難しい。
でも古英語由来のFoxはFoxes。
a →-ae(イーと発音)
Antenna / Antennae 昆虫の触角の場合はほとんど複数
A Larva / Larvae 幼虫(カタカナで書いて、ラーヴァがラーヴィーに)
A Pupa / Pupae 蛹(ピューパにピューピー、可愛らしい響きの言葉!)
Vita / Vitae Vitaは英語では普通は使わない。履歴書のCVのVitaeで一般化していますが、複数形というよりも所有格 (Of life)と同型なのではないかなとも思います。正しいかな?
ラテン語ではなく現代イタリア語的変化
A Cello / Celli 一丁のチェロと複数のチェロ(Cellosという使い方が普通かもしれませんが、音楽家の間では正しくはCelli)
無理に覚えなくてもいいかも
でも大学の論文ではきちんとした複数形で書かないと。
英語を学んでいる目的は何かでどこまで覚えるべきかが変わりますよね
などなど。
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日常語のWomanーWomenは英語ネイティブでも会話ではあまり使い分けない。
Many womanといえば文法的には正しくなくとも、会話では普通に聞くものです。きっと半世紀後にはWomenは死語と認定されていることでしょう。
Tooth / Teeth, Foot/Feet, Goose/Geese など、古いゲルマン語由来、古英語の場合も複数形の形はさまざま。いつ頃外来語が英語になったか、どのような過程で英語の一部となったかで、この辺の変化事情は変わってくるのです。
Mouse/Mice も形が違いますが、古英語由来。
Ox/Oxenとかも。こう言うことを調べるのは楽しいですね。
クイズQuizはQuizzesで、これまた変則ですね。
複数単数が同型の単語
さて全然単語自体が変化しない場合もあります。
特に身近な動物たちに多いですね。
Sheep(羊)
Trout(鱒)
Moose(ヘラジカ)
Deer(鹿)
Salmon(鮭)
Swine(豚を不浄な動物として軽蔑して呼ぶときに使います)
Bison(バイソン、北米原産の毛深い牛)
Tuna(マグロ)
Bonito(カツオ)ーBonitosの場合は後述する複数の違うカツオを対象として話している場合に
Shrimp (小エビ)
など。探せばまだあるかも。
A sheep, two sheep, three sheep…
Aircraftも単数形と複数形が同じですが、どうして同じなのかな?
複数形を普段は取らない言葉が、複数形のSを持つ場合もある言葉
さて、英語のややこしさの極みはこれですね。
![](https://assets.st-note.com/img/1679261046614-OlAL9VVouL.jpg?width=1200)
同じ魚は決してFishesと数えないのですが、違った魚に対してまとめて言及するときにはFishesが正しい!
こういうのは、Peopleも同じ。
人の単数形はA Personですが、二人以上になると、Two peopleで、Peopleは常に複数。
でも民族という場合にはPeoplesとなります。一つの民族は A peopleです。
There are many culturally incompatible peoples in the world.
経済問題や法律文書ではMoniesというMoneyの複数形も可能。
お金を$100とかで数えるのではなく、相続するお金と支払ったお金だとか、お金の種類が違う場合は二種類のお金があることになり、Moniesも正しい英語です。
Paperも同じですね。大学の専攻科目など、場合によってはPapersと数えられます。普通は A sheet of Paper.
複数概念の言葉と単数と複数を分けて数える名詞の違いはもう文化ですので覚えるしかない。動物の複数形も文化的な発想からできていますから。
Hairは髪の毛全体ならば、常にHairは数えられない名詞。でも髪の毛一本は A Hairとも、数本ならHairsとも表現できます。
家具は家に置かれている家財道具の総称なので、A furnitureとは決してならない。だから家具一つは A piece of Furnitureとか言われる。
Japanese(日本国民)やEnglish(英国民)には、People同様に複数形はないですが、英語という意味では、イギリス英語、ニュージーランド英語、南アフリカ英語、シンガポール英語などというヴァリエーションを数える場合は
Englishes
ですね。
まあ頑張って覚えてください。
ネイティブでも間違えることのある複数形の正しい形のお話でした。
語形学的には単純だとされる英語には、ドイツ語やフランス語の格変化とは別の難しさがあるかもしれないですね。
Fish - Fishes - Fishy
ちなみにタイトルにあげたFish-Fishes-Fishy。
FishにYを付けると、Fishyは「胡散臭い、怪しい」という意味の形容詞になります。Fishyは本来は「魚臭い、生臭い」という意味ですが、嫌な臭いから「胡散臭い」となったそうです。
言葉は文化なので、魚をこよなく愛する日本人の発想とはだいぶん違う意味の言葉が、Fishから生み出されるようです。
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