南半球の冬至は新年です
6月21日は北半球の夏至でした。
つまり一年の内で一日の日の照る時間が最も長かった日でしたが、地球は丸いので、南半球においては6月21日は冬至でした。
わたしは南太平洋に位置するニュージーランドで暮らしていますが、冬の始まりの六月現在、毎朝の冷え込みは非常に厳しくて、朝起きるのが辛いです。
路上駐車している車のフロントガラスは霜で凍り付いていますね。
私の住んでいる北島中部の街はセントラルヒーティング(Central heating 床下暖房)を入れるほどに寒い地域ではないですので(ニュージーランドの寒冷な南島ではセントラルヒーティングは普通に普及しています)とても寒いのです。
北海道の冬は東京の冬ほど寒くはない、とよく言われる現象と同じです。
ヤヌス神が招く新年
北半球と南半球の気候は真逆ですので、南半球の夏至は、伝統的に一年の始まりに当たる新年です。
北半球では一月に新年のお祝いがありますね。冬至とは少しばかりずれている事情は南半球でも同じです。
いろんな民族の間で農耕のために暦は作られました。
本来は農耕開始の三月が新年だったところ、農閑期の間を一年と終わりと始まりの境界であると定めたところから、現在の一月が新年となったのだとか。月の運行に基づく太陰暦でも同じことです。
暦を定めたローマでは、一年の終わりと始まりに位置する一月を二つの顔を持つヤヌス神の月としました。
ヤヌスは門の入り口を司る神。または過去と未来の間に位置する神。
一般的には、家の前向きと後ろ向きにそれぞれの顔を向けている神様で、だからこそ、一年の始まりの神様に選ばれ、ヤヌス Janus は英語で January、ドイツ語で Januar、フランス語で Janvier、イタリア語でGennaio となったのです。
マタリキ Matariki
さてニュージーランドの新年は、星の運行に基づくものです。南半球と言えば、ニュージーランド国旗にも描かれている南十字星かもしれませんが、実はニュージーランドで一番人気のある星座や星はプレヤデス星団。
日本でも昴として親しまれていますね。
ギリシア神話の七人プレヤデスの姉妹たちは、明るい星たちが天空の近い部分で重なり合うので華やかです。
プレヤデス星団は一年中ほぼ見えているのですが、4月から5月ごろに姿を見せなくなります。でも6月の終わりごろには再び輝かしい姿を現すのです。そして見えなくなっていたマタリキ(プレヤデス星団)が再び見えるようになることは、死からの再生を意味します。
ですので、ニュージーランドにおいて、マタリキの日は祝日に正式に制定されました(2022年が制定休日となった最初の年です)。
マオリ文化では、マタリキは家族を思う日。日本のお正月のようにご馳走を食べてお祝いします。そして祖先へと感謝を捧げて、子孫たちの繁栄をお祈りして祝うのです。
マタリキとは、Mata Ariki(神の目)という意味と、Mata riki(小さな目)という二つの意味があります。
冬の空の大きなオリオン座の傍で輝いている七つ星(または六つ星、視力の良い人には九つ星)は神々しいものです。空気が澄んでいるために、こちらでは星は本当によく見えるのですから。
明日の6月24日は祝日です。
わたしもマオリ文化にあやかり、家族と良い時間を過ごしたいと思っています。寒いので外に出かけるよりも、家を暖かくして新しい映画でも見る予定なのですが(笑)。腕によりをかけてご馳走を作りますね。
マオリ語の「きらきら星」
「きらきら星」の歌のマオリ版は、マタリキの歌です。
これを歌えるようになると、全ての星の名前を覚えることができるのです。「きらきら星」は18世紀のモーツァルトがパリで聴いて、ピアノのための変奏曲にしたくらいに古い音楽。作曲家不詳のメロディでした。
英語圏でも「子守歌」として知らない人のいない音楽なので、マオリ語にして歌うのはいいことですね。
日本語でも「きらきらひかる、お空の星よ」と歌うのですから。
それでは、良い一日をお過ごしください。
Happy Matariki!
マオリ語では、Ngā mihi o Matariki, te tau hou Māori'.
ローマ字読みして、「ナ・ミヒ・オ・マタリキ・テ・タウ・ホウ・マオリ」で、完璧に通じます!