何が違いますか?:Geek, Nerd, & Otaku
趣味でオックスフォード英語辞典(OED:つまり英語世界では最も権威ある英語辞書)をよく眺めているのですが、スラングとして、耳慣れた日本語「オタク」が英語となっているのが面白く思えたので、ここに紹介しておきます。
Otakuとは
オタクという言葉。
OEDに登録されたのは2004年のことで、もう19年も前のことになりますが、それでも一般的な英語話者には理解されません。
こういう英単語は本当にたくさんあります。
英語という言語の強みは世界言語として、貪欲に外来語を取り込んでしまうこと。日本語も外来語をカタカタ語や和製英語として取り込みますが、英語の外来語の多さは群を抜いています。
外国語由来の言葉は英語的なアクセントを獲得して英語化することがほとんどですが、外国語本来のアクセントをそのまま保持するべきという純粋主義者もいるにはいますね。特にフランス語系の場合は。
Karaokeなんてカラオケと言っても絶対に通じない。無理やりカタカナで書いて「キャリオーキィ」みたいな音になります。
オタクも同じ。「ォタァク」。
日本のアニメが好きだというような限られた人たちの間でしか通用しない英単語Otakuですが、一応きちんと英単語として認められています。
座布団もZabuton(ザブートゥン)ですが、誰も知りませんよ、日本文化オタクな英語話者以外は。
英語って大変です。国際語である英語の語彙力の多さには圧倒されます。
だから私はいつまでたっても新しい英単語を日々覚え続けていかないといけないのです。
GeekとNerd
わたしは英語圏で暮らしていますが、テレビはニュース番組くらいしか最近は見ません。でも朝と夜にはテレビをつけるので、一時間以上は聞き流しているでしょうか。
YouTubeなどから、TedTalkなどの質が高くて専門性の高い動画で余暇を過ごしますが、こうした行為は非常にOtaku的。一応自分で番組の代わりに見たい動画を選択しないといけない。AIは似たような動画をお勧めしてくるので、やはり非常に偏ったものにばかりになる。
多様性の時代には動画の内容もどんどん専門性が高くなり、大学に行かずとも、知識の蒐集と独学による学習ならば、なんでもある程度までは学べてしまう。
わたしのような人間は英語で
または
などと表現されたりもします。
学校などでは習わないかもしれませんが、超重要単語。
古い辞書には掲載されていないかもしれない、比較的新しい言葉ですが、二十世紀から存在していました。
やはり1997年にインターネットが我々の生活の一部となり、英語世界でMilllenium Generation と呼ばれる世代がインターネットと共に生まれた時から生きるようになって、GeekやNerdと呼ばれるに相応しい人たちが急増して、これらの言葉は一般化したようです。
Nerdとは
まずはNerd。一般的には学校では勉強ばかりしている奴という意味ですが、辞書的には広い意味があります。
英語でならBook Smartと言い換えられそうですが、日本語のガリ勉という言葉同様に、Mildly derogatory(若干、軽蔑的) という点がポイント。
Geekとは
一方のGeek。これはかなり古くから使われていた言葉なようですが、現代的にはコンピュータオタクに適応されますね。時にはテクノロジーやコンピュータに強いことで、褒め言葉なことも。
でも本来の意味は相手を「奴、あいつ」と言い表す俗な表現で、「馬鹿・Foolish」という意味合いが込められていたという単語。
ここから派生して、現在では「社交的ではない、非常に勤勉な学生」果ては「極端に何かに打ち込んでいる人、コンピュータやテクノロジーに非常に詳しい人」という意味として使われるようになりました。
どちらも似たようなものかもしれませんが、今回検索してみて、アメリカの国民的アニメ(日本のサザエさんにも通じる知名度、30年たってもいまだに放送されています)の The Simpsons の次の二人のキャラの対比がGeekとNerdの完全な説明。
なのだなと妙に納得しました。
でもThe Simpsons を知らない人には理解されない。文化的背景を理解できないと言語は理解できないのです。
辞書愛読のすすめ
日本語においても、「オタク」も最近は、専門的な知見に富んでいる人物という意味で理解されて、良い言葉として使われることも多いようですね。
多様性の時代だからでしょうか。
まあGeekもNerdも同じ。専門性というものは武器になりますからね。分野にもよりますが。
さて、Otakuという言葉でグーグル画像検索するとものすごい数のコスプレ画像が見つかります。
これが海外認識のオタク。
コスプレも英語になっていて、語源(Etymology)を調べるのに非常に優秀な語源サイトのEtymonlineを使うと
という回答を得ました。
Costume+Playから作られた和製英語が逆に英語化したのです。この言葉はかなり市民権を得ていますよね。
1983年にすでに英語として認知されていたとはすごい。
幅広い知識を得るには、インターネット上のオンライン辞書に限りますね。
英語学習も愛程度の段階までたどり着くと、英英辞典を読むのが面白い。
いきなりネイティブ向きの権威あるオックスフォード英語辞典は難しくても、Learner's Dictionaryという英語学習者向きのものさえあるのですから。
語学学習において、辞書は知らない言葉を調べるのではなく(知らない言葉は和英辞典でやはり母語を通じて理解している方が、もし翻訳に興味があれば絶対に役立ちます。会話だけならば英英辞典だけでもいいですが)、知っている言葉がどんな風に説明されているかを調べるのが楽しい。
辞書を友として
語学の上達には辞書は欠かせません。辞書を一切使わないで英語を覚えたなんて人も時にはいますが、そういう人は喋り言葉にしか精通していない。それでは絶対に英語を極められない。
極めなくてもいいかもしれないけれども、辞書ほどに語学習得を速めてくれるものはないので、使い方を知っていると無駄な努力をしないで最短で語学理解を深めることができます。コスパの高い勉強法には辞書は必要でしょう。
ネイティブの友達にこ言葉の意味ばかり聞いても嫌がられるし。
言葉を調べるために使うのではなく、Paraphraseの練習に使いましょう。
簡単な言葉を英語で説明できますか?
Technologyという誰でも知っている言葉。これを英語の一文で説明するとすればどのような答えを考え出せるでしょうか?
これに対してOEDはいくつもの答えを出してくれますが、四つ目の意味が自分の答えに近い
辞書にはいろんな使い方がありますが、自分は言い換えの答え合わせに使って、語源を調べるのが好き。
最近はやりのChatGPTで、一文で説明せよと聞いてみると:
わたしが「生活を向上させるため」と書いた部分がより具体的になっていますね。言語モデルのGPTは辞書代わりにもなります。いろんな要求を付け加えることができるし。
GPTには世界中の様々な辞書のデータが取り込まれていますが、どの辞書から取ったのかは教えてくれない。でも語学のこうした練習には最適です。百科事典としては間違いだらけで、信用なりませんが。
ChatGPTはいいとこどりして答えを質問に準じて提供してくれるのですが、辞書を自分で引いて知識を探し当てるという喜びは提供してくれそうにないです。
というわけで、ある程度の英語力を身に付けられた方は英語ネイティブが利用する英英辞典を使われることをお勧めいたします。
言葉を覚えるには、言葉を生きた場面で使うこと、使われるのを見ることが大切。だから映画やドラマで見て心象的な場面で使われたフレーズはいつまでも頭の中に残ります。または大切な友達との会話や外国人とのやり取りでの失敗。
つまりContext(体験した文脈)がないといけない、そしてRelevancy(自分の実体験における関連性)がないといけない。
辞書は実体験ほどではないかもしれないけれども、パラフレーズ、言い換えで遊ぶならば、限りなくRelevant にContextualiseできると思います。
英語を混ぜた日本語。最低だな(笑)と思いつつ、こう書いてしまうのは、もしかしたらこの方が読んでくださった方が、よりよく記憶していてくださるのでは、という思いからです。
奇をてらった文章。たまに出会うと忘れないかも。こんな文章ばかり書いていると嫌味ですが。Nerdyな表現かも(笑)。