三段鍵盤チェンバロという楽器
この動画は、1740年にハンブルクのヒエロニムス・ハス(Hieronymus Albrecht Hass 1689-1752)という楽器製作者で演奏家だった人が作った楽器を復元して、ドメニコ・スカルラッティのソナタを弾いたものです。
聴くばかりではなく、動画を是非「ご覧になって」下さい。
二段鍵盤チェンバロはバッハやヘンデルも愛好したバロック時代の標準楽器ですが、なんと鍵盤を三段にした大型チェンバロを製作したのです。バロック時代にも他に類のない、おそらく唯一の例。
ハンブルクに住んでいたために、ハンブルク在住のCPEバッハやテレマンと交流があったかどうかを調べましたが、どうも裕福な貴族の個人所有だったために、彼らがこの楽器と関係を持ったという記録もありません。音楽史の謎ですね。どうしてこのような楽器が制作されたのか。
博物館に置かれていた楽器が21世紀になって復元されて、YouTubeではいくつかの動画もあります。
演奏者から一番遠い三段目の鍵盤を弾こうとすると、ずいぶんと手を伸ばさないといけないので、腱鞘炎になるのではないかなと老婆心ながら心配してしまいます。三段目の音もそれほど音量変化があるわけでもないので、チェンバロはやっぱり二段で十分です。でも微妙な音色と音量の違いには聴くべきものがあります。チェンバロからピアノへと鍵盤楽器の主流が移り変わってゆく過渡期の時代遅れなスペック高過ぎな無駄な楽器でしょうか。
チェンバロで演奏されるスカルラッティは素敵な音楽です。ピアノ版よりも個人的にはこちらの方が好き(こちらがオリジナルだし)。楽しんでいただけると幸いです。
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