2024年10月, ショパン新曲発見される!

モーツァルトのお姉さんナンネルが秘蔵していて出版社に送ったらしい「ガンツ・クライネ・ナハトムジーク(とても小さな夜曲、ナンネルが手紙の中でそう読んでいたための命名です)」がモーツァルトの死後、230年以上も経ってから発見されて、わたしは心底驚き、その興奮冷めやらぬ中で、今度はショパンです。

ニューヨークの古い博物館の古書倉庫から、フレデリック・ショパンの直筆の繰り返しを入れてたった四十八小節のイ短調のワルツが見つかったことが発表されました。

第三者の手によってChopinと書き込まれている以外は完全にショパンの手によるたった1ページの楽譜。偶然ですが、このところショパンに興味を持っていて、数々の写真入りのショパンの伝記を読んでいるのですが、本に掲載されていたショパンの若い頃の自筆譜と全く筆跡が同じだと一目でわかりました。

ショパンには十八曲のワルツがありますが、うち半分は生前には出版されなかったものです。どうしてかと言えば、ショパンは世話になった友人などに自作の楽譜を気前よく贈る癖があり、そのおかげでショパンの死後にたくさんのショパン所有ではない未出版楽譜が友人たちの所有物から見つかったのです😳。

ショパンは手紙で少なくとも現在見つかっていない十曲のワルツについて言及していて、今後更なるワルツが見つかる可能性が残されています。気前が良くて、自作を所有したりすることに拘らなかったショパンのお人柄がよく分かる新発見でした。曲をサラサラっと書いてすぐに友達にあげてしまうショパンって🤔。自作カタログ作って作品を記録したモーツァルトと大違いですね。

ここでは楽譜付きの動画を紹介します。初演に選ばれたのはニューヨーク在住の人気ピアニストのランランでした。楽譜を見ながら聴くと面白い。

第三拍目にフォルツァンドというアップビート指示があるのはショパンらしいですが、ショパンには珍しくfff(フォルティティッシモ)という大袈裟な表現も書き込まれていて、こんな短い小品なのにショパンらしいドラマがある良い曲です。

ショパンには1830年、つまりショパン二十歳の頃に書かれたホ短調の嵐のように激しい遺作ワルツがありますが(超名曲)、この新発見のイ短調も同じようなエートスを持つ曲であると言えるでしょうか。

新曲発見ラッシュの2024年ですが、AIの急激な発展と何か関連があるのでしょうか。気になるところです。ショパンがお好きな方は弾いてみて下さい。上級者ならば初見でさらえるレベルの曲ですが、fzにfffとなんとも騒々しい曲。こんなに短い曲にこれほどのドラマが込められているとは!やはりショパンは只者ではありません。

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Logophile
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