クリストフォリによる世界最初のピアノで奏でるスカルラッティのソナタ
当時のメディチ家は衰退期にあり、1737年にはメディチ本家は家系断絶。しかしながら、史上最大の芸術パトロン最後の矜持か、クラシック音楽の象徴ピアノを最後に生み出すことに貢献したのち、歴史の表舞台からは姿を消してゆきます。
さて、クリストフォリ。世界史の試験にも出てくる有名な名前なのですが、実際にクリストフォリピアノの音を聴いた人はほとんどいないと思います。
でも21世紀、こうしてYouTubeから普通に見れて聴けてしまう。博物館の楽器を修理して特別に演奏に使用された歴史的楽器の音、いかがでしょうか?
弦を弾いて音を出すハープシコードでは強弱弾き分けは無理なのでアクセントは音符の長さを変えることで表現していました。強弱弾き分け(イタリア語でフォルテとピアノ)ができることは画期的だったのです。だから新しい楽器はフォルテピアノと呼ばれるようになりました(のちにピアノに短縮)。
クリストフォリピアノは発明されたイタリアでは流行らずに、JSバッハの協力を得たドレスデンのジルバーマンによって改良されて、プロイセンのフリードリヒ大王に買い取られて、ドイツ・オーストリアの楽器として発展してゆくのです(その後、ロンドンでさらに進化)。
文献上で確認できる1700年頃に作られた世界最初のフォルテピアノは現存しませんが、クリストフォリはその後も改良を続けて、1720年製のピアノが世界最古のピアノとして知られています。ウナコルダ機能(ソフトペダル)付き!日本史でいえば享保の改革、徳川八代吉宗の頃。
クリストフォリピアノはペタペタという音が柔らかで繊細でいいですね。ジルバーマンピアノの音はもっと力強くて劇的効果に富みます。スカルラッティ屈指の名作であるニ短調ソナタ。典雅な調べです。
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