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どうして英語ってこんなに難しいの?: (5)英語の摩擦音

わたしは海外の大学で英語だけを使って生徒さんに授業するのですが(日本語を教えているわけではないので当然です)、大学には、英語が母国語ではない教員はかなりいるわけです。

ですので、英語に難のあるわたしのような同僚の英語指導などをして下さる方が、わたしが発する摩擦音 Fricative の子音の/f/の音が英語的ではないと指摘して下さいました。

南アフリカ英語やインド英語などを喋る方でも、英語が母国であるにもかかわらず、彼らの英語が時に問題視されることもあります。

わたしの場合は二十歳を過ぎてから英語を話し始めたので、授業をするのは本当に大変です。

摩擦音は日本人が苦手にする音。

HとSとShの音は日本人はそのままハ行、サ行とシャ行の音でもんだいないですが、それ以外はもう練習が必須。

以前こちらで /th/ がどれだけ難しい音なのか、言語学的にユニークな音なのかを書きましたが、

/ð/ や/θ/ ばかりではなく、/v/や/f/も摩擦音。

/s/ や /z/ も摩擦音の仲間なのだそうですが、これは日本語式でもほとんど問題には鳴りません。日本人らしさもこの音からはわからない。フランス人の苦手な /h/ は日本語式でいいですよね。

でもドイツ語やロシア語のChの発音は本当に息を吹き出して喉の奥から発音する音。これは摩擦音ではないですね。大作曲家のBachのChです。英語の人はバッハではなく、バックと発音します。ラフマノノフ Rachmaninovも、ラクマニノフのように発音する英語ネイティブに出会ったこともありました。

英語ではHard Hとしばしば呼ばれます。スコットランドの怪獣で有名なネス湖はLoch Nessで、このLochのchは、Bachと同じ。画家のゴッホ Van Goghも英語の人はフランス語式にヴァン・ゴーグと呼びます。

Loch Ness:From Google Earth

世界の言語にはいろんな音があるのです。

摩擦音の難しさ

上の唇と下の歯を噛み合わせて、隙間から音を噴き出す音は、日本語にはないものです。

「ヴ」というカタカナで表記できるVの音は、Bの音と一緒にしてしまうと、英会話では通じないので、いつもVは意識して発音して、もうこの音に困ることはないのですが、Fは下唇を噛まなくても大抵は通じてしまうので、意識しなかったのですが、日本人らしさを英語発音から無くすには、きちんとFも発音しないといけません。

Fiは、フィではなくて、フィッじゃないといけません。Fishは、フィッシュで普通に通じますが、完璧を目指すならば、フィッシュと思い切り音を前に押し出しましょう。

Informationは、無理やりカタカナで書くと、インファメィシャンという感じですが、このFも必ず、音を飛ばさないといけません。音節はIn+for+ma+tionで、Fはアクセントの前の音で、母音が曖昧になりますね。インフメィシュンの方がより正確でしょうか。

無料の発音矯正レッスンをして下さった同僚の方に大感謝です。

というわけで、F音を鍛える早口言葉をこれから毎日練習することを決めました。

この詩がとても気に入り、毎日暗誦することにしています。

Flying fox には、羽毛も飾りももなく、やせっぽちで悪魔のような恐ろし気な顔している。
果物や花の蜜を食べているけれども、じつのところ、
Flying Foxとはコウモリなのです(Flying Foxでオオコウモリ)。


https://www.eurekalert.org/news-releases/582988 
CREDIT: ©JACQUES DE SPEVILLE

わたしは野生のオオコウモリを見たことはありません。オオコウモリ、確かに体つきはキツネによく似ていて、「空飛ぶキツネ」というネーミングは相応しい。

でも英語圏で、Flying Foxといえば、こどもたちはこちらを連想します。

大きな公園などにはよくある遊び道具。これがFlying Foxと呼ばれています。楽しいですね。この遊具は大人にも大人気です。

https://www.playgear.co.nz/gallery/album/14/Monorails-and-Flying-Foxes 

インターネットは便利なもので、探せばいくらでもFの早口言葉か見つかります。

さてこれからわたしが練習したい早口言葉は次のようなもの。

これは早口で言うと、ネイティブスピーカーでもなかなか難しい。
日本語の「生麦生米生卵」みたいなもの。

良かったら挑戦してみて下さい。

わたしが若かった頃にこういうものを見つけるのは苦労したものだったので、独学で勉強したい人には便利になったものです。お金を出すならば、ネイティブの英語の先生もすぐにオンラインで見つかります。

わたしは英語の国に住んでいますが、ここでは誰でも英語は喋れても、誰もが英語の先生になれるわけでもないので、自分の英語の欠点は専門書を読んだり、専門の英語の先生に指摘していただくほかはありません。

「ファ」や「フィ」や「フ」や「フェ」、そして「フォ」は、強い音を噴き出して初めて英語的な音になるのです。わたしも頑張ります。英語を上達したいと言われる方は、唾を飛ばすくらいに最初は大袈裟に練習してみてください。頑張ってくださいね。


ほんの小さなサポートでも、とても嬉しいです。わたしにとって遠い異国からの励ましほどに嬉しいものはないのですから。