ヤニグロの奏でるバッハの「チェロ協奏曲 BWV592」

朝のBGMにチェロの調べはいかがでしょうか。

バッハにチェロ協奏曲なんてあるわけがない!といわれる方はバッハの音楽をよく知っていらっしゃる方ですね。

バッハはチェロのための練習曲として無伴奏組曲は書きましたが、チェロによく似たヴィオラ・ダ・ガンバを偏愛していたバッハは、あまりチェロのための音楽は作曲しませんでした。

この曲は編曲版。

バッハに音楽先進国イタリアの新しい協奏曲を教えたザクセン・ヴァイマル公国の公子ヨハン・エルンストの作曲が原曲。

ヴァイオリンが得意だったヨハン・エルンスト公子はバッハにマルチェッロやヴィヴァルディなどのイタリア音楽以外にも、自作のオルガン編曲をバッハに依頼したのですが、このチェロ協奏曲はバッハの編曲をさらにチェロ用に書き換えたものです。

1950年代に西側で最も優れたチェロ奏者として一世を風靡したアントニオ・ヤニグロの演奏があまりに素晴らしかったので、ヤニグロの録音を紹介します。

渋い音色のヤニグロのチェロは、ロストロポーヴィチやマイスキーのような輝かしい派手な音色のチェロとは別の色彩の音がします。

第二楽章の哀切感あふれるチェロの音色に心打たれます。

ちなみに作曲者のヨハン・エルンスト公子はこの曲を作曲後の数年の後、18歳の若さで世を去ります。ヴァイマルのバッハは公子の死を心から悼んだのでした。

演奏者ヤニグロは伝説のピアニストのディヌ・リパッティの学生時代の親友だった人物。今では忘れられているかもしれませんが、チェロが好きな人は覚えていても損はない、20世紀最高の名手の一人です。

現代最高のチェリストの一人のマリオ・ブルネロが師事したことでも知られています。

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