学校で習わなかった英文法: 中間構文
〜12月22日 13:00
日本人は学校で文法ばかり習って、十年ほども英語を勉強しても全然上手に喋れないじゃないか、なんて言われたりもします。
でもですね、日本語もペラペラな多言語話者スティーヴ・カウフマンさんによると、日本人は英語のインプットが全然足りないから喋れないのだそうです。
私見では、日本の学校は本来、学生に英語を喋れるように英語を教えるつもりは全くなかった。つまり、英語学習は文法学習を通じて知性を高めるための訓練だったのです。
欧米のエリート学生が学問用語でしかないラテン語を勉強していたようなものです(現代でも医学部に行きたければラテン語は役立ちます)。
かつてのラテン語の役割を現代では英語が果たしているということですね。
ヘルマン・ヘッセの小説で、学生たちがみなラテン語を学んでいたことをご存じの方もいらっしゃるでしょう。
どんな言語でも、まずは大量に単語を覚えて語彙を豊かにしないと会話なんて出来るわけがないとスティーヴさんは言われる。
このスティーヴさんの場合は、会話ができるとみなしているレヴェルが非常に高いので、本当にその通りなのですが、文法はしゃべるだけでなく、書くということに特化すれば必修科目です。
スティーヴさんは日本語ペラペラですが、あまり書けないはずです。
彼はひたすら音で聞いて本を読んで語彙を増やすという学習法を中国語や日本語、トルコ語など、彼の母語である英語とは遠い難しい言葉にも応用して20か国語を喋れるようになられたのです。
スティーヴさんの語学への情熱には脱帽ですが、英語ペラペラでも英文をきちんとかけない人なんでいくらでもいるものです。日本語ペラペラな外国人においても同じ。
喋り言葉はひたすら物真似。
周りの人の言っている言葉をひたすら吸収し続けると、そのうち必ずうまくなります。もちろん、周りの人の喋っているひどい文法やスラングなどの語彙も真似をして。
そして周りの人たちの癖の何がおかしいのか正しいのかもわからないままにその言語の話者になれるわけです。体系的に学問として英語を学ばないと、本当には英語という言語は理解できない。でもそこまで深くある言語に精通できる人は限られています。
でも今日紹介する知られざる英文法は役立ちますよ。
受身形の作り方
中学生英語の早い段階で、われわれは能動態と受動態 (受け身形)というものを学びます。
ある文をActive VoiceとPassive Voiceに瞬時に言い換えられる書き換えられるという技術、地味ですが非常に重要です。
この文章を受け身形にすると
となり、The shopは普通は省略されます。あえて最初の文の主語を受け身文にも含めたかったら、by the shopを最後に修飾節として付け加えます。
二つの文を比べると、最初の能動文では、主語がThe shop。誰か売ったかが話題にされています。
でも二つ目の文の主語はSmartphones。売られた対象であるスマホが主語。しかし、いずれの文でも動詞はSell。
受け身にするとBe sold。
Sellは分詞型になるのです。
さて、これらの二つの文型を使いこなせると大抵の場面で英会話にも英作文にも困ることはないのですが、受け身形はやっかいです。
マイクロソフトワードは受け身系の英文を書くと、わざわざ青線を引いて「受け身ではなく能動型を使いましょう」なんて余計なお節介までしてくれます。
ビジネス英語ではActive Voice 直接表現が好まれるので、受け身型はレポートなどでは嫌われる傾向にあります。
ですが受動型を使いたいこともよくあるものです。受動態でないとニュアンスが伝わらない文章もあります。
文法的に決して間違いではないのに英語の公式文書では受け身文は不人気。まあ伝えることに主眼が置かれているビジネス文書は感情を伝える小説ではないので、排除されてしまう理由もよくわかりますが。
そこでですがお勧めしたいのが、日本の学校が普通は教えてくれない、能動態でも受動態でもない構文。どちらでもないので日本語では中間構文と呼ばれています。
英語では Middle Voice、または専門用語で Mediopassive Voiceと呼ばれる文型です。
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11月22日 13:00 〜 12月22日 13:00
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