どうして英語ってこんなに難しいの?: (18) Something else!
また発音の話です。
ある程度上手に英語に喋れる人でも (英語らしいイントネーションとリズムで喋れても)、発音からお国が分かるなあという言葉の代表は
日本語話者に難しいのは、SomeのMと、Mに続くTh。
日常語なので、綺麗に発音したいものですが、なかなか難しい。
どうして難しいかという解説は、レイチェルさんの動画に詳しいです。
アメリカ英語ですが、Somethingを/sˈʌmθɪŋ/としても /sə́mθɪŋ/と発音しようが、会話において大差はないものです。
もっと大切なのは「Some」+「Thing」と二つの音節の言葉として発音できるか。
これが一番の問題です。特にSomeのEはサイレントで、Mという子音で終わる単語としなくてはいけません。母音なしで発音。唇を一瞬閉じると、カタカナの「ム」にならずに、子音だけのM音になります。
そのM音を唇を閉じて押し出して発声して、舌を軽く噛んで、Thing!
以前にも書いたように、Thは古英語では独自のアルファベット文字が使用されていたほどに英語においては頻繁に使われます。英語独特な音で、これがあるから英語が英語らしく聞こえます。
速い息を前歯に挟んだ舌の隙間から押し出す音。
フランス人やドイツ人も練習しないと喋れないものです。Thを苦手としているのは日本語話者だけではないのは
「なんとかThing」は本当によく英語には使われます。
濁らないThは:
Nothing
Anything
Everything
Plaything
濁るThは:
Bathing
Breathing
Teething
などなど。
動詞のING形で出てくることもしばしば。でもNothingのように二音節でも、Noth+ingだと言いやすい。INGは日本語で「ン」といえば、そのままINGで、逆に「IN」が苦手。舌を歯に押し付けてNGにならない工夫が必要なのです。
SomethingやEverythingはSome+ThingやEvery+Thingとなり、Thingの前で一瞬途切れるような感じが何となく言いにくい。ネイティブは何百回も喋っているので、別に難しく感じもしませんが、非ネイティブには練習が必要です。
それでSomethingですが、Something else というフレーズでよく使われます。「何か他の物、特別に素晴らしいもの」という意味。
で「あいつは大した奴だ」なんて意味になりますが、
で「あいつには何かがある、なにかを持っている」となります。
Something elseは、口語ではリエゾン(Linking)して、
NGのGは、早口になるとなくなってしまいます。英語はリンクさせて、引っ付けてゆくと、英語はどんどんネイティブっぽくなるのです。でも引っ付け方は馴れてくると分かりますが、この自然なリンキン(グ)をマスターできるようになるともう一流です。
英語らしいリンキングの勉強に、Somethin' elseは良いですよ。呟いてみてください。
わたしはこの言葉から、こんなジャズアルバムを思い出します。
ジャズの帝王マイルス・デイビス Miles Davis (1926-1991) に脇に入ってもらって、マイルスのサイドマンだった「キャノンボール」アダレイ Julian Edwin "Cannonball" Adderley (1928-1975) が、リーダーとして録音したジャズアルバムの名盤。
名曲「枯葉」の美しいメロディ部分のソロをマイルスのトランペットが吹いていて、アダレイはリーダーじゃない、としばしば揶揄されますが、それも含めて美しいアルバムです。
アダレイにはやはり、「Somethin' else」があったのですよね。
ジャズを聴きたかったのと、Somethingを語りたかっただけの投稿でした(笑)。でもあなたの勉強や息抜きになったのならば幸いです。
ちなみに、アダレイの綽名のキャノンボール(大砲)は、アダレイの度を過ぎた大食いをCannibal(人肉喰い、共喰い)とからかったことに由来しているそうです。
CannibalがCannonballに。よく食べる奴には Somethin' elseがあるのですね。
大砲のように豪快にアルトサックスの音の砲弾を吹きまくるからかなとも思っていたのですが、綽名とは、ほんとにとんでもないつけられ方をするようです。