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ネイティブも知らない英文法: 中間構文と仮定法現在
今回は有料記事。
ご購入されなくても、途中まで読んでいただけると幸いです。
難しい英文法:その一
この英文、理解できますか?
Tacos eat passionately
一つだけのタコスは
タコ(Taco)です
映画では、こういう場面にも出くわします。
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Cloudy with a Chance of Meatballs 2 (2013) より
タコスは熱狂的に食べる
と誤訳された方には、この記事は必読です。
これは中間構文 (Mediopassive Voice) と呼ばれる特殊受動態が使われている文章です。
英語社会に住んでいると、新聞広告などで次にようなフレーズに出会うことがあります。
でも古典的な文章を読まない英語ネイティブ(特に若い人)は、たとえ英語が母語だとしても、理解できないことが多い。
いささか古風な表現なのですが、次のような文句を広告などで見かけます。
This book sells quickly
The shirt washes easily
The cake bakes in 30 minutes
The car drives smoothly
The app installs effortlessly
これらは英文法的に完璧な英文です。
英語経験が豊富なあなたにならば分かりますよね😆。
難しい英文法:その二
この英文、理解できますか?
God Defend New Zealand
「神よ、ニュージーランドを守り給え」
ニュージーランド・クライストチャーチ出身の世界的歌手ヘイリー・ウェステンラが歌っているニュージーランドの国歌。
でも God Defend New Zealand って英文法、おかしくないですか?
God Defends New Zealand
文法的に正しいけれども、
意味が変わってしまいます
ではないのです。
次の表現、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど、英語世界ではどこでも聞かれる言葉
あなたがくしゃみをすると、きっとそばにいる誰かが
Bless you!
と優しい言葉をかけてくれますよ(くしゃみをすると悪魔が来るので、神様に神様の祝福がありますように!という中世以来の由緒正しきお祈り)。
この文は動詞で始まりますが、命令文ではありません。
これは次の文章の省略形。
(I wish God) bless you
けれども、
Blesses You
にはならないのです。
主語が God(神様)という特別な人格だからではないですよ。
三単現のSが必要とならないのは、文法的にはこの文章は仮定法現在 (Subjunctive Present) が使われているために、動詞は原型なのです。
他にも慣用的な仮定法現在表現として、次のようなものが有名です。
God save the King(英国国歌)
So be it(そのままでいいでしょう=それでいい)
Let it be(あるがままに:ビートルズで有名)
こういう文章は古風ですが、いまもなお英語圏では日常的に見かけるものです。
日本の中学校で仮定法過去、仮定法過去完了は習って知っていても、きっとほとんどの人は仮定法現在は覚えてはいないはずです(もし教えてもらっていたとしても)。
文科省のカリキュラムには一応入っているようですが、仮定法現在という用語は習わないのが普通です。
したがって大学受験にも出てこない。
だから誰も知らないのです。
丸暗記の勉強(rote learningと呼ばれます)が得意だとされる日本人は英文法には強いと評判ですが、残念ながらほとんどの人は
中間構文
仮定法現在
を理解していない。
確かに理解していなくても、英語圏の大学を卒業することに困らないかもしれません(わたしは学生時代、全く理解していませんでした😅)。
法律学部でない限りは。
仮定法現在を使った英文は、法律や公的文書に頻出します。
It is required that the buyer pay all fees before delivery of goods.
買い手がすべての料金を支払うことが
義務付けられている
つまり古風な英語なのですが、知っている知っていないで貴方の英語人生は変わります。
Bless you
誰もが知っていて、意味が分からないまま、慣用句にように理解しているかもしれないけれども、どうしてこれがお祈りの言葉になるのかわかると、貴方の英語人生は変わるかもしれません。
仮定法現在を知らないと、シェイクスピアの格調高い英語は全く理解できません。
逆に言えば、仮定法現在が分かるようになれば、英語の中で最も美しい言葉であるシェイクスピアのソネットや名言も難しくはなくなるのです。
If music be the food of love, play on.
「十二夜」の冒頭の言葉
なんて美しい言葉😍
いってみれば、文語体英語の必須文法。
理屈が分かるようになると次のような古い慣用表現も理解できるようになる。
If need be…
(現代でもよく使われて
わたしもよく使いますが
必ず理解される素敵な表現)
I will stay up all night if need be.
必要であれば一晩中生きています
=赤ちゃんが今夜にでも生まれそうな場合など
If need be, we will delay the meeting
必要ならば会議を遅らせます
Long live the King
王様の出てくる歴史映画を見ると
頻出します
Peace be with you
主イエスの言葉
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https://wau.org/resources/article/peace_be_with_you_2/
May the Force be with you
映画「スターウォーズ」の有名な言葉
助動詞Mayは祈祷文を作りますが
I hope the Force be with youを
言い換えた表現
なのでやはり仮定法現在です
というわけで、以下の文法解説は、海外在住三十年のわたしの個人的な知見と個人的な趣味(英語の歌や映画)から、中間構文と仮定法現在を分析して、わたし独自の視点から読み解いたものですが、Grok 2とチャットGPT4oも徹底的に駆使して、可能な限りの文献を調べ尽くしています。
綿密な最新リサーチに基いた永久保存版です。
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ChatGPT4oよりも圧倒的に優れています
(2024年11月現在)
仮定法現在の存在意義!
まずは普通の仮定法のおさらいです。
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