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一人でないことがわかれば、それだけで救われるのに

この記事は 自己紹介だ
目的は ただ 一つ

僕と言う 人間が
どんな 過去を持つのか
なぜ 痛みに拘るのか

それを 知ってもらうため だ

ひとつ前の noteで
中学受験が 終わるまでの
出来事を 書いた

しかし 東大は
進学校に入れば 安泰なわけではない

いや むしろ そこからが
本番では ないだろうか

今回は そこからの話

僕の目から 見た
筑波大駒場という 学校は
誰もが 東大 もしくは
医学部を 目指す学校だった

学校の成績は 下の方
大学受験用の塾に 通うも
成績は 振るわなかった

勉強しなかった わけではない
勉強しても 伸びなかった

それでも 東大を志望した
そして 当然のように 落ちた

同期の中では 浪人を選択したのは
半分弱くらいだと 思う

僕も 浪人したいと
意思表示した

駿河台予備校に 
通うのが 決まった後 
父に 呼び出された

ピリピリした 空気があり
書斎に 入る時から 怖かった

部屋に入ると
椅子に 座らされた

左側は 壁があって
右側に 父がいる

いつもの勉強場所
逃げられない場所

どん

と それは 音を立てた

この金は お前のために
 ドブに 捨てる
 死ぬ気で 勉強しろ

目の前の 机には
予備校に支払う 札束が置かれていた

身体は 動かせなかった
なんて応えたかは 
もう 覚えていない

こうして 長い予備校生活は
始まった

紆余曲折もちろん あったが
それからの 一年は
同じ浪人した友人たちと
がんばっていたと 思う

成績も 決して良くはなかったが
合格が 手に届くところまで
迫っていたように 感じてた

あの日までは

それは センター試験の 2日目
自己採点で 点数を弾き出す
そして 東大の判定を見る

結果は C判定
良くはないが 届かなくはない
そんな位置だったと思う

友人たちと比較しても
そこまで差は無かった

だから 僕は 東大を
受けられると 思っていた
しかし 父は言った

A判定を取れていないから
 受けさせない

耳を 疑った
けれど 微かに記憶がある
勉強しろと言われた あの日

確かに そんなことを
言っていたような 気がする

あの約束は 本当だったのか

涙を流し 必死に抵抗する
友人とも 遜色ない点であること
一年間 頑張ってたこと

しかし 判断基準は 変わらなかった

納得が いかない
泣きながら 部屋を飛び出した
うずくまった

どうして 僕だけ

母親が説得を 試みてくれた
それでも 判断は変わらない

母親も 最後は
僕の説得に まわった

ひとりも 味方はいなかった

こうして 僕は
東工大を 受けることとなった

一年がんばってきた 友人に 
自分から 言わないといけないのが
追い討ちだった

話は 同じ境遇の
同期に 伝わる

中には 経緯を 
詳しく知らない 同期もいる

受験目前で 
不安もあったのだろう
誰かに 言われた

裏切り者 と

同じ大学を 目指す仲間は
突然いなくなった

ひとりぼっちだった

父親と 顔を合わせるのが辛いから
毎日 朝から予備校に通った

何度も 過去問を解き
受験 当日を迎えた

当時の東工大は 600点のうち
250点を 数学が占める

しかも どれも1行で書かれるような
問題で 思考のプロセスを評価する難問だった
そこで 何かミスをした 気がした

落ち込みながら 家に帰り
出来栄えを 父に伝えた
すると こういった

じゃあ 後期だな

まだ 次の日に 物理と化学がある
1日しか 終わっていないのに

家族が 応援してくれないのなら
一体誰が 僕を応援するんだ

自分で 自分を支えるしかない
誰も 頼れない

また ひとりだ

涙を堪え 二日目を受けた
お昼のおにぎりは いつもより
しょっぱかった

二日目が 終わってすぐに
後期用の 講習に行かされた

父の頭の中では 前期日程は
もうダメだと そう感じたのだろう

合格発表の日まで
後期向けの講習 と 過去問を問かされた

そして 合格発表の日

僕は 発表を見に行くことを
許されなかった

過去問を解けと 
そう 言われた

駿河台予備校の 自習室に向かうが
頭は 結果でいっぱいだ

でも すぐに行って
両親に 会ってしまうと 
また 怒られてしまうかも しれない

昼食を 取った後
落ち着いた頃に 向かうことにした

大岡山駅

人は まばらだった
心臓の音が 聞こえる

まっすぐ 向かえないから
迂回して 掲示板にとぼとぼと向かった

図書館の脇を通り
校舎の前の 掲示板が見える
自分の受験番号は どこだろう

いよいよだ
大きく深呼吸をし 確かめようとしたその瞬間 
不意に 腕を掴まれた

父親だった

そして 手に 校章が入った 
書類を 持っているのに気づいた
気がついてしまった

そうか 合格したんだ

それからは ぐだぐだと 
受験番号を 見つけた

両親にとっては もうわかりきっていること
それの 確認作業にすぎない

喜びながら ここだ ここだ と
僕に見せてくる

違うんだ そうじゃないんだ
僕は 自分で探したかったんだ

名前が あるのかどうかを 
ドキドキしながら 探したかった

掲示板に 名前を見つけて
今までの日々を 思い返し
やったと 噛み締めたかった

ひとりの 闘いだった
この苦しさが 誰かにわかるものか

だから ひとりで 
喜びを 味わいたかったのだ

長い長い 
大学受験は こうして終わった

ようやく ようやく
制限なく 生きることが 出来る
自由に なれるんだ

そう 思った

雄叫びを 上げるような 
興奮はなく

ただただ 重荷を下ろせるという
安堵が 勝った

しかし この日々は
深い傷を 残した

どれだけ 深く願っていたとしても
誰一人も 味方になってくれない

それを 身体は覚えてしまったから

僕が 願い や 痛み に拘るのは
きっとこの経験が あるからなのだろう

願うことに 対し
誰一人も 味方にならなかったのは
本当に 辛い

たった一人で いい
たった一人で いい

寄り添ってくれる人が いれば
一人でないことが わかれば
それだけで 救われるのに

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