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なぜNBAはMLBやNFLを超えるビジネスとなったのか?

第4段の今回はNBAのリーグ改革についてである。SSACの目玉イベントの一つとして、NBAのコミッショナーであるAdam Silverをむかえて、NBAの改革について活発な議論がなされた。NBAはここ数年で大きな改革を成し遂げ、今や特に若年層やグローバルでの人気という意味では、NFLやMLBを超える存在となっている。

・なぜNBAは変われたか?:NFLやMLBはビジネスが大きく、関係者や既得権益も多く、伝統的でコンサバすぎた。ゆえにデジタル/ソーシャル対応やグローバル展開へ向けたルール改正等の積極的な変革を起こすことに乗り遅れた。NBAは4大スポーツの第3位というポジションが良い意味での危機感につながり積極的にリスクを取ったチャレンジをできたことが大きい。

・デジタル/ソーシャル対応:若いファンを中心にスポーツコンテンツの消費の仕方が、TVからPCやモバイルへと移り変わり、よりInteractive/Socialな関わり方が求められる中で、NBAはその流れにStreamingでの試合コンテンツの提供や、公式ソーシャルメディアアカウントの充実、選手へのソーシャルメディア活用のプラットフォームの提供や教育等、いち早く対応してきた。結果として、ファンの平均年齢もNBAは37歳とNFLの47歳、MLBの53歳と比較しても圧倒的に若い。NBAはコートでプレーする人の数が少なく、個々人のプレーに集まる注目が大きいという点は、個人に注目が集まりやすいSocialメディアの性質上相性も良かった(結果、Stephen Curryのようなスーパープレーヤーが生まれた)。試合数が多いこともソーシャルメディアでリファーされるコンテンツ量が多いという点でポシティブ。

・フェアな競争/多様性:NBAはチーム間の実力差を一定に保ちゲームの面白さを維持するという観点から100百万ドル/チーム、の給料キャップを儲けている。また、多様性の確保という観点で中南米や欧州の選手にも実力があれば平等に機会を与えられるようにする、という点も意識はしている。実際にこうした国外出身選手の活躍はグローバルでのNBAの人気拡大にも繋がる。

・グローバル展開:欧州でのファン拡大のために、一時期、NBAの試合の一部を欧州で実施することも検討したが、疲労が選手の怪我の最大の原因になる、というデータも出ていることから、見送った経緯がある。NBAにとって選手の体調は最大の資産である。ちなみに2017年からNBAは(より移動時間の短い)メキシコでの公式戦開催を予定している。

・チームへの投資:従来、スポーツチームのオーナーは伝統的な価値観のオーナーが多かった。十年前程から、若くてイノベーティブな個人やPrivate EquityがオーナーになりたいとNFLやMLBにアプローチしたが、リーグの伝統的な価値観から認められず、仕方なくNBAに流れてきた。そのおかげでNBAはData DrivenでInnovativeなチームオーナーを得ることができた。こうしたオーナーシップの変化がリーグ全体の改革の強いパワーとなった(逆にNFL/MLBは乗り遅れた)。さらに今ではNBAのInnovativeでGlobalなイメージがこういった若く革新的な事業家・投資家を引きつける要素となっており、好循環が生まれている。

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