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今週のリフレクション【自営型で働く時代(太田肇氏)】

今週は太田肇さん著「自営型で働く時代」を振り返ります。ざっくり3点で要約すると・・

1.日本のワークエンゲージメントは5%(世界は23%)。自律性(仕事の裁量権×出勤の自由度)が要因。コロナ禍で、時間や処遇により増加したフリーランスはエンゲージメントが高い。組織に属しているか否かに関わらず、半ば自営業のようにある程度まとまった仕事を一人でこなす働き方=自営型。アルムナイや副業で雇用と自営が地続きになり、人材囲い込みの壁を崩す。ITにより規模の不経済が進み、分業から一気通貫となり、組織は仕事をするための場=インフラ型組織になってきた。メンバー同士の関係はフラットで、組織は個人を支援するようになる。マネジメント育成も支援が中心になっていく。

2.日本の組織は基礎集団×目的集団=共同体集団。共同体集団ではゼネラリスト育成となり、専門能力が育たない。集団的な執務体制も制度導入にネックとなる。ジョブ型雇用は、職務が明確に定義され、職務を軸とにして主体的なキャリア形成を行う雇用システム。日本では解雇の壁(内部労働市場)、既得権の壁(給与差)、人材育成の壁(新人)があり、マッチしない。そもそも、ジョブ型は機会的組織に適合した古いシステムであり、イノベーションは生まれない。標準化された(属人化されていない)仕事ほどAIに弱い。ジョブクラフティングでジョブを再編集することや、役員のミッションも自営型。中小企業でこそ自営型への期待は高い。

3.OJTによって、余人を持って代えがたい個人特殊能力が形成される。日本企業にはアナログ的な能力があり、欧米とは異なる個人主義がある。これは、自営型と親和性が高い。アナログ的な暗黙知の統合が、ITで活かされる。組織をインフラとして活用することで、能力が多面的・統合的に発揮でき、より大きなスケールで相互作用して大きな集合知が生まれる。同質性(機械的連携)から異質性(有機的連帯)へ。フラットな連帯ではコミュニケーション能力が重要。フリーランスは内発的(自律性)にも、外発的(期待/承認)にも意欲が高まりやすい。能力(統合された知)×意欲=人間力は、AIに代替されにくい。日本には自営型が広がる職人の文化がある。今こそ、自営型でリープフロッグを遂げたい。

自分の人生の経営者は自分自身であり、オールを他人に預けてはいけない。という話はよく聞きますが、それを具現化した概念が自営型だと解釈しました。メンバーシップ型もジョブ型も、会社の雇用形態の話であり、主語は会社です。しかし、自分の人生は自分のものなので、主語を自分にしようという話です。

そういうと綺麗ですが、実際は自分の人生の「経営者」である以上、リスクと向き合っていく必要がある勇気のいる在り方だと思います。組織にぶら下がる(=オールを預ける)のではなく、自分で参画を意思決定する(=オールを自分で持つ)。そのためには、自分が組織に参画すると意思決定する時に組織にもOKがもらえるだけの結果を出せることが条件になります。逆に言えば、どの組織からも必要とされない可能性もあり、そうならないための対策は自分でしなければならない、というリスクです。

そうなると、組織から必要とされるために個人としてのスキルアップが必須ですし、それは最低限の大前提だと思います。ただ、本当に重要なことは、その先にある自己認識力と受容力にあると思っています。自分の強みや弱みを客観的に認識できていて、それを受け入れていること。受け入れた上で、強みを存分に発揮して、弱みを補完してくれる仲間がいること。それが自営型の働き方としては非常に大切なように思います。

別の角度から捉えると、成人発達理論の「自己変容」の段階にいるということです。自己中心ではなく、他社依存ではなく、自己主張でもなく、自己変容。他者の価値観に接続して、自身の価値観をアップデートできることが自営型として気持ち良く働く大切な前提のように思います。この段階になる前に自営型に舵を切ると、最初は苦労するかもしれないな、と感じました。

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