新卒でJクラブに飛び込んで2シーズンが経ちました。
これは「#10年後にスポーツ業界を盛り上げる若者たち のAdvent Calendar 2023」の8日目の記事です。
8日目の記事のテーマは「新卒でJクラブに飛び込んで2シーズンが経ちました。」です。新卒フロントスタッフのリアルな仕事内容や業界でよく聞くスポーツクラブの新卒 or 中途問題を考えている方々はぜひご覧ください!
=自己紹介=
木所巧充といいます。1998年の12月25日生まれで今年で25歳になります。最終学歴は大東文化大学スポーツ健康科学科で2022年3月に卒業しました。元々、5年制でものづくり系を学ぶ高等専門学校に通っていて、大学に編入した関係で学年と年齢が1年ずれている形です。
今所属しているクラブに入社したのは2022年の1月です。入社時期が1月なのはプロスポーツ業界あるあるかなとは思いますが、僕もその形で1月から2ヶ月間ほどは大学に在学しながらサッカークラブの仕事をしていました。その後、大学を卒業して晴れて4月から正式に社会人になりました。
つい最近、入社してから2シーズン目が終わったタイミングになります。
=チケット担当としての仕事=
1年目からチケット担当をメインで担っているのと、後は広報のサポートとしても少し働いています。チケット担当としてやるべき仕事は大きく分けて2つあり、1つ目はファンデベロップメント、2つ目は集客ですね。この両方を私が担当しています。
チケット担当と言っても最初は自社がどんなチケットを売っているのかすら知らなかったので、自チームのチケットを知るところから始まりました!
=入社後の初仕事=
自分の場合、1月からチームに合流したのでホームの開幕戦に向けての準備をすることが1番最初の仕事でした。色々な準備はシーズンに入る時点で済んでいるので、リリースを書いたり、当日券を印刷したり当日を迎えました。
うちのクラブは大体来場者数が2,000人くらいで、多くても3,000人入るくらいが平均です。ただ直近までコロナ禍だったこともあって3,000人なんて久しく入れてなかったんですけど、当日迎えてみたら相手チームのサポーターも500人近く来場していて、結果としては総来場者数が3,000人超えた試合になりました。
それが入社して初めてお客さんが入ったメインスタンドを見た機会で感動したのを覚えています。大きな迫力のあるスタジアムに自分達の力で3,000人入れることができたのには当時かなり感動しましたね。
=初めて集客の本質を味わった4月=
1年目で最初に印象に残っているのは4月の試合です。その試合が初めて自分が集客の本質みたいなところを味わった試合でした。
集客することが自分の仕事なんですけど、集客するためのツールは色々あって、オウンドメディアを活用するとか、チラシを打つとか、団体を直接呼んでくるとか、そういったものになります。この試合では、集客の一環でこれまでアプローチしてこなかった幼稚園にチラシを配って、子供向けのイベントを打ってみました。
効果測定をビシッと出来たわけではないんですけど、この試合が初めて自力で2,000人を超えて集客することができた試合となり嬉しかったですね。試合当日は一般入場が始まってから30分おきに入場者のカウントを取るんですけど、キックオフ過ぎたタイミングで初めて2,000人を超えてガッツポーズして飛び上がったのを今も鮮明に覚えています。それを見て、お前が足を使ったからだ。と初めて先輩から褒められたことも印象に残っていますね。
人を呼ぶことへの自分の努力とそれが実を結んだときの達成感と喜びを初めて味わうことができました。これはスポーツクラブで働くことの大きな喜びの1つだと思います。チームも頑張ってくれて、強敵相手に2-1で勝つ良い試合で、この2年間の中でもハイライトになるような日になりましたね。
1年目は他にも9月の声出し応援解禁のために席割りを検討したり、自分の作ったクリエイティブが初めて社内放送のビジョンに流れたり、人工降雪機を引っ張ってきてスタジアムの広場に雪を降らせたり、スタジアムに恐竜のフィギュアを展示したり、本当に色々なことをしたなと思っています。とにかく面白いことをしようと色んな集客やイベントをしていたら、あっと言う間にシーズンが過ぎてましたね。
=ファンデベロップメント=
大前提としてスポーツクラブには必ずファンが必要なんですよ。ファンがいることで試合を見に来てくれて、グッズを買って、ご飯を食べてくれるんですよね。だからスポーツクラブを運営するにはとにかくファンを増やさなくてはいけなくて、ファンデベロップメントはそうしたファンを増やすことや成長させることの業務全般を指します。
ファンの人たちも分解すると色々な人がいます。人数によってピラミッドの形をイメージすると分かりやすいのですが、1番下の人数の多い層から香川県に住んでいる人>スポーツに興味がある人>サッカーに興味がある人>年に数試合観戦する人>1年のほぼ全試合観戦する人と言った具合に色々なファンがいて、このそれぞれによって消費行動が違うわけですよ。
この中でも上位20%のユーザーが全体の80%の売上を作っているというふうにマーケティングの業界だと言われていて、スポーツクラブなどのファンビジネスはこの鉄則のもとに成り立っています。この上位20%の人たちを絶やさず増やし続けることがファンビジネスにおいて超重要なんですね。
例えば、サッカーを全然見に行ったことがない人たちは最初招待券で観戦に行くと思います。そこで面白いと感じたら前売り券や当日券を買って見に来るようになって、2回も3回も行くなら安くなったほうがいいよねということでファンクラブに入ります。こうしてクラブに興味を持ってもらって、クラブを好きになってもらって、ファンクラブに入ることで、お客さんが顕在化して僕らが営業できるようになるんですよ。そして、ファンクラブに入ったら次はファンクラブのグレードを上げていく。。という風にお客さんを成長させていくことがファンデベロップメントの僕の仕事です。
平たくいうとファンクラブの運営とかが自分の仕事なんですけど、この仕事を1年目は目が回るくらいしてましたね。試合日の毎回のイベントやファン感謝祭など何もかも初めてで、経験を通じてかなり成長できましたね。
=2年目の変化①:ファンクラブグレード増設=
自分の担当しているファンデベロップメントのところだと高額グレードの新設と顧客を数字で管理することですね。
1年目の11月ごろに来季のファンクラブ設計をするときにファンクラブのグレードを整理しようという話になって、ファンクラブに2つのグレードを追加しました。
元々あった3千円・1万円・6万円のグレードに加えて、子供対象の500円のグレードと15万円のグレードを新設しました。1番上の15万円のグレードは10人限定にして販売して、これを売り切るために色んな施策を打ちました。例えば、例年シーズンが終わってから販売するファンクラブを最終戦に合わせて、15万円と6万円のプランだけ試合当日に先行入会できるようにしたり、既存のファンクラブの会員さんに電話したりして売上達成を目指してましたね。
2年目を終えて振り返ってみると総じて2年目のファンクラブは成功だったのかなと思ってます!グレードの新設も含めて、売上を伸ばすことができたし、会員数も増やすことができたし、本当に色んなことにトライアンドエラーできた良い1年だったなと感じています。
=2年目の変化②:徹底した数字での顧客管理=
あとは、お客さんのデータをより正確に詳細に把握できるようにする改善もしましたね。会員証の種類を変更したり、Jリーグからクラブ向けに提供されているツールを1年目よりも最大限徹底的に使い倒したりして、顧客を数字で管理することに向き合った1年だったなと思います。
前年までは正直、分からない、評価できないで終わらせてしまっていたところも既存のツールを徹底的に使って数字と向き合うことで、自分たちの取り組みの良い点と改善できる点を考えたシーズンだったなという印象です。JリーグIDでうちのクラブをお気に入り登録しているJリーグID保有者も2,000人くらい増えて、メールの許諾率も5%くらい上昇させることができたのはうちのファンクラブの人数とかも考えるとかなり大きい数字かなと思います。
2年目は1年目のように「とにかくやらなくてはいけない!」という焦りは少なくなって、「なぜやるのか?」の部分を考えて取り組めた1年間だったなと思います。着実にクラブの来場者の底上げはできています!
=最多来場者数更新!=
今年1番印象に残っているのは夏の5,000人集客企画ですね。
うちのクラブがJ3に来てからの最多来場者数が3,340人の中、今年1番のイベントとして夏に5,000人集めようという日を設けました。事業部側と営業部側でがっちりタッグを組んでステークホルダーを巻き込みながら、目標達成に向けて本気で取り組みましたね。事業部側でもチケットを徹底的に手売りしたりして、僕と営業メンバーで700枚近く手売りしたりしました!
結果として努力が功を奏して5577人という来場者達成ができました!!!
その試合の当時はものすごい忙しくて、次節の試合だったりチケットの納品だったり招待企画をしたり、オリジナルTシャツを作って配ったりしてたので目標を達成した実感は正直少なかったですが、今思い返すとやっぱりものすごい達成感だったなと思います!
今は10数名の小さい会社ですが、全員で目標達成に向けて全力で取り組み5,000人以上の方々をスタジアムに呼べたのは、間違いなく今シーズン1番の思い出です!
=入社後のギャップ=
良い面でも悪い面でもいくつかあって、まず1つはみんなが思ってる何倍も少ない人数で予定されてるよっていうのは言いたいですね。クラブ自体が想定しているよりもずっと少ない人数で運営されているのはギャップの1つです。
2つ目は「クラブがいかに多くの関係者に支えられているか」というところです。例えば、スポンサーの方がいて、取引先の人がいて、リーグの人がいて、ファンサポーターがいて、ボランティアの方々がいて、他にもイベント団体やサッカー協会など、とにかくたくさんの関係者がいることは大きな学びですし、スポーツクラブの会社としての特徴の1つでもあります。
3つ目はクラブの仕事の中で改善できるところはたくさんあることですね。今あるものをベストだと思い込むことが多いと思うんですけど、全然そんなことはなくてよりベターなものを探し続けることを手を抜かずに取り組むことの重要性は感じましたね。
=スポーツクラブで働く覚悟=
一言で表現するのはなかなか難しいのが正直なところなんですけど、「入社して何がしたいか?」がある人は新卒、中途問わずクラブで成長できると思います。
反対にそれが無くて漠然と業界への憧れや競技への未練でこの世界を志すと絶対に後悔します。そんな方へは、スポーツクラブの仕事は超きついしあなたが思ってるほどハッピーな世界ではありません。と言ってやりたい。
そんな大変なことを重々承知の上でも、この世界にしかない独特な世界観が好きで、四六時中そのスポーツのことを考えていられて、どんな仕事も自分の属するクラブのために繋がっていて、いい年した大人が何十人もピッチの上で1点取ったとか、負けたとかに本気で一喜一憂して、全員で飛び上がって喜んで、、、
そんな瞬間を共有したいと思う人。はぜひこの世界に来たらいいです。
もうそれは麻薬に等しいんで一度味わってしまったら、多分2度と抜け出せないんだろうなとも思います、、!
=今後のキャリア/働くことへの想い=
そうですね、僕は自分の社会人人生をかけて、「アスリートの社会的価値を向上する」ということを目標に取り組みたいです。僕が関わったアスリートたちのファンが増えたり、ファンが成長したりするために日々働いていきたいなというふうに思ってます!
まとめ
今回は新卒でJリーグクラブに飛び込んだ木所巧充さんにスポーツクラブでの2年間の仕事を振り返った話を聞いた。
読んだ方のスポーツクラブで働くということの解像度が少しでも上がれば嬉しい。他にもスポーツに関わる仕事は様々ある中で、なぜわざわざスポーツクラブでの仕事を選ぶのか?そこには強い想いや覚悟はあるか?
今、学生でこの記事を読んでいる方は後悔のないキャリア選びをするためにぜひ参考にしてほしい。
最後に
これは「#10年後にスポーツ業界を盛り上げる若者たち のAdvent Calendar 2023」の8日目の記事でした!
明日はたつや@GLOWさんの記事です!
お楽しみに!😁
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