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飛ぶ物体を掴むロボット

人間は物を投げて渡されても掴むことができます。ロボットにとってこれは簡単なことではありません。ここでは、飛ぶ物体を掴むロボットを紹介します。なお、手を持たないロボットや、ジャグリング、けん玉は省きました。

ロボットが飛ぶ物体を掴むのはなぜ難しいのか

ロボットが飛ぶ物体を掴むとき、次のようにします。ます、色のついた点の集まりであるカメラで得た視覚情報から、何が映っているかを認識し、過去の映像との比較によって、それが動いていることを知る必要があります。次に、飛ぶ物体がどう動くか、ある程度時間が経過した後に、どこに移動し、どのような向きになっているかを予測しなくてはなりません。それから、どこに手を伸ばし、手をどちらに向けて、飛ぶ物体のどこをどう掴むか、いつ掴むかを考えます。最後に、すばやく腕と手を動かし、物体が手に収まるとすばやく掴む必要があります。

このように、状況に応じた高速な情報処理と運動を行うのが、ロボットにとって難しいのです。例えば、何が映っているのかの認識に何秒もかけてしまうと、ロボットが考えているうちにボールは落ちてしまいます。ロボットの動きがゆっくりだった時も同様です。

そのような状況に応じた高速な情報処置と運動は、人間のそばで働くロボットにとって重要なので、飛ぶ物体を掴む課題を通じて、様々な技術が開発されてきました。

高速な視覚情報処理による捕球

落下する物体と身体の運動情報を高速に処理し、制御することで物体を掴んでいます。ここでは、手の制御だけで、腕は使っていません。

高速な視覚情報処理を用いた他の運動は過去に紹介しました。

キャッチボール

人間と楽しくキャッチボールするヒト型ロボットです。下投げで投げ返してくれます。ディズニーの研究室で作られました。ロボットは表現するための顔や身体を持っています。楽しめるよう、リアクションを返してくれます。

移動を含むボールキャッチ

ドイツ航空宇宙センターの Rollin'Justin という車輪移動型ヒト型ロボットによるボールキャッチ。車輪で落下一に移動します。複数のボールを同時に認識して予測することができます。腕が二本なので二個まで掴めます。人間はこのロボットよりも複雑な手を持っているので、ジャグラーは片手で何個もボールを掴めます。

複雑な飛来物体の把持

ロボット自身の身体や物体から掴みやすい手の位置や姿勢を計算する方法を開発し、人間のキャッチからロボットが学習し、飛んでくるペットボトルやテニスラケットを掴んでいます。シミュレーションでは iCub というヒト型ロボットが、実際には KUKA のロボットアームが物体を掴みます。

まとめ

高速ビジョンを用いたハンド、キャッチボールをするロボット、移動を伴う捕球、ボール以外の捕球など、飛ぶ物体を掴むロボットを紹介しました。

掴むために使われた飛来物体の予測は、バドミントン、卓球、バレーボールなどをするロボットにも必要な技術です。


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