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秘曲やぶりのアーティスト・鴨長明の人間味

読了しました。
駒井稔+「光文社古典新訳文庫」編『文学こそ最高の教養である』

諸行無常観の代表みたいに(勝手に思い込んでた)鴨長明。実は非常に人間臭く、俗世に未練ある人物像として本書に書かれており、描かれ方を堪能しました。

俗世を離れて生活するあたりは、中国文学の『竹林の七賢』の影響を受けている。しかし、元々は和歌の読み手であり、琵琶の演奏が大好き。禁じられた曲でライブしちゃって、後鳥羽院にお叱りを受けてしまう。なんということでしょう。
 本書の見どころ。
駒井稔氏が聞き手となり、翻訳した方々の開拓する新しい人間模様と、「うまくいかない現実や挫折へのゆらぎ」を原文の行間から立ち上げる。
 そこを少し詳しくほぐすと。
文豪たちが「こう生きてきたが難しい。でも当時の教養やインテリジェンスに自らの発露と誇りを照らすと、こうなった、みたいなゆらぎ。「何のために生きるか」が瑞々しく翻訳されてると思う。
そして文学という枠の中で主人公が「これがあるから生きたいという=生き役を探したり見出す。」って、いち読者は辿りたくなったりする。それらを翻訳者が独自の解釈と歴史的背景を踏まえて、独自の目線で「どうですか?」と突きつけてくれる。そこに伴走できるのが本書の魅力があり、面白くて醍醐味だな、と私は思う。
 新緑の頃、こういう導入書を手元に置いて。
フランス文学では『マノン・レスコー』。ドイツ文学ではショーぺンハウアー『幸福について』。ロシア文学ではドストエフスキー『賭博者』等に耽溺する時を持ちたいものです。

話しは変わり。
住んでいる自治体の図書館に、私の読書記録ノートが付けられる。
ちょっと覗いて見た所、2016.3.12から2023.4.まで7年間で私の場合、1212冊だった。この中でお気に入りは190冊登録されている。(勤務先や学びの先での図書館利用は別枠になる。)
上記を対象に、再読したい作品・分類傾向の抽出などをいずれ試みられたらいいな、と思案している。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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