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戦地の図書館を読んで
著者 Manning,Molly Guptill/松尾 恭子訳「戦地の図書館-海を越えた一億四千万冊」東京創元社.2020年11月
第二次世界大戦時、米国図書館員が戦場の兵士へ、ポケットサイズ本を選書し、兵隊文庫として送り続けた活動の詳細が丹念に綴られています。
ナチスが1億2000万冊を焚書したそうですが、米国では1億4000万冊が戦場へ送られたそうです。
この本を読んで、私は次の2つに打たれました。
・ひとは、不自由の中でこそ自由を求め、どこまでも深い本の読み方ができるのだな。。
・本には、『自分の気持ちを代弁してくれたり、精神の糧になるような何かをもたらす作用がある』
途中には、本の検閲についての世論と、政策過程も述べられています。そちらは読んでのお楽しみに。
戦後、帰国した兵士達を大学の学生として受け入れようとの運動があった際、受け入れ側に躊躇する方々がいました。戦地に居て学問する時間がなかったのに、学業についてこられるのだろうか、と。
しかし、実際には、多くの帰還兵達は優秀であったと。それは兵隊文庫本を回し読みし合って、教養が身についていたからだと。
末尾付録の兵隊文庫リストは、1322点に及びます。
リストから個人的にいつか読みたいのは、たくさんありました。またしても積読が増えそうな秋です。特に2つ。
・ベティー・スミス著「ブルックリン横町」
・スタインベック「怒りの葡萄」
ブルックリン横町は、兵士にとって『故郷からの嬉しい手紙を読むようだった』とのことです。