『メタアーキテクト』書評|本橋仁
2年前。木工作家の友人に呼ばれて、何度か高知県馬路村を訪ねる機会を得た。松茸が野生し、川に天然ウナギが泳ぐ桃源郷のようなこの場所には、最寄りの駅から山道を1時間、車を走らせる必要がある。馬路村に至る細い道路で、時折、巨大なトラックとすれ違う。友人は軽くブレーキを踏み慣れた手つきで、山道には似つかわしくないスピードでトラックをかわす。聞けば、この巨大なトラックは外洋材を加工のためだけに、山を上り馬路村に運んでいるのだという。いまではすっかり、ゆずの村として知られる馬路村だが、か