「助けてドラえもん」
『どくさいスイッチ』というものを知っているだろうか。国民的キャラクター『ドラえもん』の数あるひみつ道具の一つ。消したい人の名前を呼びながらスイッチを押すと、その人の存在が消える。
今私の手の中には、それと似たようなものがある。必要なのは人差し指一本。名前を呼ぶ必要もない。消したい人なんてたくさんいる。
怖い先生、うるさい親、嫌いなクラスメイト、
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絡んできた酔っぱらい、たむろしたヤンキー、騒がしい目障り嫌い気に入らない
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そういえば『どくさいスイッチ』の話ってどんな結末を迎えたんだっけ。
まあいいか。私は住みやすい世界を手に入れた。それでいいじゃないか。
街が明るく私を歓迎してくれている気がする。
次は誰を消そうかな、なんて考えていた。その時
「削除」
え?
消えるまでの一瞬、街ゆく人々が皆同じものを手にしているのが見えた。私の手の中にあるものと、同じもの。
カタン、と地面の上で乾いた音。
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