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スプラトゥーンの進化論 — 競争を軽くし、楽しみを再発見する

はじめに

スプラトゥーンシリーズは、そのユニークなゲームデザインで、プレイヤーに新しい体験を提供してきました。特に「スプラトゥーン2」では、レート制度やランクマッチが導入され、より競技的な要素が強調されました。これ自体は素直なゲームの進化と言えますが、同時にいくつかの問題が浮き彫りになりました。今回は、スプラシリーズが歩んできた道を振り返り、その課題を考えるとともに、今後の進化における理想的な方向性について考えてみます。

スプラシリーズの進化

「スプラトゥーン2」で実装されたレート制度や階級がより細かく分かれたランクマッチは、競争的なプレイを楽しむプレイヤーにとって魅力的でした。それは「いろんな強さのみんながそれぞれ最適な帯域で公平に競い合える」というゲーム体験でした。しかし、これらの統合的な影響により勝つことが最優先という風潮が強まり、多様なブキやプレイスタイルの選択肢が次第に評価されにくくなる土壌ができたのも事実です。強いプレイヤーが優遇される中で、ゲームが「競争」中心のものになり、自由度や楽しさの多様性が失われやすくなりました。

スプラ3の試み

「スプラトゥーン3」では、縦長ステージなど試合に入りやすい設計が施され、カジュアルな楽しみ方に配慮された部分もあります。しかし、その一方で公平なマッチングが失われました。Xマッチでの最低保証で厳密なレート増減も失われました。さらに、縦長の狭いステージ設計が、撃ち合い重視のプレイスタイルを助長し、プレイヤーにとってより最適解を求める方向に進んでしまったのです。これは多様なブキを用意する意味がないという側面も強くしました。

その結果、スプラ3は「競争を楽しむ」ためのゲームとしても、「誰でも気軽に楽しめるカジュアルなゲーム」としても、うまくバランスが取れずに混乱した印象があります。カジュアル層も競争を楽しみたい層にもバランスよく配慮したいという思惑とは別に、実際は「公平な競争できる環境を与えないのに競争偏重のゲームバランスに寄るあべこべな状況」を生み出すことになりました。誰のためのゲームかも曖昧になってしまいました。

競争を重視しない選択肢の必要性

ここで大切なのは、競争を楽しむゲームモードが存在すること自体を歓迎しつつ、その重みを軽くすることです。つまり、競争を楽しみたいプレイヤーにはそのモードがある一方で、それを強制することなく、もっと自由にプレイスタイルを楽しめる環境が重要だということです。

スプラシリーズにおいて、ゲーム本来の楽しさは「勝ち負け」だけではなく、自由にプレイスタイルを選んで楽しむことでもあります。過度に競争性を強調せず、プレイヤーが自分のペースで楽しめるようなゲームモードや環境を提供することが、スプラシリーズをさらに魅力的にする鍵だと感じています。

理想的な進化 — 競争と自由のバランス

スプラシリーズが進化するためには、競争を楽しむことが選択肢として存在する一方で、それに縛られないプレイスタイルができるようにすることが大切です。例えば、協力プレイ独自の目標を持ったモードなど、競争から一歩引いて、個々のプレイヤーが自分なりの楽しさを見つけられるような環境が必要です。

競争が全てではないという認識を持ちながら、競い合うことの楽しさを軽く触れられる形にする。それこそがスプラシリーズが今後進化するための理想的なアプローチだと思います。

結論

スプラシリーズは、その独自性を保ちつつ、今後はもっと自由度を持たせた進化が必要です。競争を楽しむことができるモードはもちろんあってもいいですが、それがゲームの中心ではなく、選べる一要素として存在する形が理想的です。プレイヤーが自分のスタイルで楽しみつつ、必要に応じて競争を楽しむことができる環境が整えば、スプラシリーズはさらに多くのプレイヤーに愛されるものになるでしょう。

さらに言えば、レート制度は必ずしも必要ではなく、適度な難度のランクマッチを用意したうえで、それ以上の高難度な競争はプレイヤー主催のコミュニティ活動に任せるという選択肢も有効だと考えます。これにより、競争を求めるプレイヤーは自分のレベルに合った環境で楽しみ、より激しい競争をしたいプレイヤーは自分でコミュニティを作り上げることができ、ゲームとしても健全な競争と自由な楽しみが共存できるようになります。

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