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僕は案外、義理堅い

僕は案外、義理堅い。
古臭いと言われてしまうかもしれないけれど、僕は、このことを、とても大切にしている。

だから、僕に親切にしてくれる人には、近所に寄ったら、顔を出す。
そして、挨拶をする。
僕のルーティンだ。

そういう意味では、ご主人様の一番上のお姉さんの処にいる僕の幼馴染丸ちゃんと、陣の後にやってきたやんちゃ坊主・ヒナにも、きちんと散歩の途中で挨拶に行く。

このやんちゃ坊主・ヒナは、昨日も書いたように手加減を知らない。
だから、自分の半分以下の大きさの僕にさえ、本気でかかってくる。
僕は、ヒナに礼儀と手加減を教えたいのだが、この体格差では、いかんともしがたい。

いつも、こんな感じで、丸ちゃんが止めに入ってくれる。

また、あいつの困ったところは、過去世が原因で、何しろ、人間を見ると、吠える。
その気持ちはわかる。
何しろ、だまし討ちにあったんだ。
目の前でお父さんを殺されて、自分も焼き殺された。
その記憶がなくならないから、人間を見ると、恐怖で吠えまくる。

どうにかしてやりたいと思うものの、まだ、その過去の中で生きているから、僕の声が届かない。
暫くの間、様子見だ。

泣いてるのが、ヒナだ…

でも、僕は義理堅いから、あいつを見放すことはしない。
ちゃんと時期が来たら、男同士の話し合いをして、ヒナに自分を取り戻してもらいたいと思っている。

そういう意味でも、今日も一番上のお姉さんの家に足を運ぶ。
そして、ヒナと幼馴染の丸ちゃんがいても、いなくても、家の中を覗いて、挨拶をして帰る。

そんな僕を見て、ご主人様は、義理堅い奴だ…と笑っている。

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