今すぐ使える!法人営業で顧客先意思決定権者(上長)とアポイントを取る10の方法

以前、「キーエンスとエスエムエスはここにこだわっている。営業は絶対に『意思決定権者(社長・上長)』に行けという話」という記事を書きましたが、それでは具体的にどのように意思決定権者とアポを取ればいいのでしょうか。電話営業の際に「責任者の方はいらっしゃいますか?」とか「社長はいらっしゃいますか?」と窓口の方に聞くのは当たり前ですが、なかなかつないでもらえないケースもあります。

この誰もが気になるやり方について、私も営業マン時代にキーエンス出身者やエスエムエスの先輩達に何度となく質問をしました。たくさんもらったアドバイスの中で、今回は「これは使えた!」と思っている10の厳選したやり方をお伝えしたいと思います。ちょっと長文ですがお付き合い下さい(賛否両論あるかもしれませんが、個人的には10番目のやり方が一番効果があったなぁと思っています笑)


1、取引先金融機関等から紹介してもらう

銀行や証券会社などの金融機関は様々な会社の経営陣とつながっています。皆さんの会社でも主要取引先銀行等があるはずです。自分の会社の社長に言って、つながっている金融機関の方にどこの業界のどのポジションの方を紹介してほしいとお願いしてもらうのです。特に上場前の会社であれば証券会社さんが協力してくれることが多いですし、上場と縁がなくても経営者の方がそれなりの資産をお持ちであればプライベートバンカーさん経由で会社のトップとつなげてくれることもあるかもしれません。エスエムエスでは経営陣が現場の営業にとても協力的で、こちらからお願いしなくても大手企業の幹部クラスやビジネスマッチングができそうな企業の社長さんを積極的に営業チームに紹介してくれました。


2、取引先顧客から紹介してもらう

既に自社サービスを使っているお客様から他の会社の方(お客様にとっては競合他社)を紹介してもらうというのは営業マン冥利に尽きます。サービスはもちろんのこと営業マンを気に入ってもらっている証拠だからです。このような紹介は意思決定権者と会えるだけでなく商談後に成約に至る可能性も高いので、ぜひ常日頃からご紹介をいただけるようお願いするようにしましょう。業界にもよりますがライバルでも経営者同士は仲が良いというのはよくあることですし、同業界内で転職した方などから前職の後輩で出世されて部長クラスの役職者になっていらっしゃる方をご紹介いただくことだってあります。ただし顧客との信頼関係ができていないのに紹介ばかりを強引にねだると信頼を失う可能性がありますので気をつけて下さい。

※追記:エスエムエス時代、私がマネジメントをしていた営業チームでは既存のお客様が自社のサービスを利用して何か成果が出て喜んでいただいた際に「取引先紹介をお願いする」というプロセス項目を入れていました。またこのお話は別の機会で詳細をお話します。


3、自社内の他部署の社員から紹介してもらう

皆さんの会社で組織ごとの役割がどうなっているかわかりませんが、もし会社内で自分とは別の部署の営業マンが顧客先と何らかのやり取りがある場合は、自社内他部署の担当から顧客先の意思決定権者を紹介してもらうというのもアリだと思います。キーエンス社では社内ID制度(IDはIntroduce=紹介の略)というものがあり、会社内で別のチームや他部署へお客様を紹介することが頻繁に行われているそうです。紹介すると少額ですがインセンティブがもらえる仕組みになっているようで、営業マンが紹介数を増やしたくなるような仕組み作りをしているところもキーエンスらしいですね。


4、普段とは違う時間帯、部署、営業マンで電話をしてみる

普段と少し営業電話のかけ方を変えてみるのもいいでしょう。営業活動は効率を追求すると日々の業務がルーティン化されてきます。効率的に仕事をしている方ほど「何曜日の何時位は何をするのが最も効果的」といった具合にベストなカタにはまってくるのです。ただしここには思わぬ落とし穴もあります。意外なことに今までと違う行動をとることでずっと取れなかった意思決定権者とのアポが取れたりするのです。例えば普段は午前中にばかり電話をしていたところを午後に変えたり早朝始業前にしてみたり、敢えて電話する先の部署を変えてみたり、自分ではなく他の営業マンに試しに電話をかけてもらったり、といった具合です。

私のエスエムエス時代のエピソードですが、クリニック向けの営業をしていた際、あるクリニックに日中いくら電話をしても事務長さんや看護部長さん(意思決定権者)が手が離せないのでまた次回かけてほしいと言われるところがありました。数ヶ月定期的に電話しても同じ状態だったのですが、ある日外出先からかなり遅い時間に会社に帰ってきて、電話をおかけするには非常識な遅い時間でしたが、怒られるのを承知で電話してみたところ、なんと直接看護部長さんが電話に出てくださいました。そのまま電話でサービス説明をしたところ「何故もっと早く連絡をくれなかったのか。すぐにでもサービスを利用したいので契約書を送ってほしい」と言われました(笑)

これは私が持っていた "お客様が職場にいる日中に電話をかけるべき”という固定概念と、効率化やルーティン化をし過ぎていたことから起きた機会損失だったわけです。多面的なアプローチで顧客に接するという営業の基本的な考え方を疎かにしていたなぁと反省しました。以降電話履歴を記載する顧客管理表には顧客に連絡した日付だけでなく時間も入れるようにし、かける際は前回と違う時間帯にかけてみる等工夫をするようになりました。なんでもそうかもしれませんが普段慣れたやり方を変えてみるのも困っている状況を打開するいい解決法になるかもしれません。


5、「こちらも上長を連れて行きますので」と言って顧客の上長にも同席してもらう

皆さんの会社組織が大きければこのやり方は頻繁には使えませんが、いわば鉄板の上長訪問術です。こちらも上を連れてくのだから、そちらもお願いしますね、という作戦です。当然こちらは上長が同席しているだけで営業としての戦闘能力は高まっているはずですから商談の成約率も上がることになります。ほとんどの組織で役職がついている人程スケジュールが埋まっていますので、できる限り早めに上長の予定を1日まるまるおさえておき、その日は今まで意思決定権者に会えなかった顧客のアポをまとめてとってしまいましょう。一気に契約を獲得できるでしょう。


6、提携関連やインタビュー等、営業とは別の話題でアポを取る

「営業」とか「売り込み」というふうに感じなければ会ってくれる経営者・意思決定権者の方はたくさんいます。あえて自社製品の営業ではなく会社同士の提携の話をふってみたり、金銭的なお話にならないような取材・インタビューをお願いするのも意外に効果的だったりします。ただしインタビューが終わった途端にガツガツ営業するとひいてしまう方もいらっしゃいますので、関係性を構築できたかもなという判断のもと営業提案をするべきだと思います。


7、ホームページの代表連絡先から直接問い合わせする

私がWEB広告関連の営業マンをしていた時に比較的レスポンスが良かったのがこれです。顧客のホームページに行き、部署ごとのものではなく代表問い合わせフォームから商品を提案させてほしいと書き込むのです。会社さんによっては全ての問い合わせに社長さんが目を通している会社もあり、こんな簡単なやり方でもエスエムエス時代に数社上場系子会社の社長さんとお会いできたことがありました。


8、展示会やイベント等で「責任者の方いらっしゃいますか?」と尋ね名刺交換をする

国際展示場等で行われるような外部向けのイベントに営業対象先の企業が出展している時はチャンスです。ブースを訪問し「責任者の方いらっしゃいますか?」と言って先方の意思決定権者を出してもらいましょう。この時に必ず責任者と会いたいと言うのがポイントです。受付の方は商品を購入してくれる顧客なのか、マスコミの取材なのか、営業なのかわからないため確実につないでくれます。また対面で言われるので断りにくいのです。そして責任者の方も基本丁寧に対応しなくてはいけないため余程のことが無ければ会ってくれます。イベントが数日間ある場合は、イベント初日がオススメです。大体偉い人は初日朝から来て2日目や3日目はイベントに参加しないケースが多かったです。


9、SNS(LinkedinやFacebook) 等から連絡を入れる

ちょっと日本での営業にはマッチしないかもしれませんが、LinkedinやFacebook等のSNSの個別メッセージでアプローチする方法もあります。ただこのやり方を嫌う経営者の方はまだまだいますので最後の手段にとっておいたほうがいいでしょう。皆さんの顧客が外国人の場合は有効的だと思います。


10、社長や部長の名前を調べ、まるでその人の友人であるかのように名指しで電話する

賛否両論あるかもしれませんが、意外に効果があるのはこのやり方。私の尊敬する元キーエンスの上司から教わったものです。新聞・ホームページで役職持ちの方の名前を調べるのはもちろんのこと、毎回営業電話で受付ブロックをされる時にも「このようなご提案をお決めになる部署はどちらになりますか?」と言って部署につないでもらい「部長さんは何というお名前なんですか?」と社員の方に聞くようにします。

決裁者の名前を聞けたら、別の日に電話する際「××と申しますが◯◯部長はいらっしゃいますか?」と少し馴れ馴れしく且つ少し早口で、まるで友人か既存の仲の良い取引先からかかってきたかのように言ってみましょう。受付の方は部長の仲良しの方に失礼があってはいけないと思いサッとつないでくれることがあります。ただ、つないでもらって電話口に部長さんが出てきたら「はじめまして。わたくし××と申しまして…」と普通にド新規営業がはじまるのですが(笑)


さて、いかがだったでしょうか?王道なやり方からちょっとクセのあるやり方まで(笑)様々な方法で意思決定権者へのアポイントの取り方をご紹介しました。

当然売るものや業界によってもアプローチの仕方は変わってくると思いますが、あの手この手を使ってなんとしても皆さんの会社の素晴らしい商品やサービスを提案させてもらいましょう。近道なんてありませんが諦めず工夫を重ねることで道が開けてくると思います。また何か他にもいいアポ取りの方法や成功事例があれば是非教えてください。


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