S. ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第3番 ニ短調 作品30
Sergei Rachmaninov - Piano Concerto No. 3 in D Minor, Op. 30
ピアノ:ウラジミール・ホロビッツ
指揮:ズービン・メータ
演奏:ニューヨークフィルハーモニー管弦楽団
収録:1978年 at アベリー・フィッシャーホール、NYC
昨夜は、この曲を、お二人の演奏で聴き比べ、そこで疲れて布団の上に倒れこみました。
セルゲイ・ラフマニノフの ピアノ協奏曲 第3番は、プロのピアニストに
とっても至難の曲と謂われています。
(私は何にも弾かないので判りませんが・・・)
確かに、どなたの演奏を見ても、カメラは、ピアニストの運指を捉えきれていません。
それはそうでしょう。2オクターブ位の音階を、高速和音で弾かなければ
ならない程、大きい手と、高度で高速なテクニックと、すざまじいパワーを
要求される曲です。
でも、きちんと弾かないと訳の判らない演奏になってしまいます。
きちんと弾くと、非常に明快な旋律が浮かび上がり、曲のメッセージが押し寄せてくるのです。
骨太くてロシア的な、広大な原野の咆哮のような大音量と、ロシア革命前夜の暗い世相を表わした忍び難いほどメランコリックなメロディと、宿命を
乗り越えようとするエネルギーに満ち溢れた、決然として明確な演奏。
それをピアニストだけでなく、オーケストラにも要求する曲です。
つまり、然るべき方が、然るべきオーケストラを率いて弾いて頂かないと、この曲はラフマニノフらしく聴こえません。
そのせいか、近年、この曲を弾く人が余りいなくなったように、ふと感じてしまうのです。
昨夜選んだ最初の一人は、ウラジミール・ホロビッツさん(piano)と、
ズービン・メータ指揮 ニューヨーク・フィル。によるもの。
1978年の演奏で、この時、ホロビッツ氏は、なんと75歳。
とは、全く思えない、すざまじいテクニックです。
添付した映像を5分ほど見て頂ければ、上に書いたことがご理解いただけると思います。
ホロビッツ氏は若い時代にラフマニノフに見いだされ、アメリカに渡った後も、ラフマニノフ・チームとして、この曲を「私の曲」と呼んで、弾いて
来られた方です。文句のつけようがない、完成された演奏です。
しかし1978年です。当然ながら、もう生きてはおられません。
それから半世紀、2022年になっても、ラフマニノフをきちんと弾きこなして、ラフマニノフのメッセージを伝えてくれるピアニストは、なかなか出てきません。(あ、勿論、私のアマチュア的見解ですが・・)
素人のクラシック愛好者としては、残念無念、なのです。
お二人目は、ラフマニノフと同じロシア出身で、将来を嘱望されている
若きピアニストの演奏。
(名前は伏せます)
ダメです。
遠くホロビッツ氏に及びません。( コメンテータ多数も同様のレビューを
書いておられた・・・ )
ホロビッツ氏を超えなくとも良いのです、せめて同レベルに並ぶ演奏家を
探し出して、その演奏を聴きに行きたいと、願うのです。
(その旅費を稼ぎたくて、高齢をかえりみず、システムコンサル業に精を
出してるのに・・・アー!!)
でも、叶えられない願い、かもしれません・・ネ。
あと何年待てばよいのやら・・・
⇒ ラフマニノフが残した教会音楽、
ラフマニノフ:聖 金口 イオアン 聖体礼儀 作品 31 へ参ります。