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雑誌「専門料理」の料理をご家庭でチャレンジする(する価値はある)

いきなりで恐縮なのですが、好きな雑誌がありまして。柴田書店が出している「専門料理」という雑誌。

いわゆるグルメ雑誌とは違い、ターゲットにされてる読者はおそらく料理のプロである方々。
そのため、和洋中の料理のさまざまな技術、あの名店のこの料理、シェフのタイムマネジメントからフードサステナブルなど、料理業界のさまざまなことが毎月あれこれと特集されています。

これ読むとほんと料理を作ってくれる人達、それを支えてくれる人達の存在ってありがたいことなんだなぁーと感動することしきり。

私は料理業界とはなんも関係のないただの食べ物大好き人間なので、そういう特集を見ては
「はー、こういう料理作るの大変そう!」
「キャビアをこう使うとは…」
「コース料理ってこんなに品数あるのか…酒が足りない」
などと勝手な感想を思っているだけなんですけれど、この専門料理、何がすごいかってその号で特殊された料理のレシピが巻末に載ってることなんですよ。

つまりこれ、この通りに再現すれば「あの名店」の「あの料理」がご家庭でも再現できちゃう…!ってことなのですね!

とはいえそこは専門料理店と一般ご家庭、設備材料その他もろもろを合わせてとてもだけど100パーセントを揃えることはできないのですが、限りなく近いものはできそう。

ということで作ってみました。


選んだ料理は、中華料理の名店「桃の木」さん(行ったことはないのですがミシュランの星もとっているとのこと)の「葱油肚頭(ガツのネギ生姜油和え)」

この料理を選んだ理由は
・冷菜大好き(中華料理のコースで前菜で出てきがちな冷菜ばかりを食べたい人)
・ガツが近くのスーパーで手に入る
・比較的簡単そうである(あくまで比較的)
の3つ。

早速作ってみましょう。

まずメインの材料であるガツ。豚の胃袋ですね。

ホルモン系も高くなりつつある昨今ですが、ガツは安く買えました。ありがてぇ。

これをレシピによれば下茹でを2回するとのことなので早速茹でてみましょう。

茹でる

ここでいきなり「?」となることが。

水から茹でて、70度くらいのところで引き上げたら「膜をはがす」とあるのですが、70度くらいになっても全然変化がないし、触ってみても「膜」の存在がわからない。なんだったらアクも出ない。

少し考えてみてようやくわかりました。

このガツ、販売の段階でもう茹でてある…!

念のためインターネットで生のガツを調べてみたら一目瞭然。あらかじめボイルしたガツだったんですね、これ。

そういわれてみたら生にしては色が暗い


それに伴いお店の人が下拵え的なものもしてくれてるから「膜」の存在がわからなかったのだと思われます。いや、もしかしたら気づかずにそのまま料理してるのかもしれないのですけど。

とりあえず疑問が一つ解決したので次のステップに。今度は「鳥湯」にやや強めの塩をしたものに入れてから茹でていきます。

鳥湯についてですが、専門料理には鳥湯について(説明省略)とあるので、きっと料理人的には「あー、あれね」的なもの、というかお店に常備してるスープストック的なものなんじゃなかろうかと思われます。

我が家にそんなスープストック的なものはないので、手元にあった鶏がらスープの素(粉末)をどさどさといれ、塩も「多めかな?」というくらい入れました。本当はここら辺、多分料理の味を決める大事なポイントな気もする。

鳥湯で茹でられるガツ

指定の時間茹でてから、あとはゆっくりと冷まして行って、ガツの処理はほぼ終了。すでに下拵えをしてあったものを買ったおかげもあって割と作業としては簡単にここまできました。

次に味付けなのですが、この料理、細かく切ったネギと生姜に、アッツアツにしたごま油やらをジャッ!とかけることでソースを作ります。中華料理っぽい技ですね!

そしてここで気づくのですが、うちはキッチンがIHでして。IHってそんなことできたっけ?と思ったのです。

書いてある注意書きを読むと「火災の恐れがあるから油を熱する時は200ミリ以上必須ね」とあります。

必要な油の量だと全然足りず、かといって200ミリも使ったらその後の処理に困ってしまう。

さらにさらにこの料理、使う油もごま油(しかも太白ごま油)、ピーナッツ油、ネギ油と3種類あるのですが、我が家にあるのはごま油(かどや)のみ。かといってこれだけのためにピーナッツ油とねぎ油を買うわけにも…(高いし)

というわけで妥協に妥協を重ねてネギと生姜をごま油でそろーりと炒める、という手段で対処することにしました。もはや全然違う料理になりつつあるかもですが、根底にあるマインドはまだまだ専門料理!

そろーりと炒められていくネギと生姜

最後に削ぎ切りにしたガツと、そのネギ生姜油ソースを混ぜたら完成!

なんかそれっぽいのができた!あとは食べるだけ!

食卓の事情で納豆もうつってますが気にしないでください

はやる気持ちを抑えつつ、とはいえウキウキとした気持ちで食べてみると、これは美味い!

ガツのコリコリとした食感と、ネギ生姜油のコッテリとした味わいが見事にマッチしています。鳥湯と一緒に茹でたことで、ガツそのものにもふんわりと味がついているのもいいですね!

一方でガツがあらかじめ下茹でしてあったり、鳥湯をなんとなくで用意したり、油をジャッとできなかったり、家庭での再現にはやはり限界がありました。

でも私がそもそもこの料理の、料理としての正解の味(実際にお店で出されてるもの)を知らないので、これが美味しければこれはこれでいいのでは?とも思うんですよね。美味い冷菜は目の前にあるわけですし。

有名店のインスパイア、プロトタイプ、量産型…言い方はいろいろありそうですが、こんな風にめっちゃハードルの高い料理を真似て作ってみるのも料理の楽しさなのだなと学べたのでした。

またそのうち、「これならなんとか…」という料理が見つかったらチャレンジしてみたいと思います!

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料理愛好家 三戸満平
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