#2 慈悲の瞑想 2023/03/26
はじめに
皆さん、こんにちは。春めいてきましたね。今日は、慈悲の瞑想についてお話したいと思います。慈悲の瞑想とは、自分や他の人たちに対して優しさや愛情を持つことを練習する特別な瞑想の方法です。これは、心を落ち着かせたり、自分と他の人たちの幸せを願ったりすることで、心を温めます。慈悲の瞑想をするときは、まず座ってリラックスし、深呼吸をして心を落ち着かせることから始めます。そして、心の中で「私が幸せでありますように」や「私の友達が幸せでありますように」といった言葉を繰り返し唱えることで、自分や他の人たちに対する愛情を育てていきます。続けて瞑想を行うことで、心が優しくなり、他の人たちに対してもっと思いやりを持つことができるようになります。慈悲の瞑想は、友達や家族、そして世界中の人々との関係をより良いものにするための素晴らしい練習方法と考えます。
私は、30代後半にうつ病になり、その時に少し仕事を休むことになりました。その期間に、特に焦りというわけではなかったのですが、疲れていたこともあり、空いた時間で何かできることはないかと考え、瞑想を始めました。瞑想がよいという話をどこかで見たのかもしれません。徐々に瞑想の効果を実感するようになりました。自分を客観的に見ることができるようになり、感情や意識に対してメタ認知1)ができるようになりました。それまでは、自分の感情をすべて自分の中で解消し、戦うような感じがあったのですが、瞑想によって第三者的な視点で自分を見ることができるようになりました。このスキルや習慣を学ぶことができたのは非常に良い経験でした。その後、精神医療にも興味を持ち、精神科医としても勉強する中で、瞑想は効果的だと思うようになりました。
本日の研究
様々な瞑想法がある中で、「自分が幸せでありますように」と願うようなセルフコンパッションの範疇に入る慈悲の瞑想は効果があるとする論文があります。その中の1つとして、2009年に出されたThaddeus WW paceさんのEffect of compassion meditation on neruroendocrine, innate immune and behavior responses to psychosocial steressという表題の論文を紹介したいと思います。この論文は、慈悲瞑想とストレスへの耐性に関するものです。
この研究は、心理社会的ストレスに対する自然免疫、神経内分泌、行動反応に対する慈悲の瞑想の効果を調べ、瞑想練習への取り組みがストレス反応にどの程度影響を及ぼすかを評価しました。健常成人61名を、6週間の慈悲の瞑想訓練群(n = 33)または健康談義対照群(n = 28)に無作為に割り付け、その後、Trier social stress test (TSST)2)を行ったもらいました。TSSTに対する生理的および行動的反応は、インターロイキン(IL)-6 3)およびコルチゾールの血漿濃度、ならびにProfile of Mood States(POMS)の苦痛の合計得点の反復評価によって決定されています。また、ストレスホルモンの指標であるインターロイキン6や、感情の苦痛を測る尺度であるPOMSスコア4)で調査しました。
これらの指標を用いて、慈悲瞑想を行っているグループと、行っていないグループとで比較しました。結果として、慈悲瞑想を行っているグループの方が、インターロイキン6が減少していました。つまり、体内のストレスの値が減っていたということです。また、慈悲瞑想を行っている人のPOMSスコア、つまり感情の苦痛のスコアも減少していました。この結果から考えると、慈悲瞑想を行っている人の方が、様々な出来事に対してストレスを感じにくくなり、ストレスの反応も少なくなり、そして感情の苦痛も軽減されるということでした。
慈悲の瞑想が人間の体や心に良い影響を与える可能性があることが示された研究でした。慈悲の瞑想をおこなっている私にとっても励ましてくれる結果でした。慈悲の瞑想はまず祈りやすい、自分や仲良い人の幸せを祈り、だんだんと苦手な人や嫌いな人といった幸せを願いにくい人へ広げていきます。今の私は、「私が幸せでありますように」「みんなが幸せでありますように」と願うことができますが、嫌いな人に対しても「その人が幸せでありますように」と願うことは心の中で抵抗があったりします。しかし、瞑想を続けていくうちに徐々に心が変わっていくのに期待しています。
慈悲の瞑想
慈悲の瞑想は、心の中で優しさや愛情を育てる方法です。以下に、慈悲の瞑想の基本的な手順を紹介します。
◎瞑想の場所を準備: まず、リラックスできる静かな場所を見つけて、座ってください。座る姿勢は、背筋を伸ばしてリラックスした状態で構いません。
◎深呼吸: 深呼吸をしましょう。ゆっくり息を吸って、ゆっくり息を吐くことを繰り返します。これで心が落ち着くでしょう。
◎自分自身に慈悲を向ける: 心の中で自分自身を想像してください。自分に優しく、あたたかい気持ちを送ります。例えば、「私は幸せでありますように。私は安全でありますように。」と繰り返します。
◎身近な人に慈悲を向ける: 次に、家族や友達を想像します。彼らにも同じように優しく、あたたかい気持ちを送ります。
◎知人やクラスメートに慈悲を向ける: さらに、知り合いやクラスメートを想像し、彼らにも慈悲の気持ちを送ります。
◎世界中の人々や動物たちに慈悲を向ける: 最後に、世界中の人々や動物たちに対しても、慈悲の気持ちを広げます。
◎瞑想を終える: 瞑想が終わる時には、再び深呼吸をして、ゆっくりと目を開けます。
慈悲の瞑想を続けることで、心が優しくなり、友達や家族との関係も良くなることがあります。毎日少しずつ練習することが大切です。
私がStandFMでおこなっている慈悲の瞑想の祈りを紹介します。
私が幸せでありますように
私の悩み苦しみがなくなりますように
私の夢や願いが叶いますように
私が幸せでありますように
私の大切な人たちが幸せでありますように
私の大切な人たちの悩み苦しみがなくなりますように
私の大切な人たちの夢や願いが叶いますように
私の大切な人たちが幸せでありますように
これを聴いてくださっている人たちが幸せでありますように
これを聴いてくださっている人たちの悩み苦しみがなくなりますように
これを聴いてくださっている人たちの夢や願いが叶いますように
これを聴いてくださっている人たちが幸せでありますように
世界中の人たちが幸せでありますように
世界中の人たちの悩み苦しみがなくなりますように
世界中の人たちの夢や願いが叶いますように
世界中の人たちが幸せでありますように
自分の想い
私は合気道が好きで、6年間してきました。今は2段まで昇段しお休みしていますが、また機会があればしたいなと思っています。私は体が固く、怪我をすることが多かったので、子育てと仕事が一段落したら、また続けたいなと思っています。一般的には怪我の少ない武道と思いますので安心してください。武道の世界では「心技体」という考え方がありますが、心を変えるのが一番難しく、体で覚えることが一番易しいと言われています。ココロはなかなか変わらないんですよね。本当に頑固です。だから心が変わるには、大きなショックか、長い時間が必要です。私たち自分自身のココロはその人だけのものであり、他者はもちろん自分自身もよくわかりません。自分のココロの仕組みがわかれば、人生を幸せに歩む上で大きな力になります。その手助けができたらうれしいえす。
慈悲の瞑想はいつでも簡単にお金もかからずできることなので、もしよろしければ、一緒に慈悲の瞑想を行って効果を確かめてみてください。その後、感想やコメントがいただけると嬉しいです。慈悲の瞑想を続けていくことで、自分自身や周りの人たちへの思いやりの心が育まれるでしょう。また、瞑想を通じて、自分の心と体のバランスが整い、ストレスや悩みから解放されることが期待できます。瞑想を続けていくことで、ますます良い効果が現れることでしょう。今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。皆さんも健康で幸せに過ごせますように願っています。また次回お会いできることを楽しみにしています。それでは、お元気でお過ごしください。
説明
1) メタ認知
メタ認知とは、自分の考え方や学習プロセスについて考える能力のことです。メタ認知を使うと、自分がどのように物事を理解しているか、またどのように問題を解決するかを把握し、改善することができます。また感情のコントロールとは、自分の感情を理解し、適切に対処する能力のことです。これは、ストレスや怒り、悲しみなどの感情を適切に表現し、適切な方法で対処することを意味します。メタ認知と感情のコントロールは、一緒に使われると非常に強力なツールとなります。メタ認知を使って自分の感情を理解し、どのように反応しているかを把握することができます。そして、その情報を使って、感情に対処する最善の方法を見つけ出すことができます。例えば、ある状況で怒りを感じたとき、メタ認知を使ってその怒りの原因を理解し、その感情が適切かどうかを評価します。そして、その怒りに対処するための最善の方法を見つけ出し、適切な行動をとることができます。メタ認知と感情のコントロールを練習することで、自分の感情に対する理解が深まり、より適切な方法で対処することができるようになります。これにより、ストレスの緩和や人間関係の向上、自己成長に役立ちます。
2) Trier social stress test (TSST)
人がストレスを感じるときの反応を調べるためのテストです。このテストは、ちょっと緊張するような状況を作って、どれくらいストレスがたまるかを測る方法です。TSSTでは、普段あまり話さない大人たちの前で、スピーチをしなければならないとか、簡単な計算問題を解かなければならないといった状況を作ります。そんな緊張する状況の中で、どのくらい心や体にストレスがたまるかを測定するために、心拍数や唾液の中のストレスホルモン(コルチゾール)などを調べます。TSSTは、ストレス研究でよく使われるテストで、これを使ってストレスに対する人の反応を研究して、ストレスを減らす方法や、ストレスに強くなる方法を見つけることができます。
3) インターロイキン6(IL-6)
ストレスの研究でよく出てきます。IL-6は体の中で働くたんぱく質の一種で、免疫システムの働きを助けるものです。免疫システムは、体を病気や感染から守るために大切な役割を果たしています。ストレスは、私たちが困難な状況や問題に直面したときに感じる心身の緊張や不安な気持ちです。ストレスがたまると、体の中でインターロイキン6(IL-6)の量が増えることがわかっています。IL-6が増えると、体はそのストレスに対処しようとします。しかし、ストレスが続くと、IL-6がたくさん出続けることによって、かえって体に悪い影響を与えることがあります。例えば、病気になりやすくなったり、疲れやすくなったりすることがあるんだよ。だから、ストレスとインターロイキン6(IL-6)は関係があると言われていて、ストレスを上手にコントロールすることが、体の健康に良い影響を与えるんだよ、ということです。
4) POMSスコア
人々がどんな気持ちを持っているかを測るためのテストで、Profile of Mood Statesの略です。このテストでは、いくつかの質問に答えて、自分が今どんな気分でいるかを評価します。たとえば、「元気だ」、「疲れている」、「悲しい」といった気持ちを選んで、どれくらいその気分でいるかを答えるようになっています。POMSスコアは、このテストで得られる点数で、それぞれの気分の強さを示すことができます。たくさんの人がこのテストを受けることで、どんな状況や活動が人々の気分にどのような影響を与えるかを調べることができます。例えば、運動をした後のPOMSスコアが低くなると、運動が気分を良くする効果があることがわかります。このように、POMSスコアは、私たちの気分や感情を測るための便利な方法なのです。
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