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何事も経験
「Q〜子どものための哲学」というEテレの番組がある。
その名の通り子どもがさまざまなことに対して疑問を抱き、子どもなりに考え、答えを出していくというもの。
人形劇で、ガッツ石松さんと本田翼さんがキャラクターの声優を担当されている。OK牧場!なんてふざけているわけではなく、とても真面目に真剣に「なんで?」といって一緒に考えてくれる。
その中のテーマで「なんで夜はこわいの?」がある。
登場人物の男の子Qくん(本田翼さん)が夜おしっこに行きたいけど怖くて行けないということから始まる。
そこでチッチ(ガッツさん)がなんで?と訊きまくる。その中でQ君なりの答えを出している。15分程度のもので、とてもしっかりできているので、勉強になります!
夜が怖い理由は、何も見えないから。
真っ暗闇って何歳になってもやっぱり怖い。何があるのかどんなことが起こるのかわからないから。暗くても何があるのかわかっている家の中では、怖いというよりも危ないと言ったほうがいいかも。
何も見えないというのは、見通しが立たないことや経験がないことにも通じる気がしている。
自閉症の子たちは、初めてなことや場所にはとても不安に思うことが多い。どんなことをするのか、何が起こるのか、ちゃんとできるのか、まったくわからないままイメージが湧かないまま取り組んだりその場所まで行くということができない子が多い。
その不安を取り除いてやるために、事前に写真や映像を見せてイメージ作りをしたり経験者の話を聞かせたり、説明を詳細にしたりする。それだけである程度は落ち着いてくれる。
それを繰り返していくとある変化が起こる。それは「慣れる」こと。
初めてすることに対して不安感や恐怖心があったりするのは変わらないが、やってみると意外と平気だったという経験を繰り返すうちに、なんとかなるかなと思うようになる。
つまり「慣れ」=「経験」である。
「あー、前やったことある」とか「見たことある」経験があるだけで、不安は吹き飛ぶ。よく言う「何事も経験」である。そんな経験をスモールステップで少しずつ繰り返していけば、そのうち初めてなことにも「やってみようかな」と思えるようになるのではないだろうか。
そう感じさせてくれる生徒がいる。彼は4月当初は初めてだらで相当パニックになっていたと思う。一時期混乱して、どうしていいかわからないときもあった。保護者も一緒にパニクってたから余計だろだろうね。
それでも、少しずつ少しずついろんな経験をしていくことで逞しくなり、とうとう今日、今年度初の技術の授業に「行ってみる」といって参加してきた。木工で本棚を作る作業に2周くらい遅れて参加した。支援員さんが付いてくれて。
感想を聞くと「ノコギリで切れると思ったのにー!」とかなり残念そうだった苦笑。怖くなかったみたい。
経験の積み重ねに勝るものはないのかも。