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古民家再生はじめました ~金輪継ぎ手で傷んだ柱の根継ぎを行う~

1300年という気の遠くなるような時間を生き抜いた奈良・薬師寺東塔。2009年に始まり、2023年2月に竣工した全解体修理をとり上げたNHK番組「新・プロジェクトX  ~挑戦者たち~」。昨日、その再放送があった。偶然に視聴したのだが、私たちにとっては何ともタイムリーな内容だった。

1万点を超える部材を全て取り外して組みなおす難工事、というのだから、実に凄まじい。中でも驚いたのは、塔の中心を貫く「心柱(しんばしら)」の修理である。根元が腐り、内部はシロアリに食い荒らされて3メートルにわたって空洞ができていた。通常ならば、傷んだ部分を取りのぞき、新たな部材で根継して補強する。築100年のわが家の柱も、傷んでいるところは根継ぎ施工することになった由、前回の記事で紹介したとおりだ。

ところが、国宝薬師寺東塔には、1300年分のひとびとの祈りが込められていて、傷んでいるからと簡単に取りのぞくことはできなかった。そこで、既存材を何とか残すため、傷んだ内部を丁寧にくりぬき、空洞にぴったり合わせて細工した新たな材をはめ込むことで補強を実現した。まさに離れ業である。

番組を見て感嘆しているところに建築士さんからLINEで写真が届いた。国宝ではないが、とっても大切な、わが家の柱の根継ぎについての連絡だ。
一階和室の床の間の横の柱を補強する部材が、タイトル写真であるらしい。「柱根継ぎ、金輪継ぎ手で行います」とある。

ん?「金輪継ぎ手」? … 聞いたことある気もする。慌てて検索。

それは、捻れを防いで曲げに強い、伝統的な木材継手のやり方だそうだ。YouTubeを探してみると、手順が詳しく紹介されている。興味深い。

継手の一種。同形の両部材の口にT字形の目違いをつけて組み合わせ、栓を差して固定する、伝統的継ぎ手の中でも強固なもの。

建設工事受発注プラットフォームCraftBank(クラフトバンク) 建築用語集より


…それにしても。現場でピッタリの部材を製作して組み上げられるなんて、大工さんて本当にすごい。筋金入りの不器用者であるワタシとしては、もうしみじみ尊敬するしかない、のである。

来週から、古い瓦おろしが始まる。三州いぶし瓦で葺き替える予定だ。
カンカン照りでなく、雨でも台風でもない、良きお天気が続きますように。


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