見出し画像

アスペルガーの恋愛

 発達障害を持っている人は、空気が読めないから恋愛に不向きだと書かれている本や記事をよく目にするが、私は不向きもなにも、恋愛をする権利は誰にでもあると思う。障がい者にだって恋愛や結婚をする権利はあるし、事実恋人を作り結婚をしてしっかりと生計を立てている人も多くいる。それこそ、障がい者は恋愛結婚をするなと言ってしまうと、差別で叩かれる事になるだろう。
 しかし、実際はどうだろうか。皆自分とは関係のない事だと思うから、障がいがあっても恋愛をすればいいと言うが、いざ自分自身が障がい者と恋愛をするかもしれないとなった時、心の中に偏見を持たずにいてくれる方がどれだけいるだろうか。というのも、これは私の持論だが、異性と知り合いになった時、まず発達障害者はどのタイミングで障がいがある事を打ち明けるかに悩む事になる。打ち明ける事で偏見を持たれたり距離を置かれることを恐れるからだ。障がい者同士の場合はその点はスムーズにクリアできる問題である。お互い何か障がいがある事で、逆に親近感が湧く場合もあるからだ。しかし、健常者の方に対しては、その方が理解を示してくれるか、それにかかっている。理解がなければ、その時点でどんなにコミュニケーションを取っていたとしてもどうにもならない。

 自分の経験上、私がアスペルガーがあることを打ち明ける時はある程度ラインや電話で話してコミュニケーションを取ってからにするようにしている。何故なら、いきなり打ち明けたら相手は引いてしまうし、人柄を知らない状態で打ち明けることで、その時点で相手はどう返答すれば良いか分からないからだ。
 ある程度話した後で打ち明けた場合、よく言われることは、障がいがあるように見えない、見た目も普通だし、会話も出来るし、と言われる。当たり前である。発達障害は見た目は普通、会話も出来る。恐らく私自身もまだ打ち明けるタイミングを間違えてるのかもしれない。そればかりは受け取る人によるし、打ち明けようが打ち明けまいが、恋愛になるかならないかは人それぞれである。

 ただ、一つ言えることは、障がいを持っている事を受け入れてもらえた時、私はとても安心感を感じるのだ。とりあえず1つ大きな隠し事をしなくて済んだ事に対する安堵、そして、障がいがあると理解した上で今後接してもらえること。障がいを隠して接していても、必ずどこかで人と違う、と思われてしまう。悪い言い方をすると、ボロが出てしまうのだ。そのボロが出た時に相手を怒らせたり困らせてしまうことがあってはいけない。発達障害があるからという言い訳はしないし、どの人でもやっていい事と悪い事はあるし、それは発達障害があっても変わらない。しかし、発達障害があることでどうしても知らず知らずのうちに特性としての迷惑をかけてしまうこともあるかもしれない。もし迷惑をかけてしまった時、発達障害がある事を知ってもらえている事で、大きなヒビが小さな傷程度で済むかもしれない。甘い考えかもしれないが、私はそう感じる。

 障がい者の場合、どうしても人との出会いのきっかけも少なく、出会えたとしても恋愛に至るまで大きな壁に何度も直面する。しかし、自分自身を理解してくれる異性に出会えた時、愛する気持ちに障がいの有無なんて関係ない。むしろ、私たち障がい者の豊かな感受性が一途な愛を生む事だって多々ある。
 過去の恋愛のトラウマから、異性を信用出来なくなってしまう場合もあるかもしれない。しかし、悪いのは障がい者だという弱みにつけ込んで弄ぶ人間であって、本来出会うべき人間にまだ出会っていないだけである。
 障がいがあるからという理由で、人との関わりをなくしてしまうのではなく、障がい者だからこそ、たくさんの人脈、ネットワークやコミュニティを利用して同性異性問わず人付き合いを楽しんだら良いと思う。そして、その中で良き人に出会えたら、そのチャンスを逃さず、自分らしく、自分の良さを最大限にアピールして欲しいと心から願う。
 失敗も経験、上手くいかなければそれはその人との縁がなかっただけ。どんな失敗をしてしまったかを振り返り、また次に活かせば良い。

 自分だけのオリジナルの人生、精一杯楽しんでほしいと願う。

いいなと思ったら応援しよう!