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ボルティモア市警と麻薬組織の闘いを重厚に描く傑作/ザ・ワイヤー シーズン1〈あらすじ・ネタバレあり〉
Fuckを連呼しながら現場検証をする刑事、残業代で稼ごうとする刑事、保険金詐欺を働こうとする刑事、あえて上司に報告をしない刑事、嘘の話を作って辻褄を部下と合わせる警部補、正義感はあっても自分の将来の方が大切な判事・・・"司法に関わる者"である前に1人の人間であることをこれでもかと描いており、このやり方は同時期に放送されていた【ザ・ソプラノズ】に通ずる。
バブルスを演じたアンドレ・ロヨが、撮影期間中に本物のヘロインの売人からジャンキーだと思われて麻薬を売りつけられたエピソードもある。
またランス・ラディックは、元々バブルスとモーランドのオーディションを受けていたが、ダニエルズを演じられる俳優を探していると言われてオファーを引き受けた。
出演者たちに取って、良い意味で彼らの代表作に"なりすぎなかった"ことも素晴らしい。
主要キャストはほぼ全員が無名の俳優だったにも関わらず、今やドラマ界ではお馴染みの面々でブレイクのきっかけになったの間違いない。しかし演じた役が彼らのキャリアの足枷にはなっていないのだ。
少ないシーンながらも大きな印象を残したイドリス・エルバとマイケル・ケネス・ウィリアムズは映画界でも成功を収めた。
#01
舞台はボルティモア。
バークスデール率いる麻薬組織は、西ボルティモアの住宅地【フランクリン・テラス】を拠点にしている。フランクリン・テラスには6つの高層団地【タワー】があり、周辺の低層住宅は【ピット】と呼ばれている。
バークスデールの甥で麻薬組織の構成員・ディアンジェロは殺人罪で起訴されるが、裁判中に検察側証人2人のうち1人がビビって証言を覆し、無罪となる。
ディアンジェロは、タワーの仕切りを任されていたが、起訴された件もあってピットに異動となる。
ボルティモア市警殺人課の刑事・マクノルティは、ディアンジェロが無罪になった件で旧知の判事・フェランから呼び出される。口が滑って、「確認できてるだけで、麻薬組織による殺人が10件起きてる。それなのに1度も有罪にできていない」と愚痴ってしまい、事態を重く見た判事が警察副本部長・バレルを叱責する。
バレル副本部長の指示を受けたボルティモア市警麻薬捜査課の警部補・ダニエルズは、バークスデール逮捕のため部署を超えて刑事を招集。マクノルティも加入する。
こうして期間限定の部署【特別捜査班】が誕生する。
バークスデールは名前しか分からない人物で、その慎重さから顔もどこに住んでるかも不明。
マクノルティは、FBIがマフィアを挙げるために盗聴を使っていることを例に出し、自分たちもそうするべきだと提案するが断られる。
そんな中、裁判でディアンジェロに不利な証言をした証人・ガントが死体で見つかる。
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2人は相棒だが、かつてモーランドは不良少年だったマクノルティを更生させた過去がある
#02
新設された特別捜査班に期待をするダニエルズ警部補だったが、元々自分の部下だったグレッグスやマクノルティ以外の刑事は無能ばかり。
ディアンジェロの手下に友達のジョニーをリンチされたジャンキーのバブルスは、グレッグスの情報屋になる。
バブルスの協力により、麻薬ディーラーの顔と名前が一致して捜査が一歩前進する。
特別捜査班の刑事3人・プリズビルスキー、カーヴァー、ホークは、酔った勢いで深夜にフランクリン・テラスで聞き込みをして、その結果14歳の少年に怪我をさせてしまう。
内部調査の対象となった3人に対して、ダニエルズは"少年から攻撃を仕掛けてきた。同僚を守るためにプリズビルスキーが殴った"と証言するよう言い聞かす。
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#03
プリズビルスキーが殴った少年・ケビンが失明してしまい、大陪審送りになる可能性が高くなる。
ダニエルズは3人の部下を守るため、聞き込みするように自分が指示したと嘘をつく。それによって、プリズビルスキーの義父・バルチェック警視とダニエルズの距離が縮まる。
大陪審の日程は一旦延期となり、ひとまず安心。
バークスデールの組織がポケベルで連絡を取り合っていることが分かり、複製の許可を得るため検事局と連携することに。
一方、特別捜査班に異動してきたベテラン刑事・フリーマンが、少年時代のバークスデールの写真を手に入れる。
バークスデール関連で大きな収穫を得たいバレル副本部長は、ダニエルズに対してピットの手入れを命令。しかし、現場から押収できたのは、ほんの僅かな麻薬のみで失敗に終わる。
実は手入れの前日、"悪党からしか奪わない"をモットーにする東ボルティモアの強盗・オマール・リトルが、恋人・ブランドンと一緒に麻薬の保管倉庫を襲って盗み出していた。
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として語り継がれている
#04
FBIの友人・フィッツから連絡を受けたマクノルティは、"1年以上前、ダニエルズに汚職疑惑があって調査したが、ほぼクロだったのに何のお咎めもない"と聞かされる。
マクノルティは、殺人課の頃の相棒・モーランドと一緒にディアンジェロが関与したと思われる未解決殺人の現場に向かう。
殺されたのはバークスデールの愛人・ディードルだった。
麻薬を奪われてコケにされたバークスデールは、オマールに6000ドルの懸賞金をかける。東ボルティモアで暮らすオマールの弟が殺される。
#05
特別捜査班は、フェラン判事からポケベルの複製と盗聴の許可を得る。
ディードル殺しを捜査するマクノルティとモーランドは、凶器の銃が別の未解決事件2件でも使用されていると知る。
ディードルの女友達を聴取し、バークスデールがストリップクラブやレッカー会社、アパートの運営をしていることも突き止める。
ピットの手入れで逮捕した16歳の少年・ボディーが、少年拘置所から脱走する。カーヴァーとホークは、ボディーを見つけ出して再逮捕する。
バークスデールと彼の右腕ストリンガー・ベルは、オマールと内通する麻薬ディーラーがピットにいると疑っていた。
ディアンジェロは、裏切り者を炙り出すよう命じられる。
#06
麻薬ディーラーの少年・ウォレスから、オマールの恋人・ブランドンを見つけたと報告を受けたストリンガー。手下のバードがリンチを加え、殺害した後その死体を晒しものにする。
恋人を殺され復讐に燃えるオマールは、特別捜査班に協力を申し出る。
「ガント殺しの犯人は、バークスデールの組織の構成員・バードの仕業だ」と明かし、その殺人の目撃者として証言すると約束する。
殺人課の警視・ロールズは、ディードル含めた3件の殺人の容疑でディアンジェロを逮捕し、そこから司法取引をしてバークスデールを引っ張り出すことで、自分の手柄にしようと目論んでいた。
ダニエルズがバレル副本部長に直談判し、あと1ヶ月だけ盗聴を続けられることに。
裏切り者を探すディアンジェロは、その過程で2人のディーラーの少年が麻薬をくすねていることに気づくが、オマールと内通しているわけではないと理解し、バークスデールにはチクらないことにする。
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ディアンジェロは麻薬組織の幹部という立場でありながらも
裏社会から足を洗いたいと願っている
#07
ポケベルを調べたところ、麻薬組織のメンバー同士は、メッセージを送る時に暗号を使っている。
銃を暴発させたり少年を失明させたりと失敗続きのプリズビルスキーだったが、暗号解読を着実にこなしていき、活躍し始める。
その結果、麻薬組織の中心メンバーの1人・スティンカムが麻薬の運び屋と接触することが分かり、特別捜査班は運び屋を逮捕する。
運び屋が逮捕されたことで組織内に裏切り者がいる疑惑が高まり、バークスデールは当分の間麻薬密売を禁止する。
ダニエルズは、プリズビルスキーが失明させた少年・ケビンに名刺を渡し、「生き方を変えたければ連絡しろ」と伝える。
退院したジョニーがコカイン所持で逮捕され、グレッグスが検事補と交渉して彼を釈放する。
釈放の条件として自助グループへの参加を命じられたジョニーは、バブルスと一緒に通うが、麻薬漬けの人生から立ち直るつもりはなさそう。
特別捜査班は、バードを逮捕することに成功。
約束通り、オマールが目撃証人になる。
ディードル含めた3件の殺人事件を手柄にできなかった警視・ロールズとマクノルティの対立が増す。ロールズは、部下の刑事・サンタンジェロに「マクノルティをクビにできるような情報を集めろ」と命令するが、全く進展がない。サンタンジェロは、嫌がらせで未解決の事件を押しつけられる。
実は事件のうち2つの容疑者をオマールが知っており、彼が情報提供したことによってマクノルティが報告書を作成し、サンタンジェロに渡してやる。
罪悪感に苛まれたサンタンジェロは、ロールズがマクノルティをクビにするため粗探しをしていることを明かす。
#08
マクノルティは2人の息子を連れてストリンガーを尾行し、彼の車を突き止める。
ストリンガーの盗聴に成功した特別捜査班は、連絡相手を逮捕して2万ドルを押収。しかし、連絡相手が上院議員の運転手だったため、バレル副本部長が釈放を命じる。
追い打ちで特別捜査班の解散命令を出してくるが、マクノルティがそのことをフェラン判事に伝えたところ、判事が副本部長に圧力をかけ解散命令は撤回される。
稼ぎが減ったディアンジェロに、友人・オーランドが"ワシントンDCから進出してきた売人と組んで麻薬を売らないか?"と持ちかけてくる。
ディアンジェロがバーススデールに報告したことで、オーランドはリンチを加えられ、友情にヒビが入る。
麻薬組織の幹部・スティンカムとウィーベイがオマールを襲撃するが、反撃に遭う。
スティンカムは死亡し、バークスデールは部下を総動員してオマールの殺害を命じる。
マクノルティとグレッグスは、スティンカム殺しの犯人がオマールだと分かっていたが、バークスデールを逮捕する切り札なので殺人を見逃すことに。
警察の手入れと運び屋の逮捕が続き、盗聴を疑ったストリンガーは、ピットの公衆電話を破壊する。
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#09
フリーマンとプリズビルスキーは、バークスデールの資産を調べることが彼の素性を突き止める近道だと考える。
ストリップクラブの営業許可証からD&Bエンタープライズが経営会社だと分かり、D&Bの登記に記載されている弁護士から、バークスデールが経営する他の店を調べ上げる。その結果、年2500万ドル以上の麻薬の売上があり、不動産や経営する数も予想を遥かに上回るものだと分かる。そして、麻薬で得た金を州議会議員に献金していることが判明する。
ディアンジェロの仲間が、麻薬中毒の女とセックスしている最中に死なせてしまい、その女の死体を捨てた。
女とディアンジェロの恋人・シャーディーンが友人であることを突き止めたグレッグスは、シャーディーンに内通者になるよう依頼する。
東ボルティモアと西ボルティモアのバスケチームが運動場で試合をすることになり、特捜班の刑事たちは張り込む。
刑事の1人・シドナーは、少年時代の写真と比較しながら観客を見て、遂にバークスデールの正体を掴む。
#10
東ボルティモアの顔役・ディクソンの右腕であるジョーから、バークスデールの情報を仕入れたオマールは、襲撃を仕掛けるが失敗。
反撃に遭って負傷したオマールに対し、ストリンガーは停戦を持ちかける。
オマールは盗聴器をつけて接触し、ストリンガーに"バードが、ブランドンを殺した"と認めさせる。
マクノルティは、オマールを守るためニューヨークに逃がす。
麻薬ディーラーの少年・ウォレスは、ブランドンの死体を見て以来ショックでまともに生活できず、心配したディアンジェロはウォレスにカタギの生活を与える。
バブルスは、自助セミナーで出会った元ジャンキーのウェイロンとフランクリン・テラスで再会する。「麻薬をやめるのは自分一人でできるが、人生を取り戻すのはには誰かの助けが必要だ」と説得される。
潜入捜査官に麻薬取引を持ちかけたオーランドは逮捕され、司法取引に応じる。
グレッグスがオーランドの恋人のふりをして、バークスデールに近い売人・サヴィノに接触。
だがオーランドが逮捕されたことを知っていたサヴィノは囮捜査であることに気付き、グレッグスとオーランドを誘き出すとウィーベイと手下のリトルマンが銃撃する。
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#11
銃撃されたオーランドは死亡し、グレッグスは搬送先の病院で一命を取り留める。
ロールズ警視が捜査を指揮することになり、マクノルティもこの件が解決するまで殺人課に復帰する。
サヴィノは弁護士を通して出頭するが、銃撃の実行犯については口を開かない。
盗聴記録を調べたところ、銃撃の20分後にストリンガーと連絡を取った2人の人物・ウィーベイとリトルマンを突き止める。
ストリンガーは、リトルマンがもし捕まれば自白すると読んで、ウィーベイに殺害を命じる。
リトルマンを始末したウィーベイは、ディアンジェロにフィラデルフィアまで送ってもらう。
#12
警察による盗聴を確信したストリンガーは、ポケベルを全て破棄して公衆電話の使用を禁止する。そして、自分やバークスデールの逮捕につながりそうな人物を抹殺することに決め、ウォレスも消される。
シャーディーンの協力の元、特別捜査班はバークスデールのストリップクラブを盗聴することに成功。
バークスデールの金の流れを追うため、フリーマンが州議会議員や州検事の献金を調べていることが警察上層部の耳に入る。
セドリックは、嗅ぎ回るのをやめるよう圧力を受ける。
#13
特別捜査班の解体が決まる。
マクノルティはFBIのフィッツと連邦検事局に連絡を取って、バークスデールを有罪にするための援護を求める。しかし、バークスデールの金が政治献金に使われていると知ったFBIは、州議会議員を逮捕することを優先したいと言い出し、話し合いは決裂。
マクノルティは、これまでの指揮系統を無視した強引なやり方が仇となり、ロールズによって港湾警察へ左遷となる。
バークスデールとディアンジェロを含む麻薬組織のメンバーが、次々と逮捕される。
以前から裏社会から足を洗いたいディアンジェロは、仲間を売ることに決めるが、司法取引自体は拒否。
ディアンジェロのおかげで、フィラデルフィアに潜伏していたウィーベイを逮捕。
司法取引に応じたウィーベイは、複数の殺人に関与したことを自白して終身刑に。だが、中にはブランドン殺しのように、彼自身が本当は関与していない殺人も含まれていた。
1kgのヘロイン所持だけで起訴されたバークスデールは、弁護士の腕もあって最高7年を求刑される。一方ディアンジェロは、20年の刑期を務め上げることを心に決める。
当分の間は、ストリンガーが麻薬取引を仕切ることになる。
オマールが、ニューヨークからボルティモアに舞い戻る。
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