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変革を楽しめる文化がある組織は強い/加藤明拓さん(アンコールタイガーFCオーナー)

加藤明拓さん プロフィール

1981年生まれ。千葉県出身。大学卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。
組織人事領域のコンサルティング業務に従事後、スポーツコンサルティング事業部の立ち上げ、ブランドマネジメント事業執行役員を経て、2013年株式会社フォワードを設立し、代表に就任。カンボジアのプロサッカークラブ「アンコールタイガーFC」と、ナイジェリアのセミプロサッカークラブ「イガンムFC」のオーナーも務める。ブランドコンサルティング領域においては、自動車、電機、アパレル、化粧品、小売など幅広い業界において、国内大手企業を中心に、ブランド戦略策定〜社内浸透〜業務プロセス構築を支援。マーケティング領域に留まらず、ブランドを「経営」や「組織」という観点から捉えるコンサルティングを得意とする。スポーツコンサルティング領域においては、Jリーグ、プロ野球、ラグビー、バレーボール、バスケットボールなどを中心に数十チームにおいて、選手のモチベーションマネジメントやチーム運営を支援。高校時代には、千葉県立八千代高校サッカー部にてインターハイ優勝、優秀選手に選出される。将来の夢は「メッシ超え、バルサ超え」

(四方)

こんにちは!スパイスアップ・シンガポールの四方健太郎です。

「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当番組は、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲストをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。

今回のゲスト「Mr.X」には、カンボジア・サッカー1部リーグに所属するプロサッカークラブ「アンコールタイガーFC」のオーナーであり、組織・人材開発領域でもご活躍の加藤明拓(あきひろ)さんをお迎えしました!

加藤さん、こんにちは!

(加藤さん)
こんにちは!ご無沙汰してます。

(四方)
ご無沙汰してます。
加藤さんとは、もう7,8年前、僕がHR関連の仕事を始めたばかりのころ、共通の友人からの、同じ業界にサッカー好きの変わった経営者がいる、という紹介をうけて、東京・表参道のカフェでお会いしたのがきっかけでした。
確か、その頃から、「メッシ超え、バルサ超え」を標榜されている面白い人だなぁという風に覚えてます(笑)
そのあと、本当にカンボジアのサッカーチームを買うことになったという不思議な経歴なのですが、まずは自己紹介をお願いできますか?

(加藤さん)
皆さん、こんにちは!加藤と申します。
高校までずっとサッカーをやっていまして、高校3年のインターハイで優勝をして優秀選手に選ばれました。
その後リンクアンドモチベーションという組織人事のコンサルティング会社に新卒で入って、10年弱くらい働いてから独立をしました。
そして株式会社フォワードというブランドコンサルティングと組織コンサルティングの会社なのですが、リンクアンドモチベーションでブランドコンサルティング、組織コンサルティング、それからスポーツコンサルティングもやっていた経験があったので、それをドメインにやりました。
「メッシ超え、バルサ超え」ということで世界No.1のサッカー選手を輩出する、世界No.1のサッカークラブを作るということをビジョンに掲げて独立しました。
四方さんと会ったのはちょうどその時くらいで、創業して1年後くらいにカンボジアのサッカークラブを買って、毎年赤字を出し続けていました(笑)
その次の年にナイジェリアのサッカークラブに出資をして、現在は筆頭株主になり、そんなこんなで6年半くらいフォワードを自分でやって、2019年末に会社を売却しました。
ただフォワードの事業には今も関わってやっていますけど、売却をしたのでファウンダーのような形でブランドコンサルティングのプロジェクトだったり、組織人事コンサルティングとか研修講師をやりながら、カンボジアとナイジェリアのサッカークラブを自分で持ってやっています。
それからカンボジアでは金融系の新規事業を立ち上げて、これからはそちらにパワーを使っていこうかなと思っています。

(四方)
なかなか自己紹介をするだけでも大変な経歴ですけど、いまフォワードという会社をされているというお話だったのですが、サッカーのポジションもフォワードだったんですか?

(加藤さん)
ポジションは思いっきり相手を潰す役割のボランチなのですが、会社は守るではなく攻めに行くぞ!みたいな感じです。
前向きな世の中にしたいという想いがあって、サッカーのフォワードにも掛けてフォワードという社名しました。

(四方)
いやなんかすごくいいなって思って僕は感じていたのですが、まさかのボランチですか(笑)
僕ら2人がいるとサッカーの話ばかりになってしまうのですが、今日は「変革」×「HR」ということで、最近も加藤さんは研修講師をされていたり、組織人事のコンサルティングなどでクライアントの企業さんとお話をされることが多いかと思うのですが、コロナによって世の中が変化している中でなかなかシニア社員が変革できないと組織や人事から相談があると思うのですが、組織としてはどういう風にそのような人たちを扱っていけばいいのでしょうか?

組織は、変われないベテラン人材をどう扱えばいいか

(加藤さん)
シンプルに変われる人は変わって次の環境に適応をしていく、次の環境を作っていく側に、特に部長ですとか本部長、役員の方はそうでなきゃいけないと思うのですが、なかなか難しいのはそうじゃないラインには入っていないシニアな方々からすると、変わったり、新しいことを自分が積み上げてきたものを捨てる、或いは積み上げてきたものを一旦横に置いて苦しい思いをして新たに学んでいくというのは結構ハードなんじゃないかなと思っています。
武田薬品さんは30代からリストラや早期退職を募っていましたが、そういうものがどんどんあっていいのではないかなと僕自身思います。
そこで一旦リタイアして次の事業とか、或いは次の自分の人生を過ごしたいという方はそちらの方が良いと思いますし、そちらの方が結果的にポストが空いて若い人がストレッチした形で上の方に上がっていくのでそれはそれで良いのではないかなと思います。
無理に変わるっていっても変わるモチベーションが湧いてこない方々を変えようといっても結構難しいのではないかなというのが僕の正直思っているところです。

(四方)
なるほど、そうすると組織とすると次の活躍の場面を提案するというのも一手で、無理くり変われ変われというのはそもそも難しいよねっていうのが現実論あるんじゃないか。

(加藤さん)
やっぱりそういう層の方々に研修をしていて、1年後、3年後、自分は何を変えますかというテーマのグループワーク中の発言を聞いていたら、でもあと5年で定年だしという声も出てくるんですよ。
でもその気持ちも分かるじゃないですか、あと5年なのにここから変われって結構辛いので、無理に変われというよりは、そういう方々でも持っている知識とか言語化されていないものが結構あると思うので、これからのメインになってくるオンラインでは言語化や形式知化されたナレッジはものすごく大事になってくるので、そのような部分を残していくというミッションに担ってもらうのも良いのかなとも思っています。

(四方)
匠の技みたいなものをしっかり言語化していくということですね。
これはリーダー層や先ほど仰った層以外にも当てはまるかもしれませんが、組織にいる役員や従業員全員が変革する必要ってあるんですか?

組織にいる全員が変革する必要はあるのか

(加藤さん)
そういう意味では全員が変革する必要はないと僕は思っていて、主体者として変革することはできればそれが望ましいのですが、やっぱり色々な特性、性格とか向き、不向きもあるので全員が変わる必要はないと思います。
ただ全員が変革するのではなくても、変革されていく環境に適応するとか、邪魔をしないということは絶対に必要かなと思います。
どちらかというと変革して次のあるべき状態をちゃんと描いてそれに向けたロードマップを敷いていくとか色々なものを整備していく人、これが変革の推進者ですね。
あとの方々はどちらかというとそこを邪魔しない、そこにいち早く行くという部分さえあれば良いのではないかなと。
それ以外で人が絡まないでいいものはAIとかアウトソーシングをすれば良い思うので、大きく道筋立てていく人と、そこをちゃんとAIとかも含めて最適な形に近付ける人と、あとは変わりたくない人は生き残れない世界になっていってしまうのですが、全員が変革者である必要はないかなとは思いますね。

(四方)
なるほど。
もちろん変わった方が良いんだけど、それは理想論過ぎる話であって変わらない人も中にはいるけど、少なくとも邪魔はするなという話が一つと、もう一つは本人が望む望まないに関わらず、AIとかロボットに置き換われていくというのはしょうがないことであって、だけど変革リーダーとAIを繋ぐ翻訳者という仕事も今後も重要で残っていくので、ある意味この部分を期待されている人材もいますよということですね。

(加藤さん)
ある意味そこのポジションをちゃんと狙いにいかないと仕事がなくなっちゃう世界になってきますよね。

(四方)
厳しいですよね。
だから本人はいかに変革できる人間になっていくに越したことはないということですね。

(加藤さん)
そうですね、はい。

(四方)
個人の変革という話と合わせて、組織も当然変わっていかないといけないと思うのですが、どうしたら変革人材を創っていけるのでしょうか?

どうしたら組織は変革していけるか?変革人材を創っていけるか?

(加藤さん)
そもそも変化し続ける世界というのは前提だと思うんですけど、そういう文化が根付いていない会社さんが多いなと思っていて、大企業病なんてよく言われますけど、当たり前ですよね。
いままで成功モデルで培ってきて、変わらないことがある意味強かったこれまでがあるので、環境やゲームルールが変わった時になかなかそこにいけない部分があると思うのですけど、でもいまは環境変化のスピードが非常に早いので、常に変わり続けるというか「変化、さもなくば死」って、昔僕がお手伝いしていたJRグループのルミネさんの会長がよく言っていたんですね。
JRグループでさえも「変化、さもなくば死」という強烈なメッセージをずっと言い続けているんですよ。
なので変わることは大前提なんだという話なんですけど、変化しないと生き残ることさえ出来なくなるという世界なんだという認識が大事ですし、その認識を持った組織文化にしていくということがすごく大事な気がします。

(四方)
ダーウィンの頃に遡っても当てはまると言いますか、進化して多様であって変化して外的環境変化に耐え得る形になっていかなければ、さもなくば死とこれはなかなか、、、
しかもそれがいかにも変化しなさそうなイメージのJRグループさんが言っているということに含蓄があるなという風に思いました。

(加藤さん)
やっぱりそれでも文化を作るって簡単に聞こえますけど、なかなか難しいと思うんですよね。
経営者の方は変化、変革、イノベーションと言っていますけど、文化が変わらない中でトップだけがそれを言っても難しいので、例えば口癖から変えていくことも一つです。
去年と同じでということを禁止にするとか、これまでと違うやり方でやったのはどこなのか聞くことを組織の中で意識的にやっていくことがファーストステップとしてはすごく大事なんじゃないかなと思います。

(四方)
それ取っ付きやすくて良いですよね。
制度を導入するって言うとちょっと重たかったり、色々な反発があったりしますけど前年踏襲って好きじゃないですか。
そういうのはどちらかと言うとネガティブなワードだよと。
何が変わったの?新しいことはなんなの?みたいなことをキーワードにしていくのは良いですね。
元々僕は新卒で外資系のコンサルティングファームに居たので、変化ばかりなんですよ。
部署そのものが毎年なくなって変わっていったりして、当時は学生から社会人になったばかりだったからそれがある意味当たり前のように感じていたのですが、それが文化だったんですよね。
でも後々上司に聞いてみると振り子のように変化していって、ある時はAが力が持っているんだけど、来年はBが力を持っていたりと。
そこに留まろうとする人、人は易きに流れる、コンフォートゾーンに居たいと思うんですけど、振り子なのでコンフォートゾーンが常に動いているから自分も動いていかないとそこがコンフォートゾーンにならないんですよね。
なるほどなーと思って、グローバルの会社ですからどこの世界のトップが決めているのか当時若造の僕には分かりませんが、そういうことが根底にあるのかもしれないですね。
長く居続けない、なるほど。

(加藤さん)
なかなか難しいことだと思うんですけどね。
言うのは簡単ですよね。
僕らも言って、自分の会社を変えていこうとすると、えー変わりたくないという反発の声も出てきますからね。
だからその中でなんでそれが必要なのか、その先に何があるのか、変わらないと逆にどんなことが起こるのかをコミュニケーションの中でやっていくということが一番最初の時にすごい大事になってくるのかなと思います。

(四方)
あとはその適者生存という意味では変化していくとか新しいチャレンジしていくような人が昇進していく、そうなれば必然的に自分たちの上司はそんな人ばかりになっていくと文化を作れる一つの方法かもしれないですね。

(加藤さん)
例えば営業でも目標達成率100%の人よりも150%の人の方が評価されるのは当然なのですが、もしかしたら100%だけどいままでとは違うやり方で100%を達成した人と、いままでと同じやり方で150%達成した人だったら、いままでと違うやり方でやった人を高く評価するとか、そういうことが必要になってくるのではないかなと思っています。
もちろん両方必要なんですけどね。

(四方)
最後にですね、僕らの周りもどんどんどんどん変わっている中で、先ほどの加藤さんの経歴を聞いてご自身も変化、変革しまくっているなと感じるのですが、どんなところが自身の変革を生み出しているのでしょうね?

(加藤さん)
僕の場合は世界No.1になれれば死んでも良いと思って、人生賭けてやっているので、そこに行く中で当たり前ですけど、遠いんですよねめちゃくちゃ。

(四方)
世界No.1ですからね。

(加藤さん)
変わるという感覚はあまりなくてそこに行くにはどうしたら近付けるのか考えて進んでいくと、やっぱりそっちじゃなくてこっちに進むべきだなとか、そういうものが必然的に出てくるのでAよりもBの方が良い、BよりCの方が良いとかそういうことの中でいち早く動いていくということはすごい意識しているので、もしかしたらそれを外から見たら変わっていっているだとか、変化に適応していっているのか、色々な失敗を重ねてやっています。

(四方)
すごい抽象化するととにかく自分自身の人生に主体性を持って自分の頭で考えて判断したら、それはクイックに行動できるし、放っておいたら死ぬのに他人事にはなれないよね、というのを愚直にやっている、スピードが人よりも速く、人よりもドラスティックな判断をするとか、そういったところが秘訣なのかもしれませんね。

Mr.X加藤さんの変革の秘訣

(加藤さん)
それを考える中でやるかやらないか悩む、行くか行かないで悩む時はもちろんあるのですが、行かないで死ぬよりは、行って死んだ方がいいということは絶対ありますね。

(四方)
それは強く共感しますね。
結果を判断するのも自分だったりしますし、そこに責任を持てれば悩んだ時は大体行っちゃうことが多いですよね。

(加藤さん)
やっぱり新しいことって楽しいですよね。

(四方)
それは間違いないと思います。
最後の言葉としては良いですね、変革することって楽しいよねというところが文化になっている会社や組織って強いんだな、強くなるんだろうなということですね。

(加藤さん)
社長また色々なこと言っちゃったよって、いやでもまたいって楽しむか!みたいな感じになると良いかなと。

(四方)
良いかもしれないですね。
だから冒頭の話に出たシニア社員も変革の一環だから外に行こうよかもしれないし、外国人やダイバーシティと呼ばれている人たちが来ても面白いじゃないという感じで受け入れて一緒に新しいものを作っていくみたいなことですね。

今日はいろいろと勉強になる話をどうもありがとうございました。
そして、加藤さん自身の活動や変革の秘訣も聞けてすごく刺激を受けることが出来ました。
ありがとうございました。

(加藤さん)
はい、ありがとうございます。
皆さん、カンボジアのサッカークラブ、アンコールタイガーFCを応援してください!

(四方)
よろしくお願いします!

(加藤さん)
鎌倉インターナショナルFCもですよね!

(四方)
あ、そうですね、鎌倉インターナショナルFCの応援もお願いします!

さて、HR-Xではこれからも「人事」と「トランスフォーメーション」というキーワードで、様々なゲストをお呼びしてお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

それでは今回はこの辺でーー―!加藤さん、今日はありがとうございました!

(加藤さん)
ありがとうございました!

四方健太郎(株式会社スパイスアップ・ジャパン取締役/
Spice Up Singapore PTE LTD Managing Director)
立教大学を卒業後、アクセンチュア株式会社の東京事務所にて、主に通信・ハイテク産業の業務改革・ITシステム構築に従事。2006年より中国(大連・上海)に業務拠点を移し、台湾・香港を含む大中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務にあたる。2009年にフリーランスのコンサルタントとして独立。独立後、1年かけてサッカーワールドカップ2010年大会に出場する32カ国を巡る「世界一蹴の旅」を遂行し、経済界社より『世界はジャパンをどう見たか?』を上梓。
現在、東南アジアやインドでグローバル人材育成のための海外研修事業に従事。株式会社スパイスアップ・ジャパン取締役。シンガポール在住。

株式会社スパイスアップ・ジャパン
 公式ウェブサイト https://spiceup.jp/
 公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/

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