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変化の時代に生き残るには「環境適応能力」が必要/永見亜弓さん(シンガポール和僑会 会長)

永見亜弓さん プロフィール

シンガポール暦14年目。広島県出身。
安田女子大学文学部卒業。2007年JAC Recruitmentへ入社。
日系・外資系企業担当のコンサルタント業務に従事。
2012年、2013年には年間MVPコンサルタント受賞。
2013年から日本人部門のマネージャーへ。
2018年より営業マーケMGRとして各企業へ訪問し、国籍問わず採用周りの人事関連の課題解決サービス、情報などを提供している。
2021年よりシンガポール和僑会会長に就任。

(四方)
こんにちは!スパイスアップ・シンガポールの四方健太郎です。

「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当番組は、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲストをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。

今回のゲスト「Ms.X」には、シンガポールと関連するビジネスパーソンの育成と支援、相互交流を行っているシンガポール和僑会会長の永見亜弓さんをお迎えしました!
永見さん、こんにちは!

(永見さん)
こんにちは!
どうぞよろしくお願いします。

(四方)
よろしくお願いします。
永見さんはすでにシンガポール在住14年目とのことですが、僕もですね7年目になるんですよ。
なのでその2倍ということで、どんだけ?ってことでシンガポールのビジネスパーソンで永見さんを知らない人はいないという風に言われているんですが、お互いHR業界に身を置いているということもあり、交流会やイベントなどでよくお会いしますよね。
そして、プライベートではフォトグラファーという一面もある永見さんですが、シンガポールのプロサッカーリーグに所属している「アルビレックス新潟シンガポール」のフォトグラファーとしても活躍されているということで、その辺でも近いところにいるなと思っています。
そしそして、「シンガポールで最も有名な日本人営業パーソン」を目指されているということを記事で拝見したのですが、すでになっているんじゃないかなって思うんですが、そんな永見さん、自己紹介お願いできますでしょうか?

(永見さん)
かしこまりました。
永見亜弓と申します、どうぞよろしくお願いします。
もう四方さんがほとんど喋ってくださったので、どれだけ私の話をすればいいのかと思いつつ、シンガポール在住14年目になります。
私のやっていることを大きく分けると3軸ありまして、最初に仰っていただきました人材紹介会社JAC Recruitmentで現在は会社全体の営業、マーケティングという形で、こちらにいらっしゃる主に日系企業のトップの方だったりとか、意思決定者の方々に中長期的な話をお伺いしつつ、人材関連で解決していくという仕事が1つです。
2つ目が、シンガポール和僑会というシンガポールで活躍をする、もしくは活躍をしたいと考えている人向けのビジネスという軸で個人が入れるビジネスコミュニティというものがありまして、今年の4月1日に会長という形で様々な和僑、シンガポールもしくは海外で活躍する日本人に向けて、しっかりとサポートができる組織を作っております。
3つ目はプロフェッショナルフォトグラファーとして様々なイベントやスポーツを撮っているんですけど、メインはスポーツフォトグラフィーでアルビレックス新潟シンガポールのオフィシャルフォトグラファーでがっつりサッカーを撮っています。
どうぞよろしくお願いします。

(四方)
色々な顔をお持ちの永見さんですが、変革というキーワードで今日お話ができればと思うんですが、まさにHRエージェントとしてご活躍ですが、この先の読めない時代、そしてWithコロナなんて言われているこの時代において、企業側の人材募集要件の変化ってどんなことがありますでしょうか?

現地日系企業の人材募集要件の変化

(永見さん)
そうですね、シンガポールという切り口でお話をするようになってしまうんですけど、この国はどうしてもシンガポール人の雇用を最重要要件として各企業へ要請を出しているため、VISAの要件が非常に非常に引き締めが大変になって参りました。
数年に1回くらい、VISA取得基準額が上がったりで引き締めが行われていたんですけれども、去年に関しては2回、この基準額が上がって、30%くらい上がった人もいるんじゃないかなというくらいVISAの取得基準額が上がりました。
その人の基本月収がVISA取得の審査に掛かる基準になってくるんですけど、大学×年齢×月収という形になります。
なのでそういったところで外国人がなかなか入りづらい要件になってきたなという風な印象を受けています。
それに伴って、各企業様の募集要項がどう変わったかというと、今まではそもそも日本人がやっていたとかVISAを取って外国人を雇っていたみたいな要件がシンガポール人がメインになったり、VISAのいらない永住権を持った方というところで大きく変わってきたなと思っております。
今、四方さんも体感されているように海外から人が入れない状況で、就労VISAを持っていても入れないので、転職市場としては国内で需要と供給を解決してしまおうという計数が多いので、すでにシンガポール国内にいる人でというご依頼も増えてきたなと思っています。

(四方)
なるほど。
前回、加藤さんと対談させていただいたんですが、あれも言ってみれば永見さんのご紹介だったんですけど、人材要件がローカルの方、できるだけ現地にということで「現地化」しなければいけないという話は以前からも言われていたと思うんですけど、組織側だったり日本人駐在員とかが現地化していかなきゃいけないという中で、どんなことをしていくとより現地化になっていくんですかね?

(永見さん)
そうですね、それってこちら側もなんですけど日本本社側もそうだと思っていて、一番大変なのは言語バリアだと思っていて、なんならなぜそこに日本人が必要かというと、本社とのやり取りのドキュメンテーションとか会議が全部日本語とかですね、なんかそういったところの要件とかこちらの方々の転職文化をまだ理解いただけていない方は、一回就職したら定年までいるだろうみたいなところでご採用なさると若手シンガポーリアンは1、2年ぐらいで転職していきますし、すごいできるシンガポーリアンだったりしても3、4年で引き抜きがあったりしたり、そういった形で採用しても数年で辞めていくという印象をお持ちの方が多いと思うんですけど、欧米企業はそれを見越した形での採用活動をなさっていらしていて、最初入った時にパフォーマンスを出させる仕組みを作ったりして、できるだけ1、2年ぐらいで元を取るじゃないですけど、採用した方がしっかり活躍できるプラットフォーム作りをしているという点が、その現地化というところではどうしても必要になってくるかなと思っています。

(四方)
なるほど、ありがとうございます。
要は日本人じゃなくても回るとか、あまり人依存にならずに仕組みとしてしっかりやっていこうよとことなのかなと感じたのですが、2つ目の質問で採用に関わらずなんですが、日本含めて世界中でパンデミック、リモートワークじゃないですか。
そうすると今までは会社に行っていて、そこに求心力というか帰属意識などでしっかり組織が自然と運営されていた気がするんですが、心ここにあらずじゃないですけど、やっぱり離れ離れになってバラバラになっていて、企業や組織の求心力が下がったように思われるんですね。
これはどうしたらいいのか、どこまでリモートワークを許容したらいいのか、この辺りはどういう風にお考えですか?


コロナで企業や組織の求心力が低下!?どうする?


(永見さん)
やはり個人個人にしっかり責任与えていくというところと部署やチームがあれば定期的にミーティングをするとか意識合わせのタイミングというのをしっかりとやっていく必要があるなと思えました。
各企業様でよく言われているのが、四方さんも仰った通り、在宅で仕事をしていたらしているのかしていないのかよく分からないとかですね、実際に1ヶ月働いてみた出来高が期待値と違っていたというのが多くて、営業だったら営業数値で計れるので、やっているやっていないみたいなのが分かるのですが、特にバックオフィスの人たちはやることの数値化がなかなかしづらいので、それに対する評価制度に対して皆さんすごくお困りでいらっしゃいます。
それをどういう風にしていったらいいかというところなんですけど、期待値をちゃんと伝えることですね。
私はマネージャーだとしたら、バックオフィスの人の在宅勤務で1ヶ月後にはここまでのアウトプットして欲しいとか、マネジメントも含めてですけど、会社全体で情報が行き来できるような仕組み作り、弊社の場合はここの企業に人が決まりました!ってなると、全員でチャットにおめでとう!って言ったりするんですね。
なのでその辺で求心力をしっかり付けていくというところが重要になってくるのかなと思います。
1人じゃないよ!ってところですね。

(四方)
そうですよねー
うちの会社ももちろんリモートワークやっていますし、半分耳が痛いなと思いながら聞いていました。
人様に偉そうなこと言えないなと思いながらも、やっぱりあるな、それ!というのがあって、リモートワークだからこそもっとコミュニケーションを増やしましょうとか、もちろん性善説で信頼することは大事かもしれないけど、お互いで決めた目標設定をおいて、そこに対して成果が出たのか出ていないのかで判断しないといけないですよね。
今まではオフィスに行っていれば頑張ってる風が伝わってくるみたいなのがあったんですが、それがない分、お互いに疑心暗鬼になって、部下の方は今までは空気を読んで、今聞ける聞けないというのがあったのかもしれないですけど、若手に聞くと、聞いていいのか分からないから聞かない、でも上司からしたら何も言ってこない。
そうじゃなくてお互いガンガン声を掛けちゃおうよ!というところが、永見さんが仰ったコミュニケーションの量を増やすところなのかなと思いました。

(永見さん)
そうですね、もう1つは良い意味でも悪い意味でも怖いなって思ったのが、先ほど仰った通り性善説に基づいてマネジメントが運営をするとですね、やるでしょ、みんな!みたいな感じなので意外に見えないプレッシャーになるなというのはすごく思います。
やらないとどうなるんだろうなみたいに思ってしまうので。
うちの会社のフィロソフィーに「自由と規律」というのがあるんですけど、規律の中にも自由度がしっかりあって、逆に自由を与えるからしっかりとやることやってね!というメッセージなんですね。
そこをいかにうまく従業員の方々に伝えていって、彼らが各々しっかりと落とし込んで自分のものにしているかにもよるのかなと思っています。

(四方)
自由度が本当に高くなってきて、本当にどこまでやるのかやっていいのか、今までだったらオン・オフがしっかりできていたんだけど、やろうと思えばずっとオンにできてしまう一方でリスクというか弊害があるなと思っています。

(永見さん)
たしかに。
私、今まで24時間365日プライベートであり、働いてたりという感じの生活をずっとしていたので、どちらかというと今の働き方の方が自分自身やりやすいなと思っています。

(四方)
時代が永見さんに追いついてきたみたいな感じに思っていますが、とはいえやっぱり休みを取ってとか今までだったら定期的に勝手に休みが取れていたのが、自分で意識しないといけないというのも自由の裏返しだったりしますし、マネジメントの人と従業員の人は立場もマインドも違うので、ひと口に言えないかななんていう風には考えていたりします。
もう1つ聞きたいところが「和僑会」ってなんだ?という話なんですが、よく言われるチャイニーズの人たちを華僑と呼んだりしますよね。
華僑ではなく世界中にいる日本人たちを和僑と呼ぼうという、この和僑会は色々な国にあるらしいんですが、そのシンガポール和僑会を代表されているということなんですけど、どちらかというと起業家など「個」が強い方が入られている印象で、もちろん会社員の方もいらっしゃると思うんですが、その辺でカラーの違いとか働くことのマインドセットの違いなど、大企業駐在員の方と現地で企業して頑張っている個が強いタイプの方の違いってどんなところがありますか?


駐在員と起業家で働くマインドは違うのか?


(永見さん)
そうですね、やっぱ自分のビジネスへの責任感の強さみたいなのは違いますね。
大企業の方ももちろん会社に対する責任はしっかりお有りだと思うんですが、ビジネスオーナーは全部自分事で言ってしまえば、従業員を抱えて自分がしっかりしないと会社が倒れてしまうかもしれないリスクを抱えながら生きている方々というところでは覚悟の部分は大きく違うのかなという風に思っています。

(四方)
この辺りの仕事に対する向き合い方というのも、恐らくこの大企業駐在員の方と自分がリーダーとなってやっている方で働き方って違うのかなと思っているのですが、その辺りはいかがですか?

(永見さん)
でも意外に大企業の上の方々とかでも会社に対する責務があって、しっかり自覚をされて来られる方ってビジネスオーナーの方々の意識と結構同じだなと思っています。
もしかしたら中には来たばかりで右も左も分からなくてどうしたらいいかみたいな形で分かってらっしゃらない方は責任の重みは違うかもしれないですけど、意外に大企業のトップの方々とビジネスオーナーの方々の覚悟は同じような感じを受けます。

(四方)
たしかに日本だったら、どこどこの部署のリーダーぐらいの方がこちらに来て、関連会社かもしれないですが、いきなりトップに立たされるわけですから、ガラッと変わるんですね。
やっぱりこの辺は環境が人を育てる感じなんですか?

(永見さん)
そうですね、それはあると思います。

(四方)
永見さんは14年もいらしたら色々な方々の歴史だったり種類を見られていると思いますが、最後に今回のコロナに限らず色々な外的環境の変化って起きると思うんですね。
その中で成果を出して生き残っていく大きなポイントはどんなことが挙げられますかね?


外的環境の変化の中で生き残るためのポイント


(永見さん)
そうですね、「環境適応能力」かなと思っていて、もちろん今までの成功体験だったり今までこうしてうまくいったみたいなことに固執しがちなところはあると思うんですけど、これだけ刻々と世界情勢やビジネスの状況が変わってしまって、なんなら数年前はオンラインミーティングやスカイプ面接とか私わざわざ企業に行ってパソコンの設定をしてあげていたこともありましたけど、今やそれが当たり前になって、なんならスマホも当たり前になって様々なことが当たり前になっていっているというその変化にどの世代であったとしても付いていかないといけなくなると思うんですね。
その時に昔の大切な思い出は取っておいていただきたいんですけど、その先に生きていくためには、なんならこのコロナがあと数年続くとしても、やはりそこでできるだけ成果を出していかれたり、幸せに生きていくためには環境適応能力とかフレキシブルな考え方が必要になってくるかなと思っています。

(四方)
ありがとうございます。
いや本当に仰る通りですよね。
環境適応能力と一言でズバリ仰っていただきましたけど、それに尽きますよね。
色々な変化があるし、お客さんも変わるし、自分たちが古いものにずっとしがみ付いていたら、そりゃうまくいかないよねということですね。
最後にいい言葉をいただきました。
今日は色々多岐に渡るお話をいただき、本当にありがとうございます。
そしてフォトグラファーという肩書きの話も聞きたいなと思っていますが、時間が来てしまいましたので、コロナが収束したらサッカースタジアムに行って、僕はスタンドからですが、永見さんはカメラを持ってゴール裏にいると思うので、永見さんの応援に行きたいなと思います。

(永見さん)
お待ちしております!

(四方)
さて、HR-Xではこれからも「人事」と「トランスフォーメーション」というキーワードで、様々なゲストをお呼びしてお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

それでは今回はこの辺で!
四方健太郎でした。
永見さん、今日はありがとうございました!

(永見さん)
ありがとうございました!

四方健太郎(株式会社スパイスアップ・ジャパン取締役/
Spice Up Singapore PTE LTD Managing Director)
立教大学を卒業後、アクセンチュア株式会社の東京事務所にて、主に通信・ハイテク産業の業務改革・ITシステム構築に従事。2006年より中国(大連・上海)に業務拠点を移し、台湾・香港を含む大中華圏の日系企業に対するコンサルティング業務にあたる。2009年にフリーランスのコンサルタントとして独立。独立後、1年かけてサッカーワールドカップ2010年大会に出場する32カ国を巡る「世界一蹴の旅」を遂行し、経済界社より『世界はジャパンをどう見たか?』を上梓。
現在、東南アジアやインドでグローバル人材育成のための海外研修事業に従事。株式会社スパイスアップ・ジャパン取締役。シンガポール在住。

株式会社スパイスアップ・ジャパン
 公式ウェブサイト https://spiceup.jp/
 公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/

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