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自分たちが変わることに対して臆病でいてはいけない/飯野香さん(IE University日本オフィス 代表)

(豊田)
こんにちは!スパイスアップ・ジャパン代表の豊田圭一です。

「人事」のHRと「トランスフォーメーション」のXを掛け合わせて「HR-X」と名付けた当チャンネルは、「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」をスローガンに、「人事」と「トランスフォーメーション」、つまり「変革」というキーワードで様々な取り組みをしているゲストをお迎えしてお話を伺っていきたいと思います。

今回は「人材育成」や「教育」という観点から、トランスフォーメーションの世界で先端をいっているんじゃないかと、私が思っているスペインの大学院IEについて話を聞いてみたいなと思って、IE University日本オフィス代表の飯野香さんをMs. X、Ms. 変革に迎えてお届けいたします。

飯野さん、こんにちは!

(飯野さん)
こんにちは!

(豊田)
僕がIEに出願した2016年の秋からだから、もう5年くらいの付き合いになるんですねー!
飯野さん、まずは自己紹介と、そしてIEがどういう教育機関なのかについてもお話しいただけませんか?

IE Universityについて

(飯野さん)
はい、分かりました。まず学校の紹介からした方がいいと思いますのでご紹介させていただきます。
IE Universityというのがですね、3つのキーワードで知っていただけたらと思います。

1.  起業家が創立した学校
2. マドリード
3. 世界トップ10

起業家が創立した学校(大学院)になります。
マドリードにありながらも今世界トップ10ということで、最近発表されたランキングでも世界9位ということで嬉しいです。
ということで、まさに起業家が創立した起業家による起業家のための学校、国際的な教育機関です。
ここがやっている取り組みの1つとして、海外にオフィスをたくさん置きましょうというのがあって、世界30ヶ国にアドミッション(出願)のためのオフィスを置いてまして、その中の1つ、日本オフィスが私のいるところです。
私もこの大学の卒業生で、2008年にMBAを卒業しております。
卒業後はいろいろな外資系の会社で働いたのですが、2015年から学校に戻って今のお仕事をさせていただき、そういう仕事をしながら豊田さんに出会ったというところでございます。

(豊田)
ありがとうございました!
2015年から始めて、2016年に僕が出願しているから、その時はまだ1年ちょっとだったんですね。

(飯野さん)
そうですね、はい!

(豊田)
最初、飯野さんに全くコンタクトせずにIEに出願するということをやりましたけど、後から飯野さんから連絡が来て、「あれ?日本人いるんだ!」と思ってびっくりしたことを今でも覚えています。

(飯野さん)
随分こなれた出願者だなと思っていました。
自分でやっていってしまうので、全然手が掛からずという感じで自立してやっていただきました。

IEとトランスフォーメーション

(豊田)
IEってトランスフォーメーションという言葉がよく出てくるような気がするんですよ。
このチャンネルもHR-Xと付けて、XはトランスフォーメーションのXなのでトランスフォーメーションは1つのキーワードなのですが、IEは他の教育機関と比べて、その辺りにフォーカスしているのですか?

(飯野さん)
他の学校さんもトランスフォーメーションってすごい大事な時期になっているので、どこも力を入れていると思うのですが、IEはもともと起業家がつくった学校なので、起業家精神とトランスフォーメーションは切り離せない状況になっているかと思います。
次々、変化が起きていく中で、どんどん新しいこと、誰もやっていないことを始めていこうというのが「起業家精神」なので、トランスフォーメーションと起業家精神は表裏一体になっているのではないかなと思っています。

(豊田)
僕が卒業したプログラムは、Executive Master in Positive Leadership and Strategyだったんですよね、前は。
卒業したのは2年前なんですが、そのプログラム名がExecutive Master in Positive Leadership and Transformationと、「ポジティブ・リーダーシップとトランスフォーメーション」に変わって、僕の時は「ポジティブ・リーダーシップと戦略」だったのが変わったので、卒業生的には「えっ、プログラム名、変わっちゃった!」と思っていたのですが、このプログラムはIEの中で目玉プログラムが、プログラム名にトランスフォーメーションをつけた、その心は何かな?と思ったくらい、トランスフォーメーションがビッグキーワードなのかなと思いました。

(飯野さん)
そうですね、導入するのが早かったですよね。
コロナでようやくということではなくて、その前から導入していました。
変えることって、うまくいっているものを変えるのってものすごい勇気がいることじゃないですか、組織でも学校でも。
このプログラムもうまくいっているし、成功しているのだけど、そこを敢えて変えるという伝統とか格式とか前例に縛られないというのは、中で働いていても、それから卒業生としてもIEっぽいなというのはすごく感じます。

(豊田)
プログラム名が変わる過程でスタッフとして話を聞いていたんですか?

(飯野さん)
そうですね、もちろん変わるってなった時にスタッフとしてどうして?となったのですが、そこのところをしっかりとプログラムのトップであるダイレクターが説明してくれて、Strategyという領域じゃなく、本当にTransformationを自分がして、組織も変えていかないといけないというのがありました。
自己変革と所属する組織を変えていくというリーダーに求められるのは両方なので、その両方を強化していくという風にプログラムが改訂されました。

(豊田)
僕の認識ではStrategyって、ゴールがあった上で、ゴールに向かってどういう戦略でいくのかというのがStrategyだけど、ボードメンバーになっているニックと話をさせていただいて、今ゴールが見えない中で、つまり世の中がどんどん変化の激しい、スピードが速いし予測できない世の中において、ゴールが見定められない中でStrategyも何もないんだと。
とにかく今のこの状況、この状況に常にTransformしていかないといけないんだということで、StrategyではなくTransformationといち早く付けたし、すごくタイムリーだったと同時に的確だしさすがだな!って思いました。

(飯野さん)
そうですね、まさに切り替えのタイミングはよかったですね。

IE自身のトランスフォーメーション

(豊田)
実際にプログラム名に打ち出していますけど、IE自身のTransformationについて教えていただいてもいいですか。

(飯野さん)
うちの学校はコンスタントに変化、変化していて、2015年にこの仕事に就いてからもやっぱり変わって、毎年変化があるなと思っています。
私が卒業した2008年から見ても大分変わっているものがあるんです。
一方で変わっていないことが一つあって、それが「起業家精神」です。
そこは全然変わってないんです。
土台が起業家精神で、その上にあるプログラムの名前とかロゴとか学校名、学部名とか色々なものはどんどん変えていっているのですが、やっぱり起業家の学校なので、自分たちが変わることに対して臆病でいてはいけない!という見本を見せようとしているのではないかなと思います。

Liquid Learning

(豊田)
最近聞いた言葉では、Liquid Learning。
DX、DXって最近言われますけど、Digital Transformationの流れもあると思うけど、Liquid Learningという教育手法、教育の提供の仕方を始めているじゃないですか。
これってどういうものですか?

(飯野さん)
Liquid Learningというのは今ですね、ハイブリッドモデルとか世界中の大学がオンラインや対面、ハイブリッドでとかやっている中で、でもそれって学校側が決めていることであって、学生主体となった時に学生だって自分の中でのダイバーシティがあって、例えば今日ちょっと熱っぽいから本当はキャンパスへ行かないといけないけど行きたくないなとか。
なんかまた感染者増えたから嫌だなとか、そういうことって日々生きているとあると思うんです。
それに合わせて、今日は天気も良いしキャンパスに行こう、でも明日は寒いからオンラインで受けようというのを、リキッドのように、水のように行き来できるという授業の参加方法となるということになります。
学生にとって利便性のある学び方、参加方法ということになります。
20年前からオンライン教育をずっとやってきたのですが、その頃はスマホなんてなかったじゃないですか。
その頃にオンライン教育ってクレイジーじゃないかって思う関係者もたくさんいたと思うのですが、その頃からテクノロジーの進化を信じて続けてきた結果、生まれたのが、このコロナという危機の中でのLiquid Learningという新しいモデルを作りました。
暫定的な措置ではなく、今後はこういう風にしていきましょうというモデルを作り出したという背景があります。

(豊田)
僕はセッションを5回受けましたけど、1週間マドリード行って、その後帰ってきて学んだことを自分の組織でやってたり、レポート書いたり、課題図書を読んだりして3ヶ月後にまたマドリードに行くということを繰り返しましたけど、そういうパターンにおいてもLiquid Learningが今後有効になってくるんですか?
例えば次の1週間のスクーリングは行けないから、日本からオンラインで入ろうかなとか、ただその次は行けるからキャンパスに行こうかなということができるのですか?

(飯野さん)
まさに今それをやっていまして、今年の9月に入るオンラインMBAの方たちが何名かいるんですが、最初のスクーリングをマドリードに行きたい人、行きたくない人半々くらいで分かれています。
なので行かないと決めた人はオンラインでそのモジュールを受けるということになります。
ただ、オフライン組とオンライン組は分かれないのでクラスメイトは一緒です。

(豊田)
Blended LearningとかHybrid Learning、今回のLiquid Learningを考える時に、やっぱりオンラインで何でもできると同時にオフラインの良さってあると思うんですね。
マドリードの空気の中、あのキャンパスに身を置くってあるじゃないですか。
年次は違えど、やっぱり僕らにとって共通の場所がって話になったりしますよね。
そういうのって大切な要素としてあるのですが、とはいえオンラインだけで卒業できるじゃないですか。
オフラインの良さをどうやって提供しているのですか?

(飯野さん)
もちろん体感しないといけないものってたくさんあるので、それをどうやってオンラインでデリバリーするか、これからの課題であり続けていて、今完璧にできているとは自分たちも言えない状況なので、そこを目新しいテクノロジーのVRでやるのか、新しいホログラムなのかとか。
テクノロジーの開発部隊が中にいるので、そういったTechie(テッキー)な人たちと一緒にやっていくということになります。

(豊田)
実際のプログラムでもテクノロジー系とかデジタル系とかIEってすごく多いですよね。

(飯野さん)
そうですね、好きですね。

IEと起業家精神

(豊田)
IEって起業家が作った起業家のための大学だし、名前自体も元々はInstituto de Empresaという大学名ですし、起業の後押しもすごくしているのですが、このコロナの状況下でも起業家は輩出されそうなのでしょうか?

(飯野さん)
そうですね、日本の卒業生ネットワークとか日本から入学してくる人たちを見ると、今までと変わらずか、もうちょっと起業とかスタートアップに興味ある人が増えてきています。
みんな危機感を感じているかもしれないですね。
大手の企業で良いポジションで就いていても、やっぱり副業的に何かやりたいだとか、自分の力を使って誰かを助けたいということをサイドプロジェクト的に考えている人がいるので、その中から起業する人は絶対出てくると思います。

(豊田)
僕も何人か相談に乗らせていただきましたからね。

(飯野さん)
そうですよね。

IEが提供するトランスフォーメーション

(豊田)
このチャンネルは「トランスフォーメーション人材で組織を変革する」というテーマでいろんな人から話を聞いているのですが、IEはどのようにして教育を通して組織とか個人の変革を促進しようとしているのでしょうか?

(飯野さん)
実は私たちの学校のミッションというのがあってですね、IE Universityは学生、教授陣、コミュニティにコミットしています。
ダイナミックでトランスフォーメーショナルな学習環境を提供することで次世代の世界を作っていく人たちを育てます。
このミッションの中にある、トランスフォーメーショナルな学びの環境を用意していますというのが答えになっているのではないかなと思います。
大学とか組織の中にいる人たちや学生にトランスフォーメーショナルになれ!っていうのはとても簡単なことなんだけれども、自分たち自身が組織としてトランスフォーメーショナルじゃなければ説得力もないし、全然実践的ではないと思うんです。
環境を用意することで、用意したからあとはそこで思い切り学んでくださいという、そういうやり方で教育を通してトランスフォーメーション人材を育てようとしています。

(豊田)
このミッションっていつできたんですかね?

(飯野さん)
このミッションは結構前からですよ。

(豊田)
それ、すごくないですか!

(飯野さん)
このコロナとかここ数年とかのレベルではないです。

(豊田)
トランスフォーメーションって最近のバズワードかなと思っていたのですけど、その前から使ってるんですね。

(飯野さん)
そうですね、少なくとも私がこの仕事始めた2015年にはこのミッションだったので。

(豊田)
そういうことを考えるとIEの面白さ、ユニークネスが際立ってくるかなと思うんですけど、大学や大学院とかってお堅いイメージがあるけど、実践的でかつすごく伝統ある良い学校あるんだけど、その一方で時代にマッチした教育を提供する起業家を輩出する学校なんだなと、このミッションから読み取れますね。

(飯野さん)
そうですね、はい。

(豊田)
IEの話をもっともっとしたいのですが、今日は教育とトランスフォーメーションというテーマで話を聞こうと思ったので、この辺りにしておきたいと思います。
これからもIEってどんどんどんどん変わってくると思いますけど、僕自身も卒業して2年経ちましたけど、常に注目していろいろ調べているし、それと同時にまたマドリードに行きたいなと思って、キッカケを作るためにはIEのプログラムに入っちゃうのが一番早いんじゃないかって思っているので、コロナの状況が良くなったら、またIEに行きたいので、またいろいろ教えてください。

(飯野さん)
はい、こちらこそよろしくお願いします!

(豊田)
さて、HR-Xではこれからも「人事」と「トランスフォーメーション」というキーワードで、様々なゲストをお呼びしてお届けしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

飯野さん、今日はどうもありがとうございました!

(飯野さん)
ありがとうございました!

豊田圭一(株式会社スパイスアップ・ジャパン 代表取締役)
上智大学経済学部を卒業後、清水建設に入社。海外事業部での約3年間の勤務を経て、留学コンサルティング事業で起業。15年以上にわたり、留学コンサルタントとして留学・海外インターンシップ事業に携わる。
その他、複数の起業を経て、現在は日本を含めた8ヶ国で、グローバル人材育成を中心に様々な事業を行っている。
2018年、スペインの大学院 IE でリーダーシップのエグゼクティブ修士号を取得。
著書は『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』『引きずらない人は知っている打たれ強くなる思考術』など全18冊。
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の招聘研究員、内閣府認証NPO留学協会の副理事長も務める。

豊田が2020年6月に出した『ニューノーマル時代の適者生存』

株式会社スパイスアップ・ジャパン
 公式ウェブサイト https://spiceup.jp/
 公式フェイスブック https://www.facebook.com/SpiceUpJP/

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